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映画『箱男』を観る。

映画『箱男』(監督:石井岳龍)観ました。

うおおおおおお!

先に言うと、この記事はテンションがまあまあおかしいです。
そして考察とかはあんまりないですが、ネタバレあるかもしれないのでその手前で注意を入れます。
でも考察とかはほんとないです。

原作を3回くらい読み、論文まで書いた私ですが、なんていうか、『箱男』ってそんなもうあれじゃないですか、誰が誰とかどうとかそういうあれじゃないし、人には人の箱男!と思っているので、まあ、そんな感じです。
ここまでずっと早口です。

さて!!公開2日目の映画!そんな早速のスピード感で映画を観にいくなんてことは人生でほとんど始めてなんですが、観に行かないわけがない!!『箱男』を!!!!

(あれ?『ボーはおそれている』もまあまあ早く観に行った…かな?!)

というわけで母も誘って行きました。こちら↓で書いたように、

私の安部公房との出会いは他ならぬ母がきっかけなので、一応誘ってみたら「観るかあ」の一言。
ちなみに母も滅多に映画館に行かないタイプですので、親子で映画…っていつぶり?と思い返したら、渋谷のアップリンクで「さしさわりのある映画特集」を訪れたのが最後かも、いや、大きな映画館で言ったら、『崖の上のポニョ』が最後かな??などと思いつつ、集合。

そろそろ入場すっか〜とトイレから出たら、母が「なんか上映遅れるってよ」と。

「え??!なにそれ?」
「でも今アナウンスしてたよ。『箱男』のシアターは機材トラブルで30分くらい遅れますって。」
「『箱男』だけ?!」
「そう。」
「よりにもよって?!?!?!?!?!??!」

その後、もしかして上映中止になったらどうしよう!!とホットコーヒーを啜りながら開場を待つ私たち。

「最近、不吉なこと多いから私のせいかもしれない。」

と、突然意味深なことを言い出す母。おいおい怖いよ。

「例えば何?」
「家の前にある木が、急にバターン!て倒れたんだよね。そんな倒れる?木って、急に。あと最近食べに行った料理屋のエアコンが壊れてたし。」

後者はぶっちゃけ別に…、と思いながら母のスマホの写真を見ると、たしかに通り沿いに並ぶ木のうちの一本がバキっと折れている。
でも私は思った。母が以前、その辺は鹿がよく歩いていると言っていた。
そんで「鹿が木の皮を食べることによって食害が起こり木が弱る。ほんと鹿に困ってる。」、と何かの記事で見た。

「…鹿では?」
「えっ」
「うろ覚えだから調べてみて。」
「あ、ほんとだ!鹿だーー!たしかによく2頭で夜歩いてた、ここ。」
「夜食だったんだわね。」
「鹿だったのかあ!」

で、本来の上映時間から遅れるほどちょうど30分。無事に開場のアナウンスが流れ、とりあえずほっと一安心。木の件も解決したし。

席に座ってみると、上映が押したせいか新作の予告が全然流れず、映画泥棒のあとすぐに本編スタート!助かる!!

『箱男』が始まったよ!!!!

結論を申しますと、とにかく映像化が達成されたことに感謝と、これを見て原作に興味を持ってくれる人が増えたらいいな、と、原作はもっと混乱するかもだけどめちゃくちゃ面白いよ!の気持ちです。

ぶっちゃけると、『箱男』の小説は密度高過ぎて映画では全てを描ききれなくて当然だったと思うし、それにがっかりはしないし、さーてもう一回小説読もうかな!!!!!!!!!が正直な私の感想ですね。

あ、母とはパスタ食って帰りました。美味しかったです。



以下、本編内容に触れる感想です。注意。



てかまずオープニングめちゃくちゃ興奮しまして。だってねえ、写真だの直筆サインだの!!
「原作・安部公房」の字が出た時、本当に泣きそうになった。ていうかちょっと泣いてた。
もうこれだけでありがとうなんですよね。27年前に中止になった時から
歯車を回してくれてほんとうにありがとうっ!!ありがとうっっ!!!

