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関東大学対抗戦Aリーグ~筑波大学VS青山学院大学~スタッツ分析レビュー 

今週のピックアップゲーム

どうもご無沙汰しております。RugbyAnalyzer山本です。
久々のnote更新ですが、今シーズンの大学ラグビーが開幕したということで気になった試合を気ままにスタッツ付けと分析・解説の形で書いていければと思います。

青山学院31年ぶり筑波大学に勝利

こちら見出しに書きましたが、何となくⅩを見ていると青学が筑波に勝ったと知り、どんな内容であったのか気になりましたので、今回はこの試合を取り上げていこうと思います。

総評

まず、青山学院はFBのロングキックを軸としてエリアを的確にとり、要所でのBDへの圧力がうまくはまっていた印象でした。対する筑波大学はキックゲームで少し劣勢になりながらも、ダブルラインを使いながらのワイドな攻撃やSO・FBの移動攻撃など比較的ポゼッションしながら得点を重ねたい意図が感じられました。あいにくの天気であり、ポゼッションスタイルには不利であったと感じ、単純なミスが重なったりもしましたが、青山学院サイドがうまく誘発していたとも言えるような内容でした。青山学院は多くないチャンスを確実にスコアに繋げ、BD]では筑波大学のチャンスの芽を摘むことで接戦をものにしました。

筑波大学スタッツ

比較的敵陣で戦う時間が多く、Territoryでは上回りましたが青山学院に要所でのポゼッションを奪われ下回りました。ラインブレイクは3回でしたが、22mエントリー回数は青学の2倍以上の13回であり、多くのスコアチャンスは生まれていました。タックル成功率も88%と概ね高水準を保ちましたが、ターンオーバーは3回のみ、BDに関しては1回に終わりました。セットプレーに関しても、スクラムはペナルティーを奪う場面もあり安定していたと数字上読み取れますが、ラインアウトは精細にかけるシーンが多く感じました。
比較的複数のパスを用いてDFを崩そうと狙いを持っていたと推測します。青山学院とは対照的にスイベルパスを使ってバックドアからもう一つ外側で勝負を作ろうとしていたり、単純にFWを当てるだけのフェイズは少なく、数多くチャンスメイクに繋がっていたと感じます。
キャリー・ラックエリアともにmiddlezoneが多くなっていますが、平均が80%付近ぐらいであることを考えると比較的広いレンジ・エリアでアタックしていたと読み取れます。さらに、ショートサイドに残りSHと連動して攻撃する場面も見られ、"edge to edge"と"edeg return edge"を織り交ぜていたことも印象的で、それがCaryy to Pass やsame wayAT%に現れていました。キャリーエフェクトもかなり高水準を保っており、攻撃すればゲインがとれるような形になっていました。ラックスピードに関しては概ね平均的状況で、テンポを上げる<状況の判断になっているように感じました。


次にキック関連についてですが、青山学院が27回に対して18回と少なく、自陣からは脱出メインで蹴りながら中盤のカウンターはBK3とSOの判断でランでの勝負に挑んでいました。SOの楢本選手からのキックが多く中盤のアタッキングキックで一気にチャンスを作っていたことも見て取れました。キック効率も83%と高く、キックの精度は十分であったとデータからはわかりました。ただ、定性的にみると、青山学院FB井上選手のキックゲームでは若干の劣勢さを個人的には感じ得ました。キックラックを見る限り、ポゼッション型ではないとみられますが、青山学院との相対的観点ではそのように見えると言えます。
勝負を分けた1つが22mポイントとターンオーバーの数だと考えます。22mに多く入ることができた筑波大学ですが取りきる部分でミスが出てしまったり、ターンオーバーされることが目立ちました。自陣のPGが狙われやすいエリアでもペナルティーを犯してしまい失点に繋がっていたことも大きく勝敗に関わっていました。対する青山学院は的確にスコアに繋げながら、トライをFW中心にとりきれたことが大きな勝因となりました。事前のスカウトの中で、「大きくゲインした後の逆ラックサイド」を重点的に狙いみごとにTRYまで取りきっていました。

DFスタッツ

タックル成功率は概ね高く出ていましたが、ミスタックルを的確にスコアに繋げられた印象を受けました。ペナルティーは合計10回あり平均的でしたがエリアが自陣深くでひきおこされることが大きく響きました。doubleTackle比率は29%でシンプルなFWshapeには明確に圧力をかけていました。定性的にみると、タックルの2枚目の意識からBDプレッシャーへの2枚目といった様子に感じ、そこまで高水準ではなかったと考えます。また、G-Lineタックル%(相手アタックの前フェーズより差し込めた割合)が34%と高く、DFとして前への意識が強く感じられました。ただ、ターンオーバーに繋がった場面が3回となり、青山学院と対照的に、ボールへのはたらきかけとBDを乗り越えることができていなかったと言えます。
この試合におけるもう一つの分岐点となったのが、AT ENDの違いによることがみえてきました。筑波大学は攻撃の終了が56%でネガティブな状況であることに対して、青山学院は40%であり、攻撃を終える際に有利な形であったかが分かれ目であったと感じます。セットピースはラインアウトが不安定であり、66%にとどまってしまったことはスコアに至らない要因となりました。

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