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クリスマスツリーと今年のクリスマス#2022クリスマスアドベントカレンダーをつくろう 

12月、街が少しずつクリスマスカラーに染まっていくのが好きだ。

雑貨店には、クリスマス飾りやパーティグッズが並び、スーパーでは、赤や青のアルミに包まれた「シャンメリー」や、ローストチキン用の「丸どり」が現れ、クリスマスソングがエンドレスで流れている。
ネット上では「クリスマスプレゼントに最適!」の文字が躍り、地方の街も、少ないながら、イルミネーション点灯のニュースが聞こえてくる。

そんなクリスマスムードに誘われ、いそいそと家の中をクリスマス飾りで埋めていく。
玄関にクリスマスリースを飾り、窓辺にサンタクロースの人形を座らせる。リビングの飾り棚には、小さなトナカイと雪だるまの置物を、テレビボードにはキャンドルを。

そして、クリスマスツリー。

我が家のクリスマスツリーは、数年前、MEGAドンキで見つけて勢いで購入したもの。たしか120cmで3990円だったと記憶している。
濃い緑色の、ちょっと安っぽいプラスチックの葉。キンキラのオーナメント。本物とはほど遠いけれど、リビングの照明を消して、ピカピカのイルミネーションを点灯すれば、子どもたちから「わあ」という歓声があがったものだ。
娘と一緒に、毎年「かわいい」オーナメントも少し買い足して、一緒に飾り付けを楽しんだりもした。

この冬、思い切って、クリスマスツリーを新調した。
息子も娘も大学生となり、家を出て行ったし、夫と二人暮らしに合う、落ち着いたクリスマスツリーが欲しいと思ったのだ。
「リアルのもみの木に近いクリスマスツリー」と銘打ったツリーをネットで見つけて購入した。

まず、ドンキで買ったものとは、全然違う質感に驚いた。
枝や葉は柔らかく、プラスチック感がなくて、とてもリアルだ。
幹の中心は暗く、葉先は明るく、本物の木のような自然な陰影がある。そして、うっすらと雪が積もったように見えるよう、葉先が少し白くなっていた。
何も飾らなくても美しい。本来、木というものはそういうものだ。このクリスマスツリーはそれを的確に表現している。

今年は、とりあえず、数年前に娘と買ったオーナメントを飾った。
このツリーに見合うオーナメントは、おいおい買い足していけばいい。

シックなツリーに、かわいい飾りは少し不釣り合いだが、子どもたちが残していったものを眺めながら、夫と二人、静かなクリスマスを過ごすのもよかろう。

夫と2人なら、お酒に合うカルパッチョやサラダ、チキンソテーやローストビーフを少しと、あとは小さなケーキを作ればいい。ナッツやチョコをつまみながら、残りのお酒をちびちび飲んで、ぼんやりYouTubeでも見ながら、夜更かしして、眠くなれ眠ればいい。
もう、うちにサンタクロースは来ないのだから。
ね、シンプル、シックなツリーさん。

子どもというのは、クリスマスツリーの飾りつけに似ている気がする。
子どものはつらつとした存在感は、キラキラしたオーナメントのように輝いているし、子どもの黄色い歓声は、ピカピカのイルミネーションンみたいに周りを明るく照らす。

子どもたちが巣立った私たち夫婦の家には、子どもというキラキラした飾りはない。静かで、穏やかで、平穏な日々。
だけど、まだ20歳前後の未熟な子どもたちの生活は不安定で、親としては、いつも心のどこかで心配し、彼らの無事を祈ってばかりいる。

「便りがないのは良い便り」と、日頃は格別に彼らの生活に干渉しないが、困ったときや辛いとき、背中を押してほしいとき、いつでも寄りかかれる、木のような存在ありたいと思う。
この飾り気のない、でも凜とした美しさのあるこのツリーみたいに。
そういう意味でも、このツリーとは、これからも長く付き合っていけそうだ。

先日、生活圏から少し離れた県西部へ、用事で出かけた。そのついでに、以前から気になっていたワインショップをのぞいた。そのワインショップでは、若い女性の店主が自らワインを醸造し販売している。ワインに使うブドウも自分の畑で栽培しているそうだ。
そこで、デラウエアで醸造した白ワインを購入した。お値段はいつも買うワインの数倍。ちょっと奮発した。「クリスマスだから」は、買い物のいい口実になる。

息子に電話で、「こないだ、ちょっといい白ワインを買ってさ」と話したら、意外にも「オレも飲みたい」との返事。だから「クリスマスに帰る」とのこと。おや、まあ。

じゃあ、クリスマスディナーの献立は何にしよう。
息子を驚かせるなら、丸どりのローストチキンかしら。それとも、大量のフライドチキン? あのお店のピザもいいわね。
ケーキはいつものペストリーで買う? それとも、デコレーションたっぷりに作ろうか?
そうそう! 100円ショップで、テーブルセッティング用のクリスマスグッズを買わなくちゃね。
手帳に次々とクリスマスのタスクを書き込んでいく。

12月、私の気持ちもクリスマスカラーに染まっていく。

古いオーナメントがキラリと光って、真新しいクリスマスツリーが笑った気がした。

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百瀬七海さんのアドベントカレンダー企画に参加させていただきました。
ありがとうございました!
メリークリスマス!









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