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【妄想話】太郎・5話

「太郎・第5話」

「えーと。どこまで話した?」
「川でケンちゃんと遊んでたら、大きな桃がドンブラコドンブラコと流れてきたんじゃろ?」
「そうだそうだ。で、その桃を川から取ってん。」
「それで、それで。」
おじいさんは身を乗り出し話を聞いた。
「で、大きな桃を川へまた思いっきり投げ込んでん。」
「なんでじゃ。」
「冗談やろ。冗談。その前にお腹空いたわ。」
「ばあさんや。そこの棚にポテチあったじゃろ。
ちょっと取ってくれ。」
「うるさい。自分で取りやがれ。」
「はい。」
おじいさんは裸の龍太郎にポテチを渡す。
「早く続き聞かせておくれ。」
「…そう。で、大きな桃を割ったら小さい男の子が出てきてん。」
「それ!それ!ワシが思い描いたのはその子!
んで、その子はどうしたのじゃ?」
「交番に届けた。」
「なんでじゃ。正しいことはしてるんじゃぞ。
でも桃太郎の話が進まん。」
「で、カラになった大きな桃の中に入ったらケンちゃんに川に放り込まれてん。」
「なんでじゃ。これ桃太郎の話じゃぞ。龍太郎くんが代わりに入ったらダメじゃ。」
「桃の中から俺が出てきてビックリした?」
「腰抜けるかと思うぐらいビックリしたぞ。
小さい男の子が出てくると思ったら、結構大きい龍太郎が出てきたからのぉ。」


つづく

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