見出し画像

【妄想話】太郎・23話

「太郎・第23話」

子供たちが取り囲んでいたのは亀ではなく、大きな桃でした。
少年は恐る恐る大きな桃に近づいていきます。
ソーっと…
ソー…
パカっ。
突然、大きな桃が真っ二つに割れました。
少年はビックリして、その場で尻もちをついてしまいます。
桃の中には男の子が入っていました。
「ちょっと痒いけど、桃の中は落ち着くわ〜。
ケンちゃん代わろうか。あれっ?ケンちゃん?」
桃の中に入ってた男の子はキョロキョロとそこらへんを見渡します。そして、尻もちをついていた少年に話しかけました。
「桃の中に入りたいの?でも先にケンちゃんの番だから。そのケンちゃんが…」
またキョロキョロします。
「あっ、桃の周りにいた男の子は走ってどこか行ったよ。」
「そうなんや…」
「てか、お兄ちゃん誰なの?」
「俺?鈴木。鈴木龍太郎。10歳。この中狭いから限界かなぁ。」
「…。知らんがな。」
龍太郎はズボンのポケットに入ってあるチロルチョコレートを少年に差し出しました。
「これあげる。」
「ありがとう。」
「ちょっと暑さとか桃の中にいて、なんやかんやでフニャフニャになってるけど。」
「…。やっぱりいらない。」


つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?