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今年の大学一年生を見ていて思うことを書いてみようと思う。

ryotaです。

コロナウイルスが日本に上陸してからそろそろ一年が経つことになる。

早かったような長かったような。

今まで経験したことがなかったパンデミックというものに振り回された一年だった。

教育の場面でも、いろんなことがしっちゃかめっちゃかになった一年だった。

特にその中でも大きな不利益を被ったのは今の大学一年生たちなんじゃないかな。
今年は直に一年生と触れ合う機会が多く、その度に嘆きの声を耳にした。


「課題を消費するだけの日々にもううんざりだ」
「サークルやキャンパスライフはどこにいったんだ」
「自分が悩み進路を決めた大学でこの仕打ちはあんまりじゃないか」
「ただでさえ友達作るのが苦手なのに、この状況で友達なんてできっこないじゃないか」

『『思い描いていた大学生活と違う』』

そんな声を1年間で何度となく耳にした。

うん。
ほんとにその通りだと思う。

大学が閉鎖され、前期の授業はほぼオンライン。
課題をネットで提出するだけの日々。
平年なら、新しい友達と一緒に新しい環境に胸を躍らせている期間だったろう。
夏休みを挟んで後期になっても、部分的には大学への入構が許可され前期の状況と比べれば幾分かマシになった部分もあったのかもしれない。
少なくとも大人はマシになったと言い張るだろう。

だけど、一年生に聞いたらば。
いまだに直に会ったことのない友達がいるらしい。
言葉を交わしたことのないクラスメイトがいるらしい。
少なくとも僕の知っている大学生活のありようではないなと感じてはいた。
「こんなもんは大学生活じゃあない」
そう言いたくなるのはごもっともだなと老婆心ながらに感じていた。

その点でほんとに不憫で仕方なかった。
僕にはどうすることもできない状況だけど、どうにもできなく見守っていることもすごく歯痒くて。
いろんな一年生と関わっていたからこそ、その失意が、悔しさが伝わってくることもあって。
どうにか改善できないかなと自分勝手に悩んでいた時期もあった。

そんな老いぼれ五年生の心配をよそに一年生たちのたくましいことといったら

今関わっている一年生はほんとたくましい人たちばかりだ。

自分の一年生の時のちゃらんぽらん加減を思い出してみると、今の一年生に何か意見することがおこがましいと思うくらいだ。

今の一年生を見ていて思うことが二つあって。

まず一つ目は、一年生はしなやかだなあと
逆境が明らかだからこそ、それを跳ね除けようっていう力強さが発揮されてるのかなと。

今日の教育でよく語られる言葉に「resilience: レジリエンス」っていう言葉がある。
日本語で言うところの「しなやかさ」とか「弾性」にあたるのかな。
要は、何か外から邪魔する力がはたらいた時にそれをうまく受け止め、跳ね除ける柔軟さって感じかな。
それが今の一年生たちはずば抜けてるなあと思う。

竹を想像してもらうとイメージしやすい。
あれって、ヘニャヘニャで柔らかいんだけども、いざ折ってみようと色々と力を加えてみてもグニャんと曲がって折りきれない。
筋トレ大好きマッチョマンが力一杯折ろうとしても中々しぶとく形を変えてぽきっとはいかない。

まさにあの感じ。
外圧に正面から争うのではなくて、受け止めつつも受け流し、弾き返す
「ストレス耐性」とは違って、受け止めつつも、受け止めるだけじゃなくて弾き返す
そんなしなやかさを「レジリエンス」って呼ぶんです。

不安定さが増していってる世界の中で、ストレスが蔓延っている世界の中で。
全てに対して真正面から向かっていってたら、精神的に摩耗して立ちいかなくなる。
問題に対して「強く」立ち向かうんじゃなくて、「うまく」対応しようってのが最近の教育の、特にリーダー教育でのトレンドではある。
「創造性」「革新性」と並んで、これからの若者に身につけていって欲しいよねって言われてる資質なんです。

そう、話を戻して。
今の一年生のレジリエンスって半端じゃなくってさ。
誇れるよほんと。
てかもっと誇ってほんと。

高校から大学って仕組みがガラッと変わるじゃん。
校則だったり、履修だったり。
バイトだったり、下宿だったり。
平時ですら高校から大学に移る時っって苦戦するのに、それが今年はさらにオンライン授業やらハイブリッド授業やらなんやらと、上級生ですら苦戦していることを四苦八苦しながらだけどもなんとかこなしてる。
これは控えめにいって"あっぱれ"だよ
レポートや宿題の量も半端じゃないのに、その中でも読書したり部活をしたり、自分を磨こうとしててさ。
耐えてるだけじゃなくてさ、その中でも何か掴み取ってやるんだって、いい意味でギラギラしてて頼もしい限りだよ。

