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30代突入する前に断食体験をした話

30歳になる前に、添加物にまみれた身体のデトックスをしたかった。
世の中の29歳は、30歳を目前に焦ったり、大きな決断をしたり、高価な買い物をしたりするみたいなんだけど。私はといえばそんなお金もないし、結婚とかそういう系に関しては、卓越(?)しているので焦るとかいうレベルではないので、多くの人は「手に入れる」30歳だけど、なんか「手放す」みたいなことをしたくて(禅僧かよ)、断食体験をしてきた。

もともと知り合いがファスティングのコーチをしていて、4-5年前に話を聞いたら、ファスティングをするとアレルギーがなくなって、生まれてくる子どもも健康体で生まれてくる、のような話を聞いたので、「よし、いつか子どもを産みたくなったら、2週間くらいファスティングをして毒素を出しきろう!」と思っていたけど、「Heyhey! いつなんだぜベイビー?毒はたまる一方なんだが??」って感じだったので、ちょうどよく節目を迎えることもあって、一旦ベビー迎合の概念は捨てて母体だけ先に断食してきた。


今回私が行ったのは、滋賀県の琵琶湖のほとりにあるファスティングの施設で、水だけの過酷な断食ではなくて、発酵食をほんの少しだけよく噛んで食べながら過ごすところだった。7/16~18の3連休を使って2泊3日で行ってきた。ちなみに私の誕生日は7/19で、本当に30になる直前のタイミング。友人にもこのことを先に伝えていたら、面白いねと言ってくれるのはせいぜい4.5人くらいで、そのほかは「ふはぁ~」という、言葉にもならない反応だった。いいのだ。心は既に決まっていたのだから。

せっかちな性分なので、結果を先にお知らせすると、ファスティングの効果が見られたか?と言うとひとつだけある(あとで書く)。今回ダイエット目的ではないけど、痩せたか?と言うと、一瞬1kgくらい痩せた(それは単純に期間中食事量が減ったから)。老師(とここでは呼ぶことにする)が仰るような、頭が冴えるなどの効果はあったかと言うと、そこまでには達しなかった。老師は「ファスティングがライフスタイルとして定着することが本来の目的」と仰っていたが、それは意志が弱すぎて帰宅後15分でダメだった。


時系列で振り返ってみることにする。あくまでも個人の感想です。

1日目
16:00ごろ チェックイン

夕食の時間まで、老師がオススメしていた琵琶湖の絶景スポットを徒歩で見に行く。綺麗だった。イギリスにはいろんなところにベンチがあるから、観光地にはベンチがあるもんだと思っていたんだけど、全くない。座りたい。ぼーっと眺めたい。夕食の時間もあるし座るところもないしで、絶景ポイントを素通りする。途中の旧郵便局の建物が我的に最高だった。

ここが老師一押し琵琶湖ビュー
よく見ると、瓦に〒マークがある

17:00 夕食の時間
いつもだったらひと口で食べられる玄米と、発酵食のおかずと、写真ではわかりにくいけど、お椀に1cmくらいしか注がれていないお味噌汁を頂く。小指の関節1つ分ずつくらいの量を、最低48回は噛んでくださいと言われる。顎が痛い。到底満足する量ではないが、たくさん噛んだからか空腹ではなかった。何か精神世界的なことをやっている充足感のようなものがあった。

一応補足だけど、左下に見えますのが、ご飯です。


18:00ごろ ファスティングの講義①を受ける

老師の話は興味深い。ファスティングは学問によって効果が裏づけされている、という話だった。平日は1人しか泊まってないこともあるそうなんだけど、3連休だったから、男女合わせて7名くらいが宿泊していて、そのほとんどが初めての人だった。だから、これから始める断食に対して不安要素を減らすためにも説明してくれていたのだろう。そうそう、ヨガやマクロバイオティクスとか起源が東洋のものは、現地の人の習慣で受け継がれてきているものを、西洋の人が西洋の言葉で説明できて、初めて認められて広められるよな~ふむふむ。なんて思いながら聞いていたら、ここのファスティングは東洋式ではなくて西洋式なんだって。あれ?あ、そうなんだ。



