【妄想話】太郎・2話
「太郎・第2話」
大きな桃を家に持って帰ってきてました。
「じいさん。この桃をテーブルに乗せよう。
一緒に持ち上げくれ。」
「わかった。わかった。」
おじいさんとおばあさんは大きな桃をリアカーから持ち上げてテーブルに置こうとしています。
「じゃ、いくぞ。」
「ばあさん。いつでもいいぞ。」
「せ〜の!…っと言ったら持ち上げてくれ。」
「ちょ。1人でずっと持ち上げてたぞ。ギックリになるわ。」
持ち上げてた桃から手を離して腰を押さえる。
「じいさんや。大丈夫か?今度こそいくぞ。」
「おぉ。いつでもいいぞ。」
手早く桃を持つ。
「せ〜の!…っていきなりかけ声出すのは、わたしゃ力が入らん。」
「ちょ、ちょ!ギックリになるわい。なにをグダグダいってるのじゃ。リアカーにはすんなり乗せたじゃろ。」
桃を傾けたまま顔だけズラし、おばあさんを睨む。
「なんだって?もう一回言ってみろ!」
おばあさんは桃から手を離して、応酬する。
「…ちょ。急に離すなよ。休憩じゃ。休憩。」
おじいさんは大きな桃から手を離して歩き出した。
おばあさんは、ああなると周りが見えなくなることをおじいさんはよく分かっていた。
2人はリアカーに大きな桃を乗せたまま休憩をしました。
おじいさんはお茶をすすり、そして燻製ナッツを食べる。
「んっ?この燻製ナッツ美味しいな。どこで買ったのじゃ?」
「これはKALDIで買ってきたものじゃ。」
「KALDI?あの?」
「どの?」
「隣町の?」
「隣町のKALDIじゃ。」
「入口でコーヒー配ってるKALDI?」
「コーヒー飲めるKALDIじゃ。」
「コーヒー飲んですぐ帰るあのKALDI?」
「すぐ帰るKALDIじゃ。」
「あのコーヒー…」
「おじいさんや。もうええかのぉ。日が暮れるから早く桃を家に入れよ。」
2人は同時に立ち上がりました。
その瞬間、隣町のKALDIのコーヒーを明日もらいに行こうとおじいさんとおばあさんは思いました。
つづく
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