尼崎 塁

日々のひと欠片を言葉にしたい

尼崎 塁

日々のひと欠片を言葉にしたい

最近の記事

フォトウェディングとかいうのをノリでやってみた

【はじめに】  結婚が決まってから1秒でも早くドレスを着たくてたまらなかったため、多くの人に「式挙げますから!!!!」と言って回っていた。しかし大きな問題にぶつかることになる、コロナと資金難である。  当初は格安で借りれる食事可能なホールみたいなとこでテキトーにケータリングでも頼んで、共通の趣味である音楽の演奏を参列者の方みんなでやろうと思っていた。しかしそれをやる金すらない、その上必死こいて金を集めたとて今の御時世そんなことしたら袋叩きにあうのは目に見えている。  考え

    • 無題

      故郷や 曇天の下 鮮やかに 並ぶ看板 光ることなく

      • 故郷

        一本道の 向こうの向こう 並んでいる木の 向こうの向こう 暗いお空の 向こうの向こう 真っ白な雪の 向こうの向こう 私のお家は 向こうの向こう 私の故郷は 向こうの向こう 一本道の 向こうの向こう 並んでいる木の 向こうの向こう

        • 摩天楼

          通りがかれば思い出す これまでの日々、今までの出来事 不思議と心に浮かぶのは良かった思い出ばかり さようならを決めたのになぜかしらね 氷のようにそびえ立つ冷たい摩天楼を見上げて 最後は暖かい笑顔で別れを告げた

        フォトウェディングとかいうのをノリでやってみた

          二人の誓いを見届けに 朝早い急行へ乗り込んだ。 列車の速度と同じ速さで 厚い雲から太陽が顔を見せる。 おめでとう!おめでとう! 冬の静かな空気が門出を祝い ありがとう!ありがとう! 雪のライスシャワーの中を二人はくぐる。 新郎は新婦の手を握りしめる 銀色の雪とドレスが混ざって消えてしまわないように。

          じゃがいも

          薄くとも皮を張っていました しかしするすると剥かれてしまい身を守れませんでした。 命を繋ごうと必死に芽を出しました しかし毒があるからと抉りとられました。 なんとか耐え抜こうと体に蓄えていきました それらは美味しいと持って行かれてしまいました。 私に残ったのは一体何だったのか 消費されるための運命だけが残りました。

          じゃがいも

          雪が降って

          雪が降って脛まで積もった日には 他の足跡を追って歩いていくしかなくなる 人という獣が切り開いた獣道 今私は一頭の獣になる

          雪が降って

          日々

          「味噌は煮え端が一番~」 台所で歌っていると またその歌?とリビングから聞こえてくる。 仕方ないじゃない この歌を歌っている私をあなたが好きなんだから。

          もう終わりにしよう、と私から切り出した。 いつでも朗らかな彼は 「なにがあったの?話してご覧」 どこか他人事のようで全く心に入ってこない。 ただただ私が彼を支えれなかっただけなのだ。 きっと幸せにすると誓ったあの日を守れなかったのだ。 事を話すと 「あなたはそんなに難しいことを考えていたの」 涙を流した彼が私を抱きしめた。 でももう二人では解決できない 無力な私と夢を追う彼 背反する二つの舞台が崩れる音がした。 (この人って涙を流せるんだな) 何故か冷静になった

          窒息

          首にあとが残るほど 息苦しくて息苦しくて 一体このまま何をなせばいいのだろう 助けての言葉すらでない いるのはこのお城に一人だけ 早く終わりに近づくことだけを夢見てた

          見送り

          まだ日も登らぬうちに貴方は旅立つ 海の向こうの国へ 帰りを待つ間にと預けてくれた本は 読んでも読んでもわからないから 時間を潰すのにはぴったりね 異国の香りを侍らせた貴方と 熟れきった柿を食べたくて 帰ってくるその日を 日が昇るその日を待ち焦がれ眠る

          アジサイ

          付き合ってから、隣にいるこの人と添い遂げるとずっと思ってた。 真面目で誠実で勉強熱心で嘘が下手、おまけに他の女には目もくれない。 大学で彼はガリ勉だとか草花ばかり見てるとか言われていたけれど、優しい口調で自分の知っていることを話してくれる彼のことが私は大好きだった。 ある日 「アジサイの色が抜ける所を見たことがありますか?」 と言われた。 そんなもの見たことが無いので無いなぁと適当に返事を返した。 「アジサイの花言葉は知ってますか?“移り気”と言うんですが、これは青や赤

          アジサイ

          眠りへ

          満月の晩 枯れ葉の舟が私を乗せて游いで行く ゆっくりと夢の国へ向かって たどり着く頃には朝日が昇るだろう それまで波に身を任せる

          深海にて

          布団の海にもぐれば タオルの珊瑚礁たち クマノミになって隠れ込んで 夜の波に呑まれてゆく

          私の隣から生命の音が聞こえる さっきまで爛々と聞こえていた言葉が途絶え 生きるためだけの音が聞こえる 何も見えない闇の中 その音だけがただただ愛しい

          冬将軍

          冬将軍の前衛を務めるは 真綿の鎧まとった雪虫衛兵 それ前へ進め それ高く飛べ 生命の木を目指して 冬将軍がたどり着くその前に 命を燃やして繁栄せよ