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【妄想話】太郎・9話

「太郎・第9話」

龍太郎は家を出て、鬼ヶ島へむかいました。
「このユニクロのフリース大きくて歩きにくいな。こんなん来て帰ったらお母さんに怒られるし。」
とブツブツ言いながら歩いていました。
すると、一匹の犬がこちらに向かって歩いてきます。
本当なら仲間になって一緒に鬼退治をしてくれる犬です。
犬は龍太郎に徐々に近づきます。
龍太郎は近づいてくるその犬を追い払いました。
そこらへんにあった小石まで投げる始末です。
「シッシッ。ここら辺は野良犬多いな。あとで役所に電話して捕まえてもらお。危ないし、遠くて面倒くさいからタクシーでいこか。」
龍太郎はユニクロのフリースのズボンから10万円を取り出し、タクシーに見えるように振った。
案の定、タクシーは龍太郎の前で止まります。
バナナの色をした黄色いタクシーです。
龍太郎は後部座席に座り行き先を伝えます。
「鬼ヶ島まで。」
運転手はバックミラー越しに話しかけます。
「鬼ヶ島になにしに行くんだい?」
「鬼退治。」
「…。子供では無理だよ。何人で行くんだい?」
「1人。」
「…。絶対無理。」
運転手は首を左右に振りました。
「もう10万円もらったしな…とりあえず鬼ヶ島まで行って。急いで。早く早く。」
運転手はアクセルを強く踏みます。
「ストップ!ストップ!ちょっと止めて。」
「どっちやねん!」
タイヤを鳴らしてタクシーは止まります。
龍太郎はパワーウインドを押し、窓を下げます。
「お、おばあちゃん。」
「…。龍太郎かい?」
そこには、おばあさんの姿がありました。


つづく

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