【読書ノート】『世界でいちばん透きとおった物語』
『世界でいちばん透きとおった物語』
杉井光著
かなり話題になっている本で、ネタバレ厳禁で、事前情報は、あまりないまま、読んでみた。
一言でいうと、著名なミステリ作家、宮内彰吾が61歳で癌で亡くなり、彼の息子から連絡を受けた主人公(「僕」:藤坂燈真)は、宮内の愛人の子供なのだけど、遺稿「世界でいちばん透きとおった物語」を探すことになる。業界関係者や父親(宮内)の愛人たちから父親の人物像を理解し、遺稿を巡る問題を掻い潜って、衝撃?の真実にたどり着くというもの。ストーリーとしては、読み進めるうちに先が見えてしまったのだけど、興味深い内容だった。
私は、月に10本くらい、論文というか、報告書を作る仕事をしているのだけど、編集とか、校正とかに興味を持っていて、ちょうどこの4月から、書籍の編集の通信教育を始めていた。(三ヶ月目くらいから、本業が、死ぬほど忙しくなってしまい、通信教育の方は、休憩中なのですが、、)文章を書いたり、プレゼンの資料を作ったりする人にとって、なかなか、興味を惹かれる内容だと思った。
ちなみに、校正の雑学を上げてみる。
①縦書きの本だと、開いた時、原則右は、偶数ページ、左が、奇数ページということになっている。
②「柱」と言って、各ページの最上部(又は、最下部)に、書名や章名を書くのだけど、左右の両方のページに柱(書名)があるものを両柱方式、奇数ページだけに柱があるものを片柱方式と呼ぶ。
本書は、両柱方式。ちなみに、
村上春樹の『回転木馬のデッドヒート』、村田沙耶香の『授乳』は片柱方式、村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』は、両柱方式。
どういう本にするか、編集者が、作者と話して決めるのだけど、気にして本を見てみるといろいろ工夫がされていることに気づけて面白い。他にも、漢字の使用方針や仮名づかいの方針なども、作者と話し合って決めていく。
さて、本書の主題は何か?
親子の愛情ということなのだろうけど、それ以上に、本作りの面白さを感じさせられた。
ネタバレ厳禁みたいなので、これ以上書くと、ネタバレしてしまうので終わることにする。
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