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思うこと211


 ソール・ライター展を見る。赤い傘や雨の日のガラス越しに撮る湿った写真のオシャレさ、映り込みを利用してはいるけれど、決してわざとらしくない
クールな構図。多くのスナップ写真は家の周辺でしか撮っていないと紹介されていたが、英語の看板やオシャレな小物、1950年代のNYの一角の持つ雰囲気は日本人から見れば立派な幻想世界であり、私が自宅周辺で同じ試みをしたところで絶対にこんな洒落まくった世界は表現できないだろう…、と愕然としたのだが、どっこいカメラとはそれを簡単に覆せる道具でもある。全く、日々撮り続けるしかないんだなぁとつくづく思う。

 ちなみに「Times Square」と名付けられた写真が印象深い。マンハッタンのタイムズスクエアで撮ったのだろうか? 背景にボケて写るのは真夜中に煌びやかなネオンが光る何かのショップ。その手前、地面か何かの濡れた部分にピントが合い、ネオンの反射らしき色が映っている。それ以上これといった情報はないし、人の姿が見えるわけでもない。でも何だかとてもつなく素敵だった。まさにライターの言う、「重要なのは、どこで見たとか、何を見たとかいうことではなく、どのように見たかということだ。」という言葉を現しているようでもある。

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