(お風呂の時間はきっちり決まってて、我が家には体重計なんてないのだけど、ちょっと測ってみたら健康診断の時よりも痩せてた。ラッキー。)



20:00ごろ 映画を観る・本を読む
ワーケーションする人もいるらしく、Wi-fiが完備されているのはありがたい。私は毎年この時期にアンハサウェイが主演の「One Day」という映画を観るので今年も観た。何度見ても飽きない、切なくて素敵な映画。大好きな綿矢りさ様の本も持ってきた。「手のひらの京」っていうタイトルなんだけど、関西に住んでいるから情景がわかるし、30前後の3姉妹の話でもあるから、すごく共感できて我ながらいいチョイスだった。

22:00ごろ 眠い
もう眠い。ご飯の量がいつもより少ないので、パワーが足りない。本は読み終わったんだけど、それは電車の中で5/6くらい進んでて、だからちょっとだけ読んだだけだった。老師は頭が冴えると言っていたけど、多分それは身体が慣れたあとのことで、今は普通に力がない。本当はもっと色々したかったんだけど、思考ができない。映画やドラマくらい観れるやろと思うけど、能動的な思考ができなくて、確かに垂れ流して横目に見ることはできるけど、それで感動まではできない。

24:00ごろ いうて眠れない
いつも赤ちゃんみたいな生活を送っているので、満腹→寝落ちの生活をしている。だから空腹では眠れない。眠いのに眠れない。
それからどれだけ時間がたったかはわかんないけど、無事にセルフ寝かしつけに成功した模様で朝を迎えた。


2日目
7:00ごろ 朝食

朝は本当は食べないほうがいい、ってのが老師の考えだけど、固形物でないならいいとことでスムージーと豆乳ヨーグルトをいただく。
他の人は2Fのお食事スペースで食べるんだけど、よくわからんが定員オーバーだったらしく、私は密を避けるために(期間中部屋で食べることになった(老師グッド人選!私は別に一人でも構わない)。だから、「え?スムージーも噛むの?48回?」
よくわかんないけど、これも一応ちまちま飲んだ。

8:00ごろ ファスティング講義②
テーマは、食べる量をいつもの1/3にしたほうがいい、という内容。現代人はそもそも食べすぎているし、消化にすごいエネルギーを費やしている。だから、食べる量を減らしたら、いつも消化に使っているエネルギーを脳に有効活用できる。ふむふむ。make sense。1/3にするっていうのは、1日1食にするか、毎回の量を減らすか。ついでに食費や時間も節約になっていいじゃん!とのこと。
せっかく琵琶湖周辺に来たから、ちょっと遠出したい人にはお弁当をあげますと言われたんだけど、なんだか暑い中色々歩き回りたくなかったので、私は普通に宿で過ごした。

9:00ごろ ちょっと近くまで散歩
すでにまあまあ暑い。Google mapで、少し歩いたらビーチ?のようなところがあることを確認したので、そこに行ってみる。地図で見るとずっとい湖沿いに道路があるようなんだけど、実際行って見たらずっと防風林?のようなものがあって全然見えない。歩くの面倒臭くなってきたけど、引き返すにも中途半端な距離まできてしまった。サイクリングの道は整備されていて、ガチサイクラーにも5組くらいすれ違った。でもこの周辺はお散歩する想定がされていない。そうだよな、基本田舎は車だもんな。新しく買った、廃タイヤをアップサイクルしてできたビーサンが痛い。目的地に着いた。びっくりするほど湿地で、ベンチが2つポツンとあるだけだったし、そこは釣りスポットらしくて、全身長靴みたいな男達が次々とやってきてなんか色々違った。

