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【妄想話】太郎・30話

「太郎・第30話」

少年は立ち上がった。
「もう充分楽しんだから、僕はこれで…」
龍太郎はイカリングをはずしてテーブルに置き、
「なんだもう帰るのー。楽しかったのに。
そうだ!おじいさん何か手土産あげや。」
おじいさんは真顔に戻り棚を探り始めた。
「そうじゃな。…なにかないかのぉ。」
少年は両手を大きく振った。
「そんないいですよ。いいって。」
龍太郎は棚の上にあった1つの箱を見つけた。
「そんな遠慮するなよ。んっ?この箱はなんだ?
なんでもいいか。この箱持って帰りや。」
「それは…」
「それは…」
おじいさんと少年が同時に言葉を発します。
少年は本で読んだことがありました。
箱を開けると煙が出てきておじいさんになってしまうことを。
そんなことお構いなしに龍太郎は箱を上下左右凝視しています。
「この箱、丁寧にヒモ結んでるわ…ヒモほどいて中見てみよ。アーモンドチョコでも入ってたらいいけどな。」
「開けたらダメ!」
「ダメじゃ!」
龍太郎が顔を上げる。
「なんや2人ともさっきからハモって気持ち悪いな。」
と言いながら龍太郎はヒモをほどき、箱を開けました。

パカっ。

「あっ…」
「あっ…」


つづく

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