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【妄想話】太郎・18話

「太郎・第18話」

「バーモントカレーを作った時に決めたんじゃ。」
「なにを?ばあさんの説明ではわからんわい。」
おばあさんは指をモジモジとさせて言います。
「厳密に言うと、リンゴとハチミツの匂いがした時、むしろハチミツの匂いがしてきた時に…」
「そんなもん、どっちでもいいわい!何がいいたいのじゃ?」
「じいさんと別れようかと思ってな。」
「…。えっ?ウソじゃろ?」
おじいさんはおばあさんに詰め寄りました.
「ホンマじゃ。」
「ホンマのホンマの話?」
さらに詰め寄ります。
「あぁ。ホンマのホンマの話じゃ。」
「ホンマのホンマのホンマの話?」
もっと詰め寄ります。
「あぁ。ホンマのホンマのホンマの話じゃ。」
「ホンマの…」
おばあさんは詰め寄ってきたおじいさんから離れます。
「じいさんもういいかな?寿命がきてしまうわい。」
「ばあさんや。どうしたんじゃ急に藪から棒みたいな話して。あっ、これ?これか。芝刈りの帰りに竹藪で拾ってきた棒じゃ。なっ。」
おじいさんは満面の笑みを浮かべておばあさんに汚い棒をつき出します。
「お前さんをイカ天みたいに油の中に放り込んでやろうか。じいさんのそういうところが嫌いなんじゃ。」
「…ん?山から何でも拾ってくるところか?」
「違う違う。」
「顔がおヒョイさんに似てるところか?」
「違う違う。」
「じゃ、なんなんじゃ?さっぱりわからん。」
「…。じいさんの面白くないことを言う時のドヤ顔。」
「ドヤ顔?どんな顔?んっ?」
「それそれ。その顔!」


つづく

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