いつも日光に当たらない生活をしているので、少し外に出ただけで容易にうろたえる。お昼を食べて、映画を観た。この期間中はクソ映画を観たくなかったので、確実に名作な「ショーシャンクの空に」を観た。思考力は低下しているので、「よかったね」っていう感想しか抱けない。
廊下で誰かが老師に質問をしている、お互いの言語センスが合わないので全く意思疎通ができていない。うるさいし面倒くさい。

そう、だんだんと空腹と疲労で私はイライラし始めている。
夕食を部屋でいただく。それでも空腹である。タリナイ。

重複になりますが、左下に見えますのが、ご飯です。
サツマイモの直径と同じくらいのサイズです。

18:00ごろ ファスティング講義③
健康に投資しましょう、という話。朝の食事量1/3の続きから、なんだか日本の食料自給率の話になった。老師曰く現在自給率は37%で、だからもし有事になって海外から食料が入ってこなくなったら、日本にはコメとサツマイモしかなくて、多くの人が飢えてしまう。がしかし、通常から1/3の生活をしていれば、特に問題なくないか?みたいなことを言っていたが、別に戦時中の飢えに備えて3連休ここにやってきた訳ではないので、私はポカンだった。機嫌がよろしくなかったので、多分途中すっ飛ばしてちゃんと理解できていなかったのだと思う。

昼何もしなかった罪悪感から、夕食後涼しくなってからまたお散歩に出かけた。ビーサンが痛い。「こどもの国」みたいなところがあって、名前的に絶対行かねーと避けていたけど、結果的にここが一番チルポイントだった。防風林のところに小学生の子どもを持つ約10くらいの家族がキャンプをしていた。子ども会的なやつかな。19:00前だったので、ちょうど夕食の準備をしていた。水遊びの時間は終わっていたっぽくて、子らが水際に群がっていなくてよかった。ここは小石のビーチだったので、心置き無く座れる。明らかに異質な女がひとり、ずっと湖面を眺めている。センチメンタルになれるかなと思ったけど、とにかく空腹なのと足が痛い。音楽を聞こうかなと思ったけど、なんかの不具合で聴けなかった。それでも、ずっと程よい波があって、ここからの景色は最高だった。




(お風呂の時間にギリギリ間に合った。昨日久しぶりに対峙した、我が体重だけど、再び見たらさらに1kg弱減っていた。わお。)



21:00ごろ もう何もできない
映画も観れない、本も読めない。昨晩と同様、能動的な思考は無理で、3分くらいのyoutubeなら見ることができた。継続した集中が難しい。パワーがないから眠いんだけど、眠れない。糖分が欲しい。貰ったハーブティーが甘くて美味しかったんだけど、それは少し離れた机の上にあって、隣の給湯室でお湯を注げばいいんだけど、それは分かっているけど、動くのが面倒くさい。糖分が欲しい。糖分g…みたいな感じで力尽きて眠った模様。


2:00ごろ 目が覚める
そりゃそうだ。21:00就寝は早すぎる。なぜか今度はシャキッとキリッとしているので、ささっとハーブティーを淹れる。「Baby Teeth」という、サムネがサブカルっぽい映画を観る。ざっくりういうと「タイヨウのうた」的な内容だった。こちらのコンディション的に感動するのは難しかった模様。



3日目
8:30ごろ 最後のファスティング講義④

朝食のスムージーを飲んだ後、最後の講義を聞く。他の参加者の方たちは、割と元気そうだけど私はフラフラしている。何も頭に入ってきていない。ここでは特に新しい説明はなくて総集編って感じだった気がする。とりあえずたまに肯いて、下のまぶただけに力を入れてマスク越しに笑っている風に見せておく。

誰かの体験記でも読んだのだけど、2-3日目あたりが空腹で辛いらしい。だから、結構辛いタイミングで帰ることになったし、老師にも闘志を抱いたまま帰宅することになってしまった。
最初は面白いと思って聞いていた話も、私には全然make senseではなくなっていってしまった。その点は非常に残念。


