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えべっさんからの福は、佐倉の麻賀多神社

先日書いたnoteの記事へコメントをいただいて、「国立歴史民俗博物館」で「エビス神」の展示をしていることを知りました。

こんなご縁はきっと福!と思って、日曜日に行ってきました。

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期間最終日の前日に間に合ってよかった。
ちょうど、西宮神社(西宮戎神社)の傀儡師が操る「えびす舞・えびすまわし」のことを、新春の季語で知ったところでしたので、何かのご縁があったのでしょう。

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(「エビスの世界の展示」より えびすまわし)

この博物館がある千葉県佐倉市。都心から約1時間半。
佐倉は初めてと思っていたのですが、電車が京成佐倉駅につく手前に、水辺に大きな風車があって、そこは10年以上前に訪れた記憶がありました。確か佐原から潮来、霞ヶ浦、土浦へ行った時だったと思います。その時は小型バスで行きましたので、電車から見る風車の風景は一面にひらけて、記憶を映画のように再生している気がしました。

でも風車の記憶は佐倉とは結びついていませんでしたので、こんな機会がなければこの地を訪れることは、もっと先になっていたと思います。コメントくださった方、ありがとうございました。

国立歴史民俗博物館は、かつて佐倉城があった丘の上にありました。

京成佐倉駅から歩いていくとお堀があって、数日前の雪の名残と水面が凍っていました。あまりひと気がなく、凛とした雰囲気です。ここは本丸の北東にあたっていて、門を入って坂を登ると愛宕神社があったそうですが今はありません。

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この丘にはかつて、お城を囲むように多くの侍屋敷が建っていましたが、明治になって日本初の陸軍歩兵連隊が駐屯し、西南戦争・日清戦争・日露戦争のとき、ここから出兵したそうです。千葉県は江戸に隣接して譜代や旗本の領地が多くありましたので、明治維新でまっさきに新政府の管理のもとにおかれたのでしょう。

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愛宕坂の途中にひらけた場所があって、大きな石仏がありました。近づいていくと

古園石仏大日如来像(複製)
大分県臼杵市澤田所在

とかかれた掲示板がありました。

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方角を確認すると真東を向いていらっしゃいます。背にある木々はのびのびと枝を伸ばして、鳥が巣をつくったりしていました。

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如来さまの正面に向かい合うと真西になりました。

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かたわらの背の高い木には鳥が巣をつくっています
そして、如来さまから見えている景色

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いつだれが複製したのか、そういったことは全く案内されていないのですが、すでに苔がむしていて、ここも、こうしてだんだんと時代を感じさせる場所になってゆくのでしょう。これまでも、こんな風に本の神様や仏様が各地に「勧請」されて来たのでしょうか。今も変わらないそうした人々の心に触れたようで嬉しかったです。

国立歴史民俗博物館は、みごたえのある博物館です。1時間半ぐらいでは、とても足りなくて、「エビスのせかい」の展示があった第4展示室で、ほぼ時間終了になってしまいました。

そして閉館後、どっぷり日が暮れたあと、公園内を通って京成佐倉駅へ向かう途中に「麻賀多神社」という神社がありました。「まかた」と読みます。

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社務所を閉じている方に、祭神のことをお聞きすると「わかむすひのみこと」と教えてくださいました。この女神の子が伊勢神宮外宮の「とようけひめ」です。
そして旧印旛郡には麻賀多神社が18社あって、印波国造が創建したそうなのです。寒空の下、詳しくおしえてくださって、ありがとうございました。(「すくなひこなのみこと」のことを聞き忘れてしまいました。もうすっかり暗かったので末社にはお詣りしなかったのですが、少彦名命はエビスさまなのですね。)

●末社・疱瘡神社(なで恵比寿)
 少彦名命をお祀りし、医薬医術の祖神として病気平癒の御神徳が在られます。また別名なで恵比寿としてお姿を現され、御神像を直に撫でることにより、そのお力を戴けます。
「佐倉藩鎮守 麻賀多神社のHPより」