なので基本的には感謝が念頭にありつつ、あとは小賢しい原作厨の戯言かもしれないので、まあそんな読まなくてもいいです。(じゃあこの記事って一体…?!)

大筋としてはなんとなく予想がついていたのですが、いわゆるメインストーリーを追う感じで、小説にあるオムニバス短編みたいなやつはごっそりなかったのがまあ、予想はしてたけどちょっと寂しかったです。
でもあんなの組み込み出したらさらに大混乱映画になるので全然いいと思いました。

箱のね!覗き窓の厚手のビニールや腰のドンゴロスないのは予告編から予想ついてたし、「あんたドンゴロスないじゃん〜!」て脳内で原作厨かますのも楽しかったのでヨシとします。
ていうか全体的にこれかも。脳内で原作厨かます楽しさがあった。
鏡くっついてる棒とか、ワニのぬいぐるみとか、そういうアイテムはニヤニヤするよね〜!わかる〜〜!(誰と話してる…?)

そして主演の Mr. 永瀬正敏。なんかもう見た目がかっこ良すぎちゃって、あなた、箱被る必要ある?箱なくても人生上手くいくよ?と変な気持ちになってしまいました。まあそれもアリよ。なんでもアリなのよ。いいのよ。

あとこれ↓ね、おおおおおマジかよ!ってなってちょっと笑いました。
上映に備えて冬に読み返した時の投稿なんですが、あんなに再現されると思わなかったじゃない?

ブルースカイにて

バトルはなんか、まあ正直もっとバトルあっても良かったとすら思いました。偽医者とのやつも。

病院は、病院のイメージぴったり過ぎてびっくりしました。そのもの過ぎて!!これって、なんかもう当初から事前に指定されたロケ地とかそういうあれ?と思うレベル。
あと最後の方、箱の内側の隅っこが病院の廊下(?)の隅っこと重なって、箱が外か外が箱かみたいになってるのは表現としてめちゃくちゃいいな〜と思いました。
あと、外に出たのに空に文字が書かれたりして、ここも”内側”かもよ〜〜?みたいな感じとか。←伝わるのか?これ?
そういうのは映像でやれる表現ならではなので、なんか勉強になりました。いやまあ別に普段映像撮ってないけど。

偽医者はあんなに軍医の話をする必要があったのだろうか?でも映画だけ見てる人はあれがないとキツイかのだろうか? ←とはいえ本当に細かいとこは私もよく分かってなかったりして、ま、いいかあ!!!!!

あとラストですが、ラストだけはちょっと「おーーーい!待ってーーー!」って声出そうになりました。
私は思うんです。病院を出ただけではあまりに映画として締まりがないので、ああいったラストにしたのではないか、と。
だってさ、そんな誰でも箱男になりうるからって、誰もが箱男ではないでしょうが。
箱男になる人には、箱男の素質があるのよ!んもう!

「匿名性」に関しては映画だけだとそこまで真に迫ってこない感じがあって、今の時代匿名の部分は当時よりもさらに重要要素なので、それが浮き出てこないはちょっと残念だった。

なんかネガティブ多い気がするので、最後にお気に入りシーンを。

私的なお気に入りは、「わたし」と「偽医者」が言い合いしてる時に、「でもお前って誰?」みたいな禅問答してる時に、「わたし」が「うるせーー!!!」って感じで偽医者を蹴っ飛ばすかなんかしたのが良かったです。
あれって、そういう対応が一番ていうか、私も論文書いた時あの辺はあんまり深入りしないで書いたんですね。実際誰が誰なのか、みたいなのは。そしたら先生たちに「ここの考察の止め時が良い。これ以上やったら混乱する。」と褒められたので、それで印象深いんです。なんじゃそら。

あ、あと、偽医者が謎のマシンで字を似せてるのは結構好きでした!!

そんな感じ!!ひとまず、『箱男』をありがとう!!!拍手!!!!礼!!!!!


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