思うこと245
久々に映画を観た。デヴィット・リンチの『ロストハイウェイ』(1997年)だが、かつて観た『マルホランド・ドライブ』(2001年)よりよほど分かりやすかったので、思わずエンディングでは「あ〜分かる分かる」などと呟いてしまった。しかしながら、何がこうなってどうなった、と全てを解説できる訳ではない。だってリンチの映画である。きっと解釈が得意な人たちはもっと主人公が何をしたのか、あの金髪美女は…等々、深堀りして楽しむのだろうけど、なんか雰囲気が良かったしオッケー!と思う私は十分「なんとなく分かった」ので満足したのであった。
ところで、よく分からないけどなんとなく分かる、という物語を作るのは大変だと思う。何か分かるぞ、というまでのギリギリの説明を施し、よく分からないがまあ良い、という気持ちを生むまでに与える信頼感の構築たるや、考えるだけで気が遠くなる。けれども「なんか良いなあ」と思い、不思議溢れる物語に憧れる以上、その構造の緻密さをもっと解明し、より深く理解しなくてはいけないのではないだろうか。結局、物を書く努力を続ける以上、作品を観て「なんとなく分かった」で満足している場合ではなかったのだ。
いやーでも、そんなカツカツの気持ちで映画観たくないわ〜、と悪魔が囁き。
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