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【妄想話】太郎・7話

「太郎・第7話」

「本当は大きな桃の中に小さい男の子が入ってて、桃太郎と名付けようとしてたんじゃ。」
「ふーん。で?」
「桃太郎が大きくなったら鬼ヶ島に鬼退治に
行ってもらおうと思ったんじゃ。」
「ふーん。で?」
「その計画がパーじゃ。」
「なんで?」
「桃の中に龍太郎が入ってたからじゃ。」
「俺が桃の中に入ってたせい?」
おじいさんは首を縦にふる。
「じゃ、俺が鬼退治行こうか?」
おじいさんは目を目開き立ち上がった。
「な、な、なんじゃと?」
「だから俺が鬼ヶ島に鬼退治行こうか?暇やし。」
「いいのか?」
「うん。いいよ。その前にハラ減った。ペコペコ。」
おじいさんは食料が入ってるカゴを漁った。
「これぐらいしかないわい。」
ポテチを龍太郎に渡す。
「せめてWコンソメとかないの?」
「そんなハイカラなお菓子はない。麩菓子ならあるけど。」
「それはいらん!そや。鬼退治行くねんから、ご褒美ちょーだいや。」
「ご褒美なぁ…あっ、そうじゃ。」
「なになに?」
「…きびだんご。」
「アホか。子供が鬼退治に行くねんぞ。そんなもん割りに合わへんやろ。」
「じゃ、どうしたらいいんじゃ?」
「そういう時はコレや。コレ。」
龍太郎は人差し指と親指をひっつけ、輪を作る。
「コレって……お金?」
「じいさん話が早いやん。」
龍太郎はふくみ笑いをした。
「じゃ、500円でいいか?」
「アホか。子供がお使い行くんちゃうで。」
「でも龍太郎は充分子供じゃろ。」


つづく

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