いやほんとかっこいい。

「それって性格的にもともと打たれ強いだけなんじゃない?」
そんな風に考える?
一つ勘違いしないで欲しいのは、このレジリエンスって個人の性格だけでなんとかなってるもんじゃないのよ。
また詳しくは調べてもらったらいいかなと思うけども、元々の性格以外にもこのレジリエンスが強化される条件って色々あってさ。

例えば「信用できる他者の支援」
仲間や家族、友人が支えてくれて、逆境でもしなやかさを保つことができる。
例えば「不利益を肯定すること」
逆境にいるんだけども、それを見つめて受け入れること。

もともとの性格以外にも、周りの人からのサポートや、自分自身の変容がなけりゃレジリエンスって強化されないの。
つまりね、逆境を跳ね除ける強かさって、逆境と対峙していく中で後天的に徐々に身についていくものなの。
元々の性格の要素だけじゃあないの。

そんなレジリエンスを養いながら、この超逆境を渡っていってる一年生の背中が眩しくってかっこよくて。。。

コロナで逆境にいきなり放り込まれて不利益を被りまくった今の一年生が、一番自分たちで誇れることは、もしかしたらこの逆境にめげないという「しなやかさ」なのかなと
僕は少なくとも自分が一年生の時には持ってなかったなあと思います。
羨ましい&尊敬しています

明らかな逆境で、自分たちをアップデートしながら順応してる。
大人ですらあたふたしている状況に、対応して、さらにはその中でも何か掴もうともがいている
このギラギラさは今後、大きな財産になっていくと思うなあ。

もう一つは、自分自身のアップデートに対してみんな前向きだなあと思う。
いい意味で他人の影響を受けてないよね。

上級生ならわかるかなと思うんだけど、新入生って「大学でめっちゃ成長するぞ」ってギラギラして入学してくるじゃん?
「せっかく厳しい受験を超えて大学に入ってきたんだ!一旗上げてやる」って前のめりで入学してくるよね。

でも気がついたら、その勢いはどこへやら。
サークルやクラブの先輩や、テキトーな上級生を見ているうちに「あ、これくらいでいっか」ってなっていって。
そんでそれがもう一段階いくと、「頑張るのだっせー」までいっちゃう。
あんなに頑張って入学してきた大学なのに。
一年も経つと、新入生の時の前のめりな姿勢は消え去って、ただ大学とバイトを往復するだけになっているなんて言う大学生は僕の周りにたくさんいたよ。

英語で大学ニ年生って「sophomore」って言うんだけど。
この単語、分解してみると"sopho+more"って分けられるの。
"sopho"は「賢さ」、"more"は「もっと」
つまり、sophomoreで「もっと賢く」って意味になる。
一年生から比べて知恵が増えたから「もっと賢く」なんていう言い方になるのかもだけども、この単語もう一つメッセージがあって。

一年生を終えて、「あ、大学ってこんなもんか」と"悪知恵"をつけた二年生。
結果、課題をやらなかったり、授業中に居眠りしたり、講義を休んだり。
「知恵がついて"sophomore"になってテキトーに大学をハックするのが二年生だよ」
そんなメッセージも同時に載せられてるのがsophomore、二年生を表す単語なの。

さっきの話、いくらギラギラして入学してきても、周りから影響されてるうちに自分の心の炎を萎ませていき、悪い方へ流されていって、自分が望んだ大学生活を送れなくなるってのはよくある話なんだけど。


今の一年生って、サークルとかがろくに行けなくて、授業もない状況で人と会う機会は減ってるよね。
その結果、悪い人から悪い影響を受けて、そっちに流されるってないのよね。


それよか、自分で自分の興味のある分野を調べたり、意識の高い先輩たちにコンタクトを取ったり。
自分からモチベーションを高く保てる環境を自分で作っていて、大学での学びに対しての意識がとても高いなあと思う。
授業がない分、サークルに行けない分、なんとかしてでも大学に行っている実感を自分で手にするんだっていう気迫が伝わってきて、僕が一年生の時よりも矢印が外向きな人、自分の外の世界を知ろうとしている人が段違いに多いなあと思う。

前のめりで入学してきた人が、今でも前のめりのまま学んでいる。

いやあ、これも頼もしい限りだなと感じます。

もちろん、サークルやクラブがなくて友達が中々できないことには変わりないんだけども。。。
それでも、折れない一年生には脱帽なんです。

大学がシャットダウンになって、未だにキャンパスライフを満喫できてない点では、今の一年生は不憫だなあと思う。
その反面で、自分が一年生の時には持つことができていなかったパワーを、エネルギーを持っている一年生
逆境の中でもがきながら、揉まれながらも、何かを掴んでやると前向きな一年生
そんなたくましい一年生の姿を見ていると勇気づけられることも多々あって。
僕もまだまだ頑張らなくっちゃと思うことも多くあって。

強いぞたくましいぞ一年生!

一年生のそのたくましさに、涙腺が勝手に緩めている、そんな老ぼれ五年生の戯言でした。

ryota

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