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【妄想話】太郎・4話

「太郎・第4話」

「いつまでグダグダ話してるねん!桃の汁で痒くなるわ!」
大きな桃から大きな男の子が裸で出てきました。
おじいさんとおばあさんは床にしゃがみこみながら、男の子をマジマジ見ます。
裸の男の子をマジマジ見ます。
特におばあさんはマジマジ見ました。
絵本かなにかで見たときには、桃の中には小さい男の子が入ってるのが一般的ですが、けっこう大きい男の子が出てきました。
おじいさんはその男の子に尋ねます。
「何才じゃ?」
男の子は元気に答えます。
「5才。ケンちゃんと遊んでたら大きな桃があって…桃の中に入ったら川に流されてん。
死ぬかと思ったわ。痒くて。」
「そっち!」
おじいさんとおばあさんは、この男の子に名前をつけることにしました。
「そうじゃの。桃の中から出てきたから桃太郎と名付けよう。」
おじいさんとおばあさんは見つめ合って微笑みます。
「だっせー名前。」
「えっ?」
「そもそも名前あるし。」
「そうなんか?名前はなんじゃ?」
「龍太郎。鈴木龍太郎。宜しく。」
「龍太郎…。龍太郎くん。なぜ裸なんじゃ。」
龍太郎は桃の汁がついて痒いのか、背中をかきながら答えます。
「ケンちゃんと川で遊んでいて…」
「子供だけで川で遊んだら危ないじゃろ。」
「うるせークソじじい。話に割って入るなよ!」
「す、すまん。」
「そうじゃよ。じいさん。いやクソじじい。」
「ばあさんまで…」
「川で遊んで濡れたから服を干しててん。ほんだら、川から大きな桃がドンブラコドンブラコと流れてきてん。」
おじいさんは前のめりになって話を聞きます。
「それで、それで。あっ、ばあさんや。熱いお茶入れてもらおうかのぉ。」
「俺も裸で寒いからお茶ちょーだい。ハックション。ほうじ茶な。」
「ワシもほうじ茶でお願いするわ。」
「うるさいっ!クソじじい。」
「ばあさん…」

つづく

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