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【2024イタリア大学院】到着後約1ヶ月:ローマ・ラ・サピエンツァ大学紹介

今回イタリアに到着してから約1ヶ月が経過。
やっと大学を地図を見ずに歩けるようになってきた。

今回はサピエンツァ大学の概要をまとめる。

1. 歴史・得意分野

1303 年に創立されたサピエンツァ大学は、ローマ最古かつヨーロッパ最大の大学。その使命は、研究、卓越性、質の高い教育、国際協力を通じて知識社会の発展に貢献することである。
学生数 122,000人(2022-2023 年度)
教授数 3,576 人
従業員、司書ら 2,320人
大学病院の事務職員 1,260 人

QS世界大学分野別ランキング2024年版では 、 ラ・サピエンツァ大学は「芸術と人文科学」と「自然科学」の2つの分野ではそれぞれ世界第44 位と第61位。 2025年、8つの分野で世界トップ50の大学にランクされ 、 25 の分野では世界トップ100 にランクされている(昨年は 21)。
トップ50の8つの科目は、古典学と古代史、考古学、美術史、物理学と天文学、図書館情報学、歴史学、法学、データサイエンスと人工知能。

https://www.uniroma1.it/en/pagina/about-us
(2024年10月10日参照)

また、大学名である「サピエンツァ」は英語でwisdomの意。
ホモ・サピエンスなどで聞くサピエンスである。
Università degli Studi di Roma “La Sapienza”が中世からの正式名称であるようだが、基本的にはSapienzaと呼ぶことが多いように思う。

また、ローマには3つの大きい公立大学があり、歴史順に
Sapienza       →ローマ第1大学
Tor Vergata   →ローマ第2大学
Roma tre       →ローマ第3大学
と呼ばれることもある。
それぞれのホームページやメールアドレスを見れば、uniroma1、uniroma2、uniroma3となっていることに気づくだろう。

高校で習うあのボニファティウス8世が1303年に創設し、学生組織によって運営された。
その名残か、今でも大学の学生会の運動は盛んで、生徒が立候補するので投票してください!と授業前に言いに来たり、学費や大学の状況に関してデモをしたりしている。
Instagramでも彼らのアカウントは多く見つけられる。

Classics & Ancient Historyに関しては分野別ランキングでは世界一であり、この大学がローマにあることを再認識する。

Classics & Ancient History (1);
Archaeology (10);
History of Art (14);
Physics & Astronomy (32);
Library & Information Management (36);
Arts & Humanities - Macroarea (44);
History (45);
Data Science and Artificial Intelligence (46);
Psychology (57);
Natural Sciences - Macroarea (61);
Theology, Divinity & Religious Studies (51-100);
Statistics & Operational Research (51-100);
Nursing (51-100);
Development Studies (51-100);
Dentistry (51-100);
Anthropology (51-100);
Anatomy & Physiology (51-100).

https://www.uniroma1.it/en/notizia/sapienza-international-ranking


公式ホームページによれば、現在英語で教えられているコースは学部と大学院は合わせて37ある。

しかし、分野はある程度限られ、文系はあまり多くないのでイタリア語を使って学位を取らない場合は、まず英語開講であるかどうかを確認する必要あり。
昨年度の合格率は、母数は公開されていないが、分野によってはかなり低い。

楽しみにしていたPiazzale della Minervaは工事中。

知恵(サピエンツァ)の女神、ミネルヴァ。

大学の校章はかなり個人的に気に入っている。
智天使(ケルビム、ケルブ、cherubino)である。

STVDIVM VRBIS

ラテン語でstudium urbis。
1870年に教皇庁から独立し、国立大学となった。

2. アクセス・施設(食堂・バール等)

メインキャンパスに多くの学部が集まっており、città universitariaと呼ばれる。ローマのテルミニ駅から徒歩では20分ほど。
さらにメトロまたはバスでPoliclinicoという駅まで行けば徒歩5分ほどである。

città universitaria

ヨーロッパの中でも最大規模の大学のひとつで、大学内にバールや郵便局もある。

crema al caffè、2ユーロとかなり安い
Supplìは1.5ユーロ。
普通のお店より美味しいレベル
Via Regina Elenaのバール

食堂もいくつかあり、PrimoのセットやPrimoとSecondo両方セット、ピザのセットなどから選べる方式である。
価格は、ISEEというイタリアでの家族もしくは本人の収入状況(前年)によって決まる。
申告していない場合はフルの価格を支払うが、たとえばPrimoのセット(パスタなど、野菜の付け合わせ、パン、果物、飲み物)はそれでも6.10ユーロほどである。

まあ学食というレベルの味
野菜が多いのは嬉しい
パスタまたはライス、ヨーグルトまたはフルーツなどはどちらか選んで取る仕組み

3. 入学について(学費・応募方法)

まず、募集期間は一般的に前年の秋から入学年の春まで。
例えば、2024/25年度入学のための締め切りは2024/4/29だった。

というのも、日本のように非EU圏からの入学はPre-selectionという事前審査のようなものを受けなければいけない。
学部・研究科によってセレクションの方法は異なり、筆記試験がある場合や面接がある場合があるそう。各コースのページにいけば詳しく記載がある。

少し混乱するのが、プレと言いながらこの審査に合格すると、イタリア留学でお馴染みのUniversItalyで先にVISA申請の登録をさせられることである。

期限は6月半ばと早く、必要書類をアップロードするにもまだ届いていないなどでかなりバタバタして書類の発行を急かすようなことになる。
しかし、心配は無用でとにかく名前と手元にある書類をアップロードすればOK。あとから申請窓口を開けてもらい、書類を完成していく仕組みである。

その後、各コースによってかなりスケジュールは違うようだが、6、7月ごろには入学が確定するところが多い。

学費は、コースの種類とISEEというイタリアでの家族もしくは本人の収入状況(前年)によって決まる。
しかし、留学生でISEEを申告できない場合は出身国によって固定された学費をはらう。
2024年時点、日本はクラスCにあたり全部で1500ユーロである。

出典:https://www.uniroma1.it/it/content/importi-ordinari-dei-contributi-di-iscrizione-ai-corsi-di-studio

食堂でも役にたつこのISEEだが、もし非イタリア国民がISEEを申告したい場合は、日本での親や自分の収入状況を日本語からイタリア語に公式的に翻訳する、外務省の認証をもらうなどしてISEEUPというものを用意する必要がある。
時間と経済的負担がかかるので、それに勝るメリットがあるかどうかをまず検討することを薦める。

入学に関して、大規模な大学であるにも関わらず留学生オフィスの人が少ないのか、なんせ仕事が遅い。
メールが数週間返ってこないのはよくあることで、入学手続きを完了するまでとことん待たされる。
筆者や多くの同級生もいまだに書類上は入学せずに出席している状態である。

4. 大学の様子

キャンパスは大きく、ヨーロッパ的でありながらも中はリノベーションされていてわりと使いやすい。
ボローニャ大学と同様である。

Marco Poloの方のキャンパス
中に遺跡があるのがローマである
法学部の廊下
法学部の外観
休み時間はコーヒー自販機に行列
名の通り、街のようである
郵便局もある
法学部の講義室


9月は卒業生が多く、dottoreの歌や冠(corona d’alloro)をかぶった学生と家族一行をよく見かける

また、図書館や自習室に関しては別の記事で紹介したい。



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