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【妄想話】太郎・17話

「太郎・第17話」

おばあさんは湯飲みをテーブルに置き、立ち上がります。
「じゃ、そろそろ帰ろうかのぉ…じいさんとも話せなアカンし。」
赤鬼はカレーを食べていた手を止めます。
「ワシもついて行こうか?」
「いやいい。お前さんが来たら話がややこしくなるわい。バーモントカレーでも食べて待っとれ。」
「わ、わかった。」
赤鬼は再びバーモントカレーを食べだしました。
そして、おばあさんは鬼ヶ島を後にします。

「じいさん、帰ったぞ。」
「ばあさん、おかえり。遅かったな?」
「いろいろあってな。ほれ、じいさんに土産じゃ。」
「なんじゃこれは?」
「HOMのバナナチップスじゃ。」
おじいさんは封を開けて1つ食べました。
「これ…バナナチップスじゃけど、コーンポタージュの味するぞ。」
「どうじゃ?ファンキーなお菓子じゃろ。わたしゃみたいな。」
「あぁ。ばあさんみたいに先が予測できなかったわい。ところで色々なにがあったんじゃ?
龍太郎の服をしまむらに買いに行っただけじゃろ?」
おじいさんはバナナチップスを食べながら聞きます。どうやらこのお菓子を気に入った様子です。
「そうじゃ。しまむらで服を買うまではな…そのあと色々あったんじゃ。バーモントカレーとか。」
「バーモントカレー?」
「そうじゃ。緑色の箱のな。」
「あぁ。中辛のやつな。ヤシの木が箱に書いてるアレか。」
「それはジャワカレー。」
「…。で、そのバーモントカレーがどうかしたのか?」
「カレーを作ってて、ふと考えたんじゃ。」
バナナチップスを食べていた手が止まる。
「カレーを作った?どこで?」
おばあさんは、おじいさんの目を見つめて答える。
「鬼ヶ島。」
「あの島にはヤシの木はないぞ。」
「だからジャワカレーじゃなくバーモントカレーの話じゃ。」


つづく

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