気まぐれおはじきコレクション
iPhoneの「ヘルスケア」アプリに体重を入力していたら、「心の状態」という記録項目があることに気づいた。
日々の気分を記録するものらしくて、どんなものなんだ? と触ってみたら、これが結構面白い。
まず「今どのように感じていますか」を選ぶ。
するとこんなマークが出てくる。
良い気分の時は、このバーを右にスライドさせる。するとマークが暖色になり、花の形に変わる。
嫌な気分の時は、このバーを左にスライドさせる。マークは寒色になり、トゲトゲの形に変わる。
説明のために、今回はとりあえず「好きなミュージシャンの新曲がもうすぐ配信されるのでワクワクしている」という気分だとします。
バーを右にして「次へ」を押すと、こんな画面になる。
今どんな風に快適か、という選択肢が並んでいるので、合うものをポチポチ押していく。
次の画面はこれ。今の気分が何のジャンルの話なのかを1つだけ選ぶ。
2024.7.3追記: 複数選べた。
「完了」を押すと、今の気分が記録される。
1日に何回も記録していると、こんな風にマークと気分の内容が画面に並んでいく。グラフ化する機能もある。
で、この「心の状態」機能の何が面白いのかというと……このマークが並んでいる画面を見ると、かわいいじゃん! みたいな気分になってくるんだよね。
まず、マークがおはじきみたいでかわいい。プラスチックのこういう花型のおはじき、小さい頃によく遊んでた。マークの質感もガラスみたいで綺麗。
それで、このおはじきたちを愛でる気持ちになる。
自分の気分の記録だけど、俺かわいい〜っていうより、気分たちかわいい〜、って思う。ある意味他人事になり、感情がおままごとや演劇やフィクションの世界の小道具みたいになるわけです。
こういうパーソナルな気分の記録は、自分の場合嫌な気分に関するものが多めになる。
基本的に気分をすぐ他の人に言いたい人間だから、良い気分はすぐに家族に言ったりツイートしたりする。でも悪い気分って、ちょっと言いづらかったり、言って後悔したりする。
そういうのを日記にして、手帳やメモアプリに書いてみたことがあるけど、自分の生々しい気持ちを書いた文章が残っているとキモく思ってしまうので、あんまりスッキリしなかった。
でも、この「心の状態」に入力することは抽象的で(具体的にメモを書き加える機能もあるけど、使わなくても記録できる)、あとで見直しても「あ〜、なんか〇〇が嫌だったんだろうな〜」みたいなぼんやりしたことしか分からない。
そんで、おはじきがかわいい(重要)。
今のところ1日10回くらい記録していて、瞬間的な気持ちをすぐに入力しているから、色々なおはじきが並んでいる。気まぐれおはじきコレクション、って感じ。
あと、他に「心の状態」機能の良いところ。
これは「あるあ……ねーよ!」な話かもしれないけど……こうやって電子機器に記録していると、誰かに話しかけている気分になれる。
こういう気分の記録用に、いろんな表情の顔のシールセットが売られてたりする。手帳に貼るようなやつね。
使ってたことはあるけど、1日に何枚も思いつき次第貼るわけにはいかないし、手帳や紙に貼っていくと「自己管理の記録」感がすごくて、なんかプレッシャーになっちゃった。
それと比べると、アプリに記録していくというのは、もうちょっとテキトーで柔軟な感触。マークがトゲトゲや花型で顔のマークじゃないところも、アッサリしてて良い。
そして重要なのが、紙には電気が通っていないけど、スマホには電気が通っているということ。
すごく幼い頃、家電やパソコンなどに「意思」みたいなものがあると勘違いしていた。アニミズム的な……?
ぬいぐるみや人形にもそんな感覚は持っていた。そしてこの勘違いの感覚は、大人になるにつれて抜けていった。今はぬいぐるみや人形のことを、かわいらしくて愛着のわくインテリアだと思っている。
一方で、電気製品に対しては未だに勘違いの感覚が残っている。なんか、生きてそうな感じを覚えてしまう。電気が通っていて、どれも動いたり光ったり音を出したりするわけだから、ある意味自然な感覚かもしれない。
それもあってか、紙に「ねーねーこんな気分なんだけど!」とやるよりも、スマホに向かってやった方が満足感がある。
それに、スマホはオンラインの端末だから、外に向かって何か発している感覚も持てる。
そんなわけで、「心の状態」に気分を記録していると、誰かに言っているような気分になれてスッキリする。
そして、残った記録はなんかかわいい。良いことづくめ!
気まぐれおはじきコレクション、これからいくつも並んでいくのが楽しみ。