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【インタビューVol.1】「正しさ」よりも「面白さ」を追求して ~地域を舞台に実験を~

大学生時代から様々な地域活動に取り組み始めて、在学中に地元の香川県さぬき市津田町での起業を決意した黒川さん。大阪大学工学部を卒業後も地元で輝き続けている黒川さんはどんな軸を貫いてきていたのか。

そこには「怠惰」な性格だと自覚している黒川さんならではの軸がありました。インタビューの中で見えてきた黒川さんの等身大をこの記事でお届けします!

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◆黒川慎一朗
1998年香川県さぬき市生まれ。小学校は統廃合し、中学校は廃校になるなど地域の衰退を感じながら育つ。18年間生まれ育った香川を離れ大阪大学に入学。在学中に地方創生学生団体「Reibre」や、まちづくり に関心のある大学生コミュニティ「ヨリアイ」を立ち上げる。 2020年に株式会社ゲンナイを起業し、地域独自の体験を提供する空き家を活用した民泊施設「まち宿 AETE」をさぬき市内で開業する。2021年3月大阪大学工学部卒業。
【HP】 https://machiyado-aete.studio.site/

1.黒川さんの人物像に迫る

ーーー早速なのですが、黒川さんは自分自身をどんな人間だと考えていますか?

黒川さん
「めちゃくちゃ怠惰な人間だと思います。朝は起きられないし、部屋の掃除もできません笑 とにかく雑というか怠惰なんですよねー。」 

ーーー本当ですか!?黒川さんの経歴を調べているとそのようには感じなかったのですが、、、

黒川さん
「仕事面での能力はしっかりしているかもしれませんが、プライベート面での能力が著しく低いんですよ。笑 まあ、怠惰だからこそ、戦略的なところがあって、どうすれば少ない労力で高いアウトプットを出せるのかを考えているので、その思考法が今の事業にも活きていると思います。」

2.黒川さんが地元で起業するまで

ーーーでは、そんな”怠惰”な黒川さんはいつから今の生き方を考えていたんですか?

黒川さん
「まず地域活性化に興味を持ったのは大阪大学に進学して、大都市と地元のギャップを大いに感じてからです。それが大学1年生の後半ぐらいで、将来はいつか地元に戻りたいなと思い始めました。」

ーーー興味を持ち始めてから、大学ではどんなことに取り組んでいましたか?

黒川さん
「Reibreやヨリアイという学生団体を立ち上げたりしていましたが、なかでも力を入れていたのは”地域の一軍”の調査です。地域活性化の先進事例として取り上げられる地域を年間10地域とかは訪問していましたね。とにかくリアルな情報を取りに行くことにこだわりました。

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”地域の一軍”を視察している様子

ーーー”地域の一軍”を調査していく中で何か心境の変化はありましたか?

黒川さん
「様々な先進地域に視察にいったことで、先進地域がどれだけ凄いのかが分かってしまったので、先進地域と自分の地元を比較して”なんでこんなにイケてないんや!”という気持ちになりました。だからこそ、将来は地元に戻って”どうにかしたい!”という思いが強くなりました。ただ、新卒でいきなり地元に飛び込んで本業として関わるのか、それとも最初は副業として軽く関わるのかは決められずにいました。」

ーーー黒川さんは大阪大学工学部を卒業されていると思うのですが、地元に戻るというキャリアを考えている人って周囲にはいなかったんじゃないですか!?自分だったら躊躇してしまうと思うのですが、黒川さんは周囲との差分から戸惑いはなかったんですか?

黒川さん
「んー、あんまりなかったですね。なんか自分の”怠惰”な性格から来るんですけど、自分じゃなくてもいいことを頑張ろうと思えないんですよね。例えば、もし自分の地元がすでに先進地域になっていたら”おもんない”って思って、普通に就職していたと思うんですよね、なので、王道の選択肢はそこまで魅力的に感じなかったので、戸惑いはありませんでした。」

ーーーなるほど。じゃあ本業にするか?副業にするか?はどこで迷っていたのですか?

黒川さん
「そうだねー、まあシンプルに”本業にしても生きれるの?”ってのが疑問でした。地域活性化に興味を持ってから特定の地域に浸かって活動したことがなかったので、本業にして地域で生きていくイメージが沸かなかったんですよ。」

ーーー黒川さんでもイメージが沸かなかったんですね。

黒川さん
「そこで、3年生までに単位をほとんど取り切って、大学4年生になったら地元に飛び込む計画を立てていました。そしたらちょうどコロナ禍が訪れたので、ずっと地元の香川にいたんですよ。そしたら意外と生きていけることが分かったので、本業にしても大丈夫だと思えました。」

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コロナ禍が訪れて地元で生活し始めた時の黒川さん

ーーーなるほどなぁ。では、本業にすることを決意されたと思うのですが、それでも”起業”を選択できる人は少ないと思います。”起業”って怖くなかったのですか!?

