【レビュー】vs奈良|J3 第1節【松本山雅2023】
新体制になり、チームが大きく進化を遂げたと感じる一方で、少し気になる点もあった。
そんな試合を、イングランド・プレミアリーグが好きで全試合観ている自分の視点で、振り返っていきたい。
2023.3.5
J3 第1節
奈良クラブ
×
松本山雅FC
~スタメン~
~山雅の守備~
山雅は守備時、4-4-2の形を取る。
2トップの小松や菊井がプレスのスイッチを入れ、後ろの選手たちが次々と連動して相手選手を捕まえにいく。
奈良も攻撃時4-1-2-3の形から、可変を行ってビルドアップを試みていた。
しかし、山雅の選手たちはとにかくプレスをかけることで、時間と余裕を奪い、ロングボールを強要することができていた。
そして、そのロングボールをしっかり回収し、多くの時間帯で主導権を握っていた。
基本的に山雅の守備は非常に良かったが、気になる点もある。
それは、中央での数的不利である。
プレスをかける時、相手のアンカー可児に対しては、ボランチのどちらか(主に住田)がスライドしていく。
このとき、中央に残るのはパウリーニョただ一人になる。
一方、奈良の選手は、IHの桑島・片岡の二人が中央にいることが多かった。
この状況で奈良がロングボールを蹴ったとき、セカンドボールの争いにおいて、山雅側は数的不利になってしまっている。
この試合では、山雅の方がロングボールを回収することが多かった。
奈良がこの数的優位を活かすシーンはほとんど見られなかった。
ただ、本来なら、奈良の選手がもっとセカンドボールを拾っていてもおかしくなかった。
もう1,2回だけでも奈良側がボールを回収できていたら、試合の流れは変わっていたかもしれない。
山雅としても、プレスをかけにいく時点で、ある程度のリスクを許容しているのだとは思う。
ただ、思うように回収できない場合にどう戦っていくのか、という部分は今後注目していきたいポイントである。
~山雅の攻撃~
守備は非常に良かったのに対して、攻撃に関しては、まだまだ発展途上かなと感じた。
綺麗に崩した回数があまり多くはなかった。
ないわけではなかったが、もっと増やせるはず。
ただ、そもそも綺麗に崩すことは求められていなかったのかもしれない。
新体制になったばかりなので、繋いで崩そうとするのはまだまだ難しい、と考えていた可能性はある。
守備で頑張れて、ロングボールのターゲットになれる榎本を左SHで起用したのも、そういう面があったからかもしれない。
そうだとしても、綺麗に崩せるに越したことはない。
その点において、この試合で気になったのは、ポケットの狙い方である。
まず、良かったシーンから振り返る。
20:05のシーン。
パウリーニョからロングパスを受けた下川が、ポケットに走り込む菊井へパスを出す。
下川のパスが大きくなってしまったのでうまくいかなかったが、惜しいプレーだった。
このシーンでは、下川が相手の右SB寺村を釣り出したことでポケットが空き、そこに菊井が侵入していくという流れになっていた。
つまり、ポケットを狙うためには、
高い位置で幅を取る選手がいる
→その選手に相手SBが釣り出される
→ポケットが空く
→そこに他の選手が入っていく
→チャンスが生まれる
という一連の流れが必要になる。
しかし、この試合の山雅の戦い方では、この第一段階である「高い位置で幅を取る」ということが難しい。
山雅は攻撃時4-2-3-1の形で、両SHが内側にポジションを取ることが多かった。
ということは、高い位置で幅を取るのは、SB(下川・藤谷)の仕事になる。
ただ、この試合、基本的にSBは高い位置まで上がっていきづらい状況になっていた。
その理由は、上がってしまうと、味方のボランチやCBとの距離が離れすぎてしまうからである。
離れすぎてしまうと、ボランチやCB(特にCB)がボールを持ったときに、SBの選手はパスを受けることができない。
その場合、ボールを持った選手に与えられた選択肢は極端に少なくなり、最悪ボールを奪われてしまう。
それが分かっているから、SBの選手はなかなか上がっていくことが難しい状況になっていた。
SBが上がれなければ、高い位置で幅を取る選手は誰もいない。
ということは、相手のSBを外に釣り出すことができない。
この状況でポケットを強引に狙おうとしても、相手DFに対応されてしまう。
ボールは持てるものの、思うように攻めきれず、下川がアーリークロスを上げるだけ、という場面が多かった。
次の試合では、より再現性の高い攻撃ができるかどうか、という点に注目していきたい。
~試合結果~
奈良クラブ 0
松本山雅FC 2
31' 小松 84' 村越
~まとめ~
守備面:セカンドボールの回収・思うように回収できない場合の対応
攻撃面:ポケットを狙った攻撃
次節はこれらの点に注目したい。
~終わりに~
この試合の山雅には、昨季より何倍もポジティブな印象を受けた。
今後の選手・チームの成長が楽しみである。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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