10:00ごろ 駅に向かう

バスで駅に向かう。一緒に参加した2人の女性も乗っていて、結局お話するタイミングがなかったから、色々聞いてみたかった。多分2人とも40代くらいの方だった。
一人の方は方向が同じだったので、ホームでちょっとお喋りしてたので大阪まで一緒に帰るのかなと思ったら、離れたところにお座りになったので、「あ、おけ。そういう感じね」と思いながら読みかけの本を読もうかなと思ったが。。。
お昼に食べてくださいと渡された、玄米のおにぎりがあって、その女性が遠くに座ったことをいいことに、即食べた。うまかった。一般的な成人が思い浮かべるサイズのおにぎりだった。罪悪感から、ちゃんと48回は噛んだ。と思う。まだうっすらフラフラするけど、これでだいぶマシになった。

急激に多くの量を食べてはいけないことを事前にも知っていたし、老師もそう言っていたので、お昼は前から気になっている玄米カフェ的なところにしようと思っていた。何度も脳裏に「5-5-1」という謎の数列が浮かんだんだけどなんとか無視して、志高く玄米ランチにしようと決めた。
そのレストランは最寄りのひとつ手前の駅で、駅からちょっと歩く。まだビーサンが痛い。


12:00ごろ 一旦家に帰りたい
玄米のところ、配達もできるし。荷物も多いし、足も痛いし、一旦家に帰ろう。ベッドにダイブしたい。
寝転びながらUber Eatsを開く。インドカレー屋さんがキャンペーンをやっていて、一つ頼むともうひとつ同じものが来る的な、頭悪めなセールをやっている。(普通はドリンクとかサイドメニューとかだけど、どメインでこれをやっていた)玄米カフェのことはすっかり忘れて、特売カレーに支払い完了。私の2泊3日の崇高な意志はいずこ。服を洗濯機に入れるよりも先に、罪深き右手の親指により、私のファスティングライフは終了した。正確にはおにぎりをフライングで食べてしまった時点で終わっていたんだけど。

カレーはうまかった。スパイスが毛細血管まで行き渡るのを感じた。2食分届いたけど、普通に1食分でキャパオーバーだった。満足だ。お腹が空いても食べ物にアクセスできるという安心感。数分前の自分の先見の明に惚れる。
満腹になったので、眠くなった。次の予定まで少し時間があったので、少し寝たら元気になった。一瞬で今までの生活に戻ってしまった。Life goes on.


ファスティングの効果に関してだけど、ひとつだけ「おお!」と思ったのは、(もうこういう系言ってももいい風潮だから言っちゃうんだけど)生理痛が軽くなった。
ファスティング終わって割とすぐ生理が始まったんだけど(でも、調べたら生理前の断食は避けましょうだって。自己判断でよろしく。)いつもは感覚的に2Lくらい血が流れて(調べたら平均値は37~43mlだって。そんなわけなくない?)、仕事中もマスクの下でずっと「うーまーレールー」って唸るくらいには辛いんだけど、たった2泊の断食の効果なのかよくわかんないけど、本当に血の量も1Lくらいだったし、痛み止めを飲むときもあったけど何も生まれる気配はなかった。これが本当に断食の効果だったら、多少の空腹は我慢する。それに伴うフラフラも受け入れる。



また断食をやりたいかというと、やってみたい。1年に1回くらい定期的にメンテナンス的な感じでやりたい。
「ファスティングがライフスタイルに」というのはいまの私には到底無理なんだけど、概念は理解した。新しい世界を垣間見れたのと、少し新しい知識を得られたのはよかった。
もう一回勉強して老師のお話を聞いてみたい気もするけど、いろんなファスティング施設にも行ってみたい。景色のいいところで過酷でないところ。そんな感じで30代に足を踏み入れた。意志貫けないのがまだまだチャーミングで、いい感じのスタート。

ずっと痛かったビーサン。旅行の時は慣れた靴で行きましょう。教訓だよね。


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