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インドでケトン食療法②:フライイングスタート

はるるん、実は、ケトン食療法を始めて2週間が経った。

前回の投稿で、ケトン食療法について栄養士のシェファリと面談をしたことを書いた。そこでは、日本への一時帰国が終わってから始めましょうということになったと書いたはずだが、「発作が多すぎるし毎日トロンとしていて可愛そうすぎるから、いいじゃん、俺達でやってみようよ」というテキトーな(?)夫の発言の下、勝手にケトン食療法を始めることになった。

シェファリとの面談を終えて、とても細かくて厳しくてちょっと途方に暮れた私の話を聞いた夫、「そういうのはハイハイって聞き流して適当にやらないと、俺たち飽きっぽいし大雑把だから続かないよ」と助言をくれた。

「それに、俺たち知識がないわけじゃないんだから、全部シェファリに管理してもらうんじゃなくて、ちゃんとノウハウを学んで自分たちでやったほうが絶対にいいよ」

確かにそのとおりだ。シェファリはケトン食療法の専門家だが、私たちはハルの専門家だ。ハルはペースト食にしないと食べられないし、水もとろみがないと飲めないし、好き嫌いもある。それを上手にクリアしながらケトン食療法を進めるためには、自分たちで模索していくほかない。

うん、そうだな。まずはちょっとやってみよう。日本への一時帰国から帰ってきてシェファリと面談するときにも、一度やってみてあると問題点も洗い出しやすいし、自分たちがノウハウを学んでやっていきたいという意思も伝わりやすいかもしれない。

というわけで、なし崩し的に(?)ケトン食療法を始めた。ケトン食療法と修正アトキンス法についてざっと勉強してから、炭水化物を極力カットして脂肪を多く摂取するような食事内容にするよう、食材の勉強をしたり、どの程度何をカットして何をプラスすればいいのか、少しずつ調べながら始めた。

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炭水化物をカットする代わりにプラスするのは、主に油。サラダオイルのほか、バター、生クリーム、ギーなどを分量を測って食事に加える。バターを煮詰めて作るらしいギーは、当然バターよりもカロリーが高い。また、牛乳を凝縮したパニールは、なんと生クリームよりもカロリーもプロテインも豊富だ。

そしてメインはタンパク質と低炭水化物の野菜になる。意外と野菜は炭水化物を多く含んでいるものもあるので要注意だ。葉物野菜は心強い味方。

ペースト食のとろみ剤問題

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優秀食材としては、チキンやマトンといった肉類(写真はポークチョップ)が挙げられる。タンパク質と脂質が主な成分で、炭水化物はほぼゼロ。だけどハルの場合は肉をこのままペーストにするとつぶつぶが残ってしまうので難しい。今まではなめらかにペーストにするためのつなぎとしてじゃがいもを使っていたが、じゃがいもは炭水化物が多いので多用できない。

そこで考えたのが、生クリームだ。ところが生クリームだけでは十分にはなめらかにならず、肉のパサツキが残ってハルは飲み込めなかった。

次に考えたのはアボカド。アボカドはそれなりにスムーズになるが、なんといってもインドではアボカドがとても高い。ほとんどが輸入物で、1個300〜400ルピー(500円〜800円)する。たまにインド国内産のアボカドを見つけて、1個100ルピーほどで買ってみたが、傷んでいたり味が悪かったり。というわけで、良いアボカドを常備するのは難しそうだ。

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次に考えたのは豆類。ところがひよこ豆や赤いんげん豆といった日常的に多用する豆は炭水化物が多い。炭水化物が少ないのは大豆と落花生だ。特に落花生は高タンパク質でかつ炭水化物が少ない優秀食材。そこでたどり着いたのが、シュガーフリーのピーナツバター。ところがとろみ剤代わりに使うには、ピーナツバターは案外つぶつぶしていた。(とても美味しかったので娘がパンに塗って食べている)そこで落花生をよく茹でて柔らかくしてから肉をペーストにするときに加えてみた。これは案外イケる。

でもここでハタと考えて調べてみると、落花生は豆類の中ではダントツで炭水化物が少なく高蛋白質ではあるけれど、じゃがいもの炭水化物量と100gあたりで比較するとほとんど変わらないか落花生の方が少し多いくらいだった。じゃあジャガイモを少量入ればいいんじゃないのか・・・???とすれば、とろみ剤を少量いれるのでもおんなじなんじゃないのか???

