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過去の日記転載シリーズ

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2006年ごろから2011年頃までの過去の日記をまとめています
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2020年5月の記事一覧

コスモス 2009年3月1日

おまえ、また忘れたのか。   ええ、そうみたいですね。 どうしてそうすぐ忘れるんだ。   どうしてでしょう、なんども、忘れますね。 なんども、忘れて、いいことが、あるのか。   ないでしょうねぇ、ええ。嫌な気分になるだけです。ただ・・・ ただ、なんだというのだ?   ただ、なんども忘れて、ああやっぱりダメだと何度も思ったら、 思ったら・・・?   それが大事な事だって、きっといつか体にしみこむんでしょう。 おまえはそれでいいのか。   ええ。それが、わたしです。

美的感覚 2007年9月16日

私は良くわからないものがすきなのだ  抽象的なもの、何か分からないけど感覚でしか捉えられない、 でもその感覚が迫ってきたときに からだ全体にびぃんと何かが走るような そんなものがすきだ。 言葉だと一つで終わっちゃう概念が、 絵で表すとすごく沢山の種類で表現される。 一緒に行った某省庁の官僚は、 「絵は良くわからないからはっきりしている写真のほうがいい」 とおっしゃっていたけども 私は良くわからないものの方が実はものすごく忠実で 抽象画といわれるものほど実は ものすごく具体的

ミュートだった 2009年11月4日

視界が安定している とふと思った いろいろな人の文章や価値観に触れていると すぐに揺れる、ぶれる、 そういうのがここ何年かの私のよさでもあり欠点でもあったのですが 最近、私は常に「私」として世界をとらえて そして 他人を見ることができているような気がする そして、「楽しい」ということがとても純粋だ。 ただ「楽しい」と思うということが、こんなことだったっけ こんな平穏なことだったけ、と思う 「楽しい」という感情には常に相反するものが同居して 常に葛藤が内包されていて 「

ファー・アウェイ 2009年4月28日

髪をサラサラにしたくなる。 ふと、ある感覚に襲われると どこまでも髪をサラサラにしたくなる。 それで美容室に行って 高いお金を払って髪をサラサラにして 帰ってくる。 髪をサラサラにして 笑顔を貼り付ける。 私は笑顔を貼り付ける。 同じものが色あせて見えるから。 優しかったものが 涙したものが 勇気付けられた場所が 一晩中踊り狂った場所が 遠い遠いものに見えたから。 私は悲しくなって わからなくなって ただ微笑む。 泣いていないな、と思う。 泣きたいことはいっぱいある

本当の美しさ 2005年10月20日

いろいろいろいろいろいろ。 生きてくってことはそれだけで大変なことだ。 雑多なこの世界で人が一人生きてくってことは、すごく大変なこと。 そういうことを、たまに実感して、 そして、とても重く感じることがある。 だから、 やる気のない猫背にセクシーを感じる たばこの煙をくゆらせる後姿にひかれる ちらかったぼろぼろの少年ジャンプ 飲みかけの冷め切ったコーヒーが入ったマグカップ ひびの入ったCDと電池の切れたCDプレーヤー 日の光で変色したベージュのカーテン 風が吹き込むがた

いとおしさ  2007年8月10日

落ち込んだり もう今日はどこにも行きたくない なんにもしたくない 誰とも会いたくなんてない 今日はちょっと誰かと飲んだり笑ったりする気分には なれそうもないと思っていても ちょっと頑張って外に出て 会うと一瞬で元気にさせてくれる人がいる、ミラクル それで さっきまでものすごくどろどろで重たいものが あたしにのしかかっていたのに それが嘘みたいに消えちゃって いつの間にか顔がおかしくなるくらい笑っていて そういうことが本当に驚きで あたしはそんな瞬間がものすごく好きだ。 な

雨の、真ん中 2009年3月19日

泳いで、 泳いで泳いで泳いで、 泳ぎ疲れて、顔を上げて息を吸い込む。 そしてふと振り返ると ああ一番心休まる場所は 最初に海に飛び込んだあの海岸にあったのか、 そう思うようなことがある。 心頭滅却という言葉がある。 意味は、ものすごーく簡単に言うと、心の雑念を取り払うってこと。 「無」になる、とも言う。 十字や卍の中心にたたずむと、そんな気分になることがある。 なにもない、何も感じない、静かで、穏やかで、 あぐらをかいて、いつまでもあぐらをかいたまま、目を瞑っている。 わ

甘い曲がり角 2009年05月04日

ボロボロのジーンズにすっぴんで エメラルドグリーンのペディキュア(私の足のでこぼこの親指の爪を魚のうろこみたいにしてくれるから好き)をぬった足にサンダルをつっかけて 晴れ渡った五月の空を仰ぎながら チャリをこいでいると ふわりと花の甘い香りがした あれは何の香り? あの曲がり角はいつもそう 甘い花の香りがする レンガ造りの壁にツタの葉が絡みついた 小さなケーキやさんのある曲がり角 そこを曲がるとTSUTAYAで 何時間もかけて選んで借りた2本のDVDを どちらも見ることなく

砂漠のコーヒーロック 2009年4月24日

ベッドに倒れて、 転がっていた読みかけの小説を開いて一節を読んだら ふと昔を思い出して 一瞬コーヒー豆を噛み潰したような感じがした。         * そもそも大学に入ったばかりのころ、 フランス語を選択したのは、 アフリカに行きたいと思ったからでした。 私はサハラ砂漠に憧れていました。 なぜかはうまく説明できないけど、 口では砂漠を緑化したいんだと言っていたけど、 (もちろん緑の森も好きだけど、) 本当はただ単純に、あの果てしない 絶望の海のように乾ききったサラサラ