黒川さん
起業は海外旅行一回分だと思ってしてみました。笑 コロナで海外旅行にいけなくなったじゃないですか。で、(海外旅行1回分と起業に必要な資金が同じくらいなので)海外旅行に行けない代わりに起業していると考えたら気持ちが楽になったんですよね~。」

ーーー起業と海外旅行が同じか、、、黒川さんの発想めっちゃ面白いですね。笑

黒川さん
「こういう考え方好きなんですよね。ただ、”起業する”のと、”会社を続ける”、”人を雇用する”というのは別の話だと思いますし、むやみやたらに起業するべきではないと思います。けれども、もし”起業”という言葉自体が難しさを生んでいると感じるのであれば、海外旅行一回分だと思って起業するのはありだと思います。笑」


3.黒川さんが地元で起業してみて

ーーーでは、実際に起業してから1年が経過しましたがいかがですか?

黒川さん
「なんか高校生の時までは地元が退屈な場所だと思っていたんですよ。ただ”住民”として関わるのか”事業者”として関わるのかによって視点が変わったことで、誰かが退屈さを変えるのを待つのではなく、自分の理想に照らして”こうしたら面白いんじゃないか?”という姿勢が身についてから退屈さがなくなったんですよね。なので、今はとてもおもしろいですね。」

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香川県さぬき市津田町の絶景。つい行きたくなりますね。

ーーー受動的な関わりから能動的な関わりになったことでおもしろく感じるようになったんですね!

黒川さん
「そうですね。ただ、新参者の受け入れ環境が整っていない場所を開拓するのは難しいなと思いました。自分は地元出身者だったからギリ耐えた感覚があります。”Uターンで良かった~”って思いました。ただ、これからはIターンを受け入れられる土壌を整えていきたいなと思いますね。」

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黒川さんが経営するまち宿AETEの外観と内観

ーーーIターン者がどんどん増える予感がします。笑 ちなみに今の黒川さんを動かしている原動力ってなんですか!?

黒川さん
ゲーム感覚で楽しめることですかね。人口6000人の小さなまちなので、自分の行動がちゃんとまちに影響を与えていることを感じられるので、RPG(ロールプレイングゲーム)と同じ感覚なんですよ!」

ーーーなるほど!その感覚が味わえるのってやはり地方特有なんですかね?

黒川さん
「絵の具を水に垂らすことに例えると、大都市だと水が湖くらい大きいのが、地方だと水がコップぐらいしかない。だから、たとえどんな小さな行動でも何かしらの影響を与えていることを実感できる。それは地方ならではかもしれません。」

ーーーうわー、めっちゃ楽しそうですね!逆に何か困っていることってないんですか!?

黒川さん
「そうだね~、あんまりないかもなぁ。だってアマゾンで注文すれば翌日には届きますし、オンライン上で様々な人と繋がることもできるし。まあ強いて言うならば、同世代の人間が地域にいないのが若干寂しいです。あと、地域にうどん屋ばかりでラーメン屋がないのが辛いです!これが一番困っているかもしれません。笑」

ーーー香川ならではの贅沢な悩みですね。笑 ちなみに、今後の展望についてはどのように考えているんですか?

黒川さん
「そうですね、まず20代で大きな成果を出したいと思っています。具体的には自分の地元・さぬき市津田町を”地域の一軍”と思われるような場所にしたいです。そして30代になったら会社を安定させて、大学に戻って研究をしようと思います。分野はわかりませんが、実践しつつ研究をしたいです。」

ーーー大学に戻ろうと考えているんですか!なんで戻ろうと思っているんですか?

黒川さん
「なんか日本だと、大学までは学んで、その後はずっと”実践”みたいな風潮があると思うのですが、それっておかしいと思うんですよね。自分は”学ぶ”、”実践する”を人生で繰り返していきたいんですよね。例えば、自分の取り組みを一つの研究対象として、それがなぜうまくいったのかを抽象化し、一般化することで、それを他地域展開していけたらいいなと思っています。40代以降については何もわかりません。笑」

ーーー今後の黒川さんから目が離せないですね!

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4.黒川さんの「軸」とは?

ーーーでは最後に黒川さんが大切にしている「軸」について教えて下さい!

黒川さん
「そうですね、やっぱり”正しさ”よりも”面白さ”を追求したいんですよね。社会的に”正しい”ではなく、自分が”面白い”と思えるかを大切にしたいです。これは会社のメンバーにもよく伝えています。あとは、それによって1/nではなく1/1になる。それが自分の軸かもしれません。」

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Zoomにてインタビューを受けていただきました!

5.編集者(吉良)の感想

実は黒川さんは1年前から交流があり、SNS上では常に黒川さんの活動を見させていただいておりました。

自分は常になぜこんなにも異色なキャリアを歩んでいるのに、戸惑いなく楽しそうに行動し続けられているのかが不思議でした。

今回のインタビューでは、黒川さんの軸を知ることができて、自分のもやもやも解消されて、今後の黒川さんの動向を追うのが益々楽しみになりました!

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実はまち宿AETEに宿泊したこともあります(笑)

6.黒川さんからのお知らせ

インタビューの中で黒川さんがおっしゃっていたように、地域を舞台に実践したいと考えている人は一度長期で地域に飛び込むことを経験をするのが大事です。

そこで、黒川さんが経営するまち宿AETEでも長期滞在を受け入れているので、もし興味のある方がいれば是非飛び込んでみてください!

もちろん、視察も大歓迎とのことです!

また、それ以外にもまち宿AETEでは田んぼオーナーを募集しているらしいです。こちらも興味ある方は是非連絡してみてください!


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