〜産まれてからの環境〜隠し事を暴露した日

五年生を迎えたみあ。

ある日母から相談があった。

『パパが○○に仕事で転勤になるんだけど…お母さん行きたいから、あんたもついてきてくれないかな?』

パパとは、サリのパパの事。

『絶対それだけはやだ!パパ嫌い!みあは、じじとおっきいお母さんとずっといる!お母さんだけ行って!お母さん行ってほしい!』

この頃のみあはもう、叩かれ殴られる事なんて、へっちゃらだった。

『このガキ!優しく喋れば口答えばっかりしあがって!』


母はまたこの日も、自分の感情をみあへぶつける。

”好きなだけやればいい”

みあはそう思いながら、怒り狂う母を睨みつけた。

『あんたのその目。父親そっくり。お前なんか産まなきゃよかった本当。早くじじんちでもいきな!』

みあは黙って祖父達の家へ帰った。

”お母さんがお母さんで、本当にもうやだよ”

こんな生活に終わりはくるのか?

お母さんがサリのパパと、遠くへ行ったらお母さんから解放される。

こんな事思っちゃいけないと思いつつ、お母さんとサリのパパが早く居なくなる事を強く望んだ。


祖父達の家へ着くと、母の再従姉妹アキエちゃんが来ていた。

『みあ〜久しぶり!今日アキちゃんのうちへ泊まりに来ない!?』

と突然誘われた。

突然の事で驚いたが、みあは自分に優しくしてくれる大人が大好きだったため、即答で返事をした。

それにアキエちゃんの家には、”さくら”というビーグル犬がいる。

頭が良くて人懐っこくて、とても可愛いさくら。

アキエちゃんの家に行くのはいつも楽しみだった。

アキエちゃんの家へ着き、ホットプレートで一緒にお好み焼きを焼いた。とても美味しかった。

アキエちゃんはビールを飲みながら摘み、さくらは犬用ジャーキーを食べていた。

”すごく楽しい!ずっとここにいたい!”

そう思いながら、お好み焼きを食べていると、アキエちゃんが突っ込んだ質問をしてきた。

『みあ…家にサリのパパいるよね?アキちゃん、サリのママとお友達でね。他の人からも、色々お話聞いたんだ。』

”うわ。。バレてるし…”

と思ったが、きっとこれを聞きたかったんだなと感じた。

さっき祖父達の家に居たのも、きっとこの話をしてたんだなと察した。

バレてるのはかなりまずいと思ったが、アキエちゃんなら全部から助けてくれるかも…と感じてしまい、みあは本当の事を伝えてしまった。

『うん…本当はずっと前からいるよ。みあ凄く嫌なの。サリお友達だったし、パパが好きじゃない。お母さんもすぐ怒るし怖いから、話しかけていいか分からない。家に帰りたくないから、じじ達の家にいるんだ。』

『そっかぁ…大変だったね。じゃあ、アキちゃん、お母さんに怒らないように、サリのパパの事伝えてみるからね。絶対怒らないようにしてもらうから、安心してね。』

『うん…ありがとう!』

やはりまだ子供だったのだろう。

これで全てから解放される、本気でそう思った。

サリのパパの事、お母さんが怖い事、アキエちゃんには細々と色々聞かれ、わかる範囲で答えていた。

その日はアキエちゃんとさくらと、三人で寝た。本当にとても幸せだった。

次の日アキエちゃんに、祖父達の自宅まで送ってもらった。

『みあ!また来るんだよ!何かあったらすぐ、言いなさいね!』

『ありがとう!またね!』

アキエちゃんは帰っていった。

”あぁ〜凄く楽しかったなぁ!しかもアキちゃん助けてくれるし!”

頭の中が楽しい考えで、いっぱいだった。

また仲の良い家族になるんだなぁって、ワクワクしていた。

思い返すと、家族で何処かへ行ったのは、小学校二年生の時、科学館へ行ったその一回きりだ。その為毎年、夏休みの日記帳や、冬休みの日記帳を書くのが大変だった。

よく母に、

『今日は家の雑巾掛けや掃除機をかけたと、書きなさい。みんなだって本当はそんなにどこも行ってないから!』

そう言われ、毎日やってもいない嘘を書いていた。

書く事が無くなれば、嘘はあまり良くない気がして、一人で図書館や記念館に行き、無理矢理話題を作っていた。

けど、そんな生活とはもうお別れ!

”一週間くらい経ったら、お母さんの家へ行ってみよう!”

話をするのにそれくらいかかると思い、みあは計画をたてていた。

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