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欲望と香り


あなたと文字を交わすと
あなたの声で文字が脳内で変換されて
身体が支配され始めるのが分かる。

声を聞くと
あなたに満たされて
身体が言うことを効かなくなる。

目を合わせると
あなたが身体の中に侵入してきて
身動きがとれなくなる。

ぞくぞく、ぞくぞく。

洗脳されて、支配されて
身体も心もあなただけのものになる。
あなたに向けて開き始める。

そんな、イメージ。



あなたに教えてもらった香水屋さん。

強い香りが本当に苦手で
香水は基本付けないわたし。

でも、あなたの香りは受け入れられるから
わたしの好みの香水をあなたに送りたくなる。
あなたにわたしを送りたくなる。


初めて、1人でお店を訪れて
あなたのために香りを選ぶ。

ふと
あなたに似合う匂いと
わたしの好みの匂いを見つけた。

どちらにしようか。と、悩んでいたら
店員さんが

「プレゼント悩むのであれば
お客さまがつけていて欲しいと思う方を
プレゼントするのも素敵だと思いますよ」

と後押ししてくれた。

とても、とても温かい言葉をもらえて
背中を押してもらえた。

離れていても、あなたを感じたいな。と思って

「この香水を2つ下さい。
1つはプレゼントで、もう1つは自宅用です。」

少し照れながら
わたしもお揃いの香水を購入する。 


あなたに香りをプレゼントする。


でも、本音は、本当は
わたしがあなたに支配されるように
わたしもあなたを支配したいだけなの。

香水の瓶を見るたびに
香りをまとうたびに
わたしを思い出して
わたしをいつまでも想っていて
という独占欲なの。

離れていてもわたしを感じて
離れていてもあなたにそばにいて欲しいの。
ただ、あなたを離したくないだけなの。


わたしがあなたに洗脳されて
あなたなしではいられないように
わたしもあなたを洗脳して
わたしなしでは生きていけないようにしたいの。


そんな、狂った欲望を
優しい香りに隠して
わたしをプレゼントする。


きっと、
鋭いあなたはわたしの気持ちに
気付いているでしょう。

でも、お願い。
こんなわたしの欲に目を瞑って
気付かないふりをして
見て見ぬふりをして
どうかわたしの気持ちを受け取って欲しい。


あなたに可愛いと
褒めてもらえるわたしのままでいたい。

あなたに綺麗だよと
愛おしく思ってもらえるわたしのままでいたい。

わたしのどろどろとした女の欲望を隠したまま

どうか、汚いわたしごと
そのまま、受け止めて。


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