それから家に帰ってから調べてみると、成田にある麻賀多神社の奥宮には「わかひるめのみこと」が祀られていて、この女神は神戸の生田神社の祭神で、アマテラスの妹です。(ここもなんとなく兵庫県西宮の廣田神社と西宮神社とつながっていそう)
そんなこんなで、麻賀多神社のことを調べていたら、こんな神社の分布図まででてきて、昨日からずっと、福岡と島根と兵庫と滋賀と奈良と千葉の古代氏族のことがぐるぐるして止まりません。

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『いんばぬま情報広場』サイト「第 3章 印旛沼周辺の古代文化」より

http://inba-numa.com/html/file/torikumi/mitameshiseika/inbanumamonogatari_03.pdf


麻賀多神社の分布。沼地ではない高台の集落ごとに祀られているようです。

麻賀多神社の分布

●麻賀多神社
〒276-0016 千葉県八千代市神野
●小麻賀多神社(駒形神社)
〒276-0022 千葉県八千代市上高野283
●小麻賀多神社(駒形神社)
〒276-0024 千葉県八千代市勝田572
●飯野麻賀多神社
〒285-0003 千葉県佐倉市飯野768
●岩名麻賀多神社
〒285-0004 千葉県佐倉市岩名250
●佐倉藩総鎮守 麻賀多神社
〒285-0025 千葉県佐倉市鏑木町933−1
●飯田麻賀多神社
〒285-0032 千葉県佐倉市飯田1400
●大佐倉麻賀多神社
〒285-0041 千葉県佐倉市大佐倉183
●摩賀多神社
〒285-0043 千葉県佐倉市大蛇町385番地1
●高崎麻賀多神社
〒285-0061 千葉県佐倉市高崎49
●大篠塚麻賀多神社(麻賀多大明神)
〒285-0806 千葉県佐倉市大篠塚1106
●太田麻賀多神社
〒285-0808 千葉県佐倉市太田1505
●城麻賀多神社
〒285-0815 千葉県佐倉市城777−5
●江原新田麻賀多神社
〒285-0823 千葉県佐倉市江原新田2
●下台麻賀多神社
〒285-0924 千葉県印旛郡酒々井町下台159−1
●下宿麻賀多神社
〒285-0927 千葉県印旛郡酒々井町酒々井204
●上岩橋駒形神社(小麻賀多神社)
〒285-0905 千葉県印旛郡酒々井町上岩橋1795
●船形麻賀多神社 麻賀多神社 奥宮 手黒社
〒286-0001 千葉県成田市船形834
●麻賀多神社 本宮
〒286-0003 千葉県成田市台方 字稷山1
●中台麻賀多神社
〒286-0015 千葉県成田市中台4丁目26
●久能駒形神社
〒286-0203 千葉県富里市久能553
●小麻賀多神社(駒形神社) 
〒286-0204 千葉県富里市大和603ー1
●中澤麻賀多神社
〒286-0222 千葉県富里市 中沢503
●新橋麻賀多神社(正一位 麻賀多大明神)
〒286-0224 千葉県富里市新橋818

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関東平野における縄文海進期(現在より約 6000 年前)の海陸の分布と貝塚の分布。 現在の利根川流路の大部分が海となっていた。(いんばぬま情報広場サイトより)

http://inba-numa.com/.../mitame.../inbanumamonogatari_01.pdf

そして、印旛は印波と書いていたようなので、印旛(いんば)、筑波(つくば)、千葉(ちば)という地名もつなげてみたくなります。
もしかしたら、千葉は「千波」で、縄文の頃の海の記憶、千の波立つ場所だったのかもしれないし、ということは、もしかしたら筑波は「尽波」で、波が尽きたところかもしれない。

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黄色の部分は、明治の頃に田んぼだったところ。赤茶色の線は当時の堤防(河川の氾濫や海水の浸入を防ぐため、河岸・海岸に沿って設けた土石の構築物)。(国土地理院の地図より)

というわけで、今年の初詣は奇しくもエビス様のご縁で、佐倉の鏑木町にある麻賀多神社にお詣りさせていただきました。

しばらく千葉の北部にゆらゆらと。そいういえば中央構造線は筑波山を通って鹿島神宮のある鹿島灘を突き抜けているんです。



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