【妄想話】太郎・6話
「太郎・第6話」
「ハックション。なんか着るもんない?」
「そうじゃ。龍太郎はスッポンポンじゃったのぉ。ばあさんや。ワシの服貸してやれ。」
「うるさい!自分で取ってこい。」
「はいっ。」
おじいさんはタンスから部屋着を取り、それを龍太郎に渡す。
「これは?」
龍太郎は着てみた。
「それか。それはワシのユニクロのフリースじゃ。もう何年も着ているからペラペラじゃがのぉ。」
「これ大きすぎ。しかも人の家の匂いするし。」
ブカブカな服の匂いを嗅ぐ。
「ヤイヤイうるさい子じゃの。黙って着るんじゃ!」
「あっ、そんなこと言ったらお母さんに言ったろ。」
「それだけは言わんといて。お願い。なっ、ばあさん?」
おじいさんは困った顔をしておばあさんを見る。
「龍太郎。家に帰ったら言ってやりんしゃい。あることないこと…いや、ないことないこと。」
「ばあさん…」
おじいさんはなにか思いついたかのように手を叩いた。
「そじゃ。龍太郎に服買ってきておやり。ほら、しまむらで。シャトレーゼの横にあるじゃろ。」
「110サイズやで。やっぱ来年も着るから120サイズな。ついでにお菓子も買ってきて。」
「120サイズだって。お菓子はワシらが好きな麩菓子でいいじゃろ。」
「アホか。フナじゃあるまいし。チョコレートな。」
「チョコレートだって。」
「はいはい。わかりましたよ。人使いの荒いこのハゲとチビだねぇ。」
「ばあさん…」
「ばあさん…」
龍太郎とおじいさんは顔を見合わせた。
つづく
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