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混じり気のない”甘酸っぱい”を。

「ひとくちちょうだい」

今までの人生で、いちばん甘酸っぱい頃のワンシーン。

確か、オレンジジュースの缶だったような気がする。
何を飲んだかなんてあまり覚えていないほどに、高校一年生だった僕の脳にフルスイングで思いっきり衝撃を喰らわせた彼女。

こちとら初彼女、初デートだってのに。
同じ人間だし少しは緊張しててほしい。


そんなガクブルな僕に、微塵も緊張の素振りを見せずにあまりにも純粋無垢で、天真爛漫で、清廉潔白で、治外法権な笑顔でそう言った。

衝撃だった。カテゴリが「恋愛」ではなく「エンタメ」とかだったら、20年以上推し続けた生き甲斐ともいえる俳優を失い、空き家みたいに空っぽになってしまう母親くらい。もちろん晩ご飯は作ってくれないぞ。

そこをたったひとりの「ドキドキ」が救った。感謝状がまだ届かない。

一歩間違えたら爆弾発言という言動で思考停止していた僕の目の前に現れた光景は、今でも忘れない。衝撃映像である。

「付き合うってこういうことかぁ」

唐突に、「間接キス」を達成した。

ぼーっとのぼせていると、
右手には缶ジュースが返却されている。
クールな顔を作り直して飲み干した...つもりが、むせた。


こっちからしたら何年経っても覚えているほどの長すぎるシーン。
そんな僕の気も知らず、少女漫画でたくさんイメトレしてきたのか、「まずは間接キスしてみよっ☆」みたいな緊張感の彼女。笑

もちろん今になって考えてみればだけど、今でも大切な青春の思い出であることは間違いない。



タイトルは「混じり気のない”甘酸っぱい”を。」にしました。
青春真っただ中の僕はあの日、紛れもなく混じり気のない純度100%の間接キスを達成しています。

今になってこんな記事を書こうと思ったのはコロナウイルスが蔓延している今、青春している子たちの体験の純度が低くなっているんじゃないかと危惧したからです。

こんな記事を書いている間にも、コロナウイルスの脅威はとどまることを知りません。安易な接触はもちろん、キスなんてもっての外。コロナ規制下のなか、イギリスの保健相が側近の女性とキスをしたことが発覚して辞任したなんてニュースもあります。

思春期なら、「そんなことお構いなし!」と思う人もいるかもしれませんが、さすがにこの長引きすぎている現状を見てやはり接触は気が引けるんじゃないかなと(人の目のないところでやることやってるとは思いますが)。


ただ、「手を繋ぐ」とか「間接キス」とか「デートする」とか、些細だけどきっと大切な思い出になるイベントのすべてに、マスクとアルコールとパーテーションが平然と同伴してると思うと、よりあの日の記憶が大切になっていくのを感じます。


果たして何年も後になってnoteに1000文字も書くほど純度が高いでしょうか。

僕はたまたま、思春期に「純度100の”甘酸っぱい”」を体験することができました。
ただ、この記憶の彼女がマスクをしていたら...。果たして何年も後になってnoteに1000文字も書くほど純度が高いでしょうか。

「高校生になったら〇〇しよう」
「大学生になったら〇〇しよう」
「社会人になったら〇〇しよう」

なーんて言ってその”時期”を待っていると、せっかく待ち望んだ体験が物足りないものになってしまうかも。今の時期に無理やり恋愛しても楽しくないなと思うなら、コロナ禍でも質の高い体験が期待できることに思い切って集中してみるのもまた青春でしょう。

体験は待つものじゃないから、今できる最高の体験をしていきたいなーと思います。



最後まで読んでいただきありがとうございました!

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