試行錯誤の旅は現在進行形である。

お水のとろみ剤問題

ハルはお水にもとろみがついていないと上手に飲み込めない。普段使っているのは日本で介護食用に売られているとろみ剤だが、これには炭水化物が含まれている。1日に飲む水に使うとろみ剤の量から換算すると、炭水化物量は一日4g程度であるが、それを良しとするかナシとするか。シェファリはやめたほうがいいといいっていたが、とろみ剤をやめた場合、代替品は何がよいのか?

最初に試したのはゼラチンである。主成分がタンパク質のゼラチン、普通にうまくいくような気がしていたが、水に使うとゼラチンの臭みが全面にでてとてもまずい。おえー。

ならば、寒天がいいのでは?と思い至る。寒天はインドではスーパーではあまり見かけないし、たまに見かけても砂糖が混ぜてあるものがほとんど。(なにに使うのかしら…?)結局アマゾンで夫が見つけたものを注文したものの、やっぱり日本の寒天とは少し違うような??上手にとろみがつくことを期待するが、果たしてどう扱うと良いのか。(まだ届いてない)

日本に帰国したらぜひ長野県が誇る優秀企業、寒天ぱぱに取材にいってみたいものである。

甘いオヤツが食べたい!問題

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ハルはこれまでスイーツが大好きだったが、砂糖や果物は完全にカットしなくてはならず、代わりに甘みがほしい場合はステビアを使うことにした。メイドさんのパミさん、「ハルが大好きだったケーキが食べられないのはかわいそうだ」と、なんと大豆の粉と卵とステビアでケーキをやいてくれた!!涙。愛が詰まっててとても美味しいケーキを久しぶりに食べたハルは嬉しそう。

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次に私が考えたのは、シュガーフリーのピーナツバターと生クリームをよーく撹拌して作るピーナツバタークリーム。ピーナツの甘みがあるのでステビアは抜きで。これもハルは大好きな味だったらしく、あっという間にぺろり!少量で高カロリーなので、ハルにとっても介助者にとっても楽である。

うん。なんか、いろいろできるもんだな。

2つのベスト・メイン食材

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2週間いろいろ試してみたが、結局優秀食材である肉や魚はハルの場合ペーストにするにあたって工夫が必要であり、扱いにやや難があることがわかった。

ハルにとって、高たんぱく質高脂肪かつスムーズになってとても食べやすいメイン食材は、パニールと卵であるということも分かってきた。ゆで卵やオムレツに生クリームと茹でた低炭水化物の野菜を加えてペーストにするととてもおいしくて食べやすい。パニールも当然といえば当然だがミキサーにかけるとすぐにとてもなめらかになり、高蛋白質高脂質。それにパニールの良いところは、ペーストにして冷凍保存しても元どおり滑らかに解凍できるというところ。(卵や豆腐は一度冷凍して解凍すると食感が変化してしまう)

卵とパニール。ベースはこの2つでいくことになりそうだ。あとは大豆や落花生をダルカレーにするのもよさそうだ。時々お肉も頑張って食べる、というのでよいのかもしれない。

効果

今の所とろみ剤の炭水化物は目をつぶってやっているけれど、それなりに尿にはケトンが出ているシェファリには尿検査を1日4回といわれたけれど、今は気がついたときにだいたい1日1回くらいのペースでおむつに押し当てる方式でケトンチェックをしている。ハルは今のところケトン体3+ぐらいをキープしている。シェファリには目標4++くらいといわれているが、とりあえずは合格ではないだろうか。

そうして、肝心の効果についてである。熱を出したりすると発作がグンと多くなるので一概に判断するのは難しいし、3ヶ月続けた時点で効果を判断するとシェファリには聞いているので判断するにはまだ早いのは承知の上で、、、

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発作回数、日中(朝起きてから寝るまで)約30回から10回程度に変化している。効果、出てきているような???そして目に見えて変わった変化は、ハルがちゃんと前みたいに起きていられるようになって、そしてたくさんニコニコしてくれるようになった、ような気がすることだ。

プラセボ効果ではなく、リアルな結果であると判断するためにはもう少し時間が必要な気がするが、良い方向に向かってくれていると信じたいところだ。

シェファリとの面談後、あんなにも重い気持ちになったが、勉強熱心でこだわりのない夫とハルを愛してくれるメイドさんたちのおかげで、なんだ、できるじゃん、と思えている自分が今ここに。

日本への一時帰国まであと1ヶ月、移動時の食事や帰国時の食事など、当初はとてもじゃないけど無理なのでは?なんて思っていたけれど、やり始めてみたらなんとかなるような気がしてきた。

WANIMAのやってみよう!が脳内フルプレイ。

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はるるん、いけいけー!

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