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思うこと363

 『バスカヴィル家の家』を読み終わった。今更言うでもなく、シャーロック・ホームズシリーズの中の長編小説であるが、最初から最後までとても良かった。
 沼沢地にある旧家ヴァスカヴィルにまつわる事件を解決していく話だが、とにかくその土地のこれでもか!というような細かい描写が最高。沼があって寂しく陰鬱なダートムーアの景色と、かつての当主の死と、命が狙われているっぽい現当主ヘンリ卿。それからいつもより大活躍(?)するワトスン先生。あと忘れてはならないのが「犬」!魔犬と噂され、夜な夜な声が聞こえるとかなんだとか。とにかく薄ら怖い要素と、ダートムーアの人々の閉鎖的な感じがたまらん小説。私は陰鬱な小説が好きなので、沼に飲み込まれるポニーは凄く哀れで悲しいのだけども、それを見たワトソンの「うわぁなんかヤな感じするなあ…」という率直な描写にニッコリ。とにかく嫌な感じってあるよね、分かる分かる。
 そして結末はホームズらしいさっぱりしたというか、思ったよりもすっきりした終わり方なんだけれども、ふと、要所要所の「怖ぁ」という描写を思い出すとじわじわとまた恐怖が甦る。推理小説ではあるけど、何処かホラーサスペンスっぽさもあるんだなあ。
 とにかく今までホームズ避けをしていてもったいないことをした…、と改めて反省。…でも今こうやって読んでいるからいいか!
 それにしてもイギリスの小説ってなんかこう細かく鋭い描写って感じがある。ブロンテ姉妹も。良い意味で幻想的でないというか、何処までも現実的なイメージなんだけども、読んでるものが偏っているだけかもしれない。まだまだ読まなければ。

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