県外は行けないので、人のいない県内でドライブしてみた。

そうだ、「未来コンビニ」に行こう

もうずいぶん長い間、遠出はしておらず、自宅から半径10キロ圏内をうろうろとする日々を過ごしている。
連休明けから仕事が忙しくなったり、いろいろ心がざわつくこともあったりして、ちょっとここらでガス抜きがしたい。

遠くに行きたい。でも、県外へは出られない。
そうだ、人の少ない県内の山間地へ行けばいいのではないか!

徳島県の真ん中に位置する那賀町木頭に、「未来コンビニ」という名のコンビニができたと聞いたのは、昨年のこと。
那賀町木頭は、県内でも特に山深いところにある町。
柚子の産地でも有名。去年の年末に、知人から頂いた柚子も木頭のものだった。

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未来コンビニは、「世界一美しいコンビニ」とのコンセプトどおり、私たちが知っているコンビニとは違う、全面ガラス張りの斬新な外観を見て、一度行ってみたいと思っていた。

とはいえ、常日頃、自宅と職場の往復でしか運転しない。それも半径10キロメートルの平たん地ばかり。山道の運転は非常に不安。
そこで夫を誘ったら、いやそうにしながらも「いいよ」とついて来てくれた。やったー!


1 午前8時、カーナビをセットして出発

「ついでに、神山の『かまパン』も寄ってく?」
「うん、いくいく!」
先週行ったとくしまマルシェで買った食パンは、この「かまパン」のもの。ぎゅっと中身が詰まった素朴な食パンで、美味しかった。


次は、直接お店で選んで買いたいと思っていたので、夫の提案に乗る。

徳島市→神山町→那賀町木頭の徳島県を南西へ突っ切るルート。カーナビに設定すると、こんな感じ。走行距離93km、時間は3時間ちょっと
高速なら3時間あれば、徳島から京都くらい余裕で行けちゃうのに、わずか90kmで3時間もかかる山道。さて、たどり着けるか。

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2 神山町でパンを買う

まずは、私が運転。
神山町は、徳島市から車で40分程度。仕事でも何度か来たことがあるし、一人で運転してきたこともある。道もいいし、山間地だけど都市の郊外という印象。移住者が多くて有名な町なので、おしゃれなお店も多くて、ちょっとした観光地。IT企業のサテライトオフィスもあるので、IT系の仕事をしている夫は、コロナ前はよく勉強会なんかに来ていたみたい。なので、夫、やたら神山町内のおしゃれな店に詳しい。
かまパンまでのルートも知っていた。

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広い芝生のお庭。たき火の跡がある。その周りを、椅子代わりのコンテナが囲む。夜にそういうイベントをやっているみたい。いいなあ。

お店の入り口はこんな感じ。素朴でかわいい。

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明日の朝ごはんになりそうなマフィンとくるみパンなどを買う。パン以外にも、神山町の産品をたくさん扱っていた。神山で作られたクラフトビールと、町内のコーヒーショップのかまぱんオリジナルブレンド豆を買う。肝心なパンをあまり買わずに出てきてしまった…… 多分、次は一人でも来られそうだから、また行こう。



3 神山まではよかったが……

「山道は酔いそうだから、運転するほうがいい」と夫。
ここから、運転を交代。私は酔わないので、助手席で写真を撮りまくる。

ヤッホーーーーー!! と、子供みたいに叫びたくなるほど緑がまぶしい。

窓を開けて走ると、風が涼しい。
車はどんどん山を上がっていく。
最初は、調子よく走っていたけれど、だんだん道が怪しくなってきた。
いつの間にか、対向車線がなくなって1車線に。
細かいスパンでカーブが次々に現れる。スリリング!(運転する夫はそれどころじゃない様子)

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ガードレールと山。ときどき、ガードレールすらない狭い道。
これ、向こうから車が来たらバックするんだろうか……?

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道の真ん中に、石が頻繁に落ちている。落石らしい。道の隅には落ちた大きな石を三角コーンで囲ってある。
ここで落石があったら、どうやって引き返すのだろうか。もし車の上に石が落ちても、こんなに人がいないんじゃ、だれも助けてくれないのでは……!?
そんな妄想を走らせながら、人影のない森の中をひた走る。

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杉、杉、杉。 そうだ、那賀町は徳島県でも有数の杉の産地だった。

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あ、滝!! ゴーーーという水音が耳に涼しい。でも、ワイルド。

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川の水が美しい緑色。その奥に綺麗な三角の杉の木が広がる。

徳島県は実に8割が山。
山、川、木々や岩は何万年も前からそこにあるもの。それに比べて、人間や、人間が作った工作物なんてあまりに小さくて弱い。人間が自然をどうこうするとか、100万年早いんじゃないか。
そんな自然の重みに圧倒されて、ちょっと怖くなる。
こういうのを自然に対する畏怖の念って言うんだろうか?

4 やっと着いた

曲がりくねった狭い山道をひいひい言いながら走ること、2時間。やっと見えてきた。よかった〜。

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自然に比べたらちっちゃいけど、人間が作ったものは安心させてくれるなぁ。コンビニは現代人の心のオアシス。

ちなみに、入り口の黄色いY字の柱は、那賀町の杉の木をイメージしているそう。ガラスに杉の緑が映っていて、建物も山の一部みたい。
実物も、かなりスタイリッシュ。

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夜はライトアップされるとか。

時刻は11時。お腹が空いた。
店内で食べられるスイーツを発見。

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もちろん、食べる。左がコーヒーゼリーパフェ、右がプリンパフェ。
ソフトクリームはシャリ感があって、冷たい。美味しかった。

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那賀町木頭の名産、柚子を使った調味料や日用品がこんなに。
もちろん、町の人の暮らしに使うふつうのコンビニにあるような日用品、カップ麺、お菓子、弁当、ジュースなどが並んでいる。
奥の大型モニターには、那賀町の山や川の美しい映像が流れていて、壁には子供たち向けの絵本が並んでいるのが、ふつうのコンビニにないところ。

未来コンビニは「子供のためのコンビニ」をテーマに、 子供たちがここで様々な学びと経験に出会い、成長できる場として建てられました。
              (未来コンビニHPより)

なるほど、それで絵本が置かれているのか。ほかにも山に住むツキノワグマの生態を記したパネルが展示されていた。

つい、調子に乗って、こんな写真まで撮ってしまった。

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5 別ルートで帰ろう

さっきの神山ルートは懲りたので、東へ走って、阿南市のほうへ帰る。

この道はすごくいい道だった。ずっと対向車線があって、山道を感じない快適なドライブルートだった。

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すいすい走って、速い速い。
途中、オリンピックのドイツのカヌーチームの事前キャンプ地だった川口ダム湖が見えた。やっと日本でオリンピックをやっているのだと実感。
等間隔にブイを並べてカヌー練習ができるようになっている。結構、長い距離。

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6 今日買ったものたち

・かまパンのマフィンとくるみパン
・神山ビール
・豆ちよのかまぱんオリジナルブレンド豆
・ゆずドレッシング
・ゆず入りアルコール消毒剤
・未来コンビニのポストカード

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おまけ。午後2時にやっと、ありついたランチ。
ハンバーグで有名な「ウト・ウーク」というお店。
ハンバーグはジューシーで、すだちを使ったソース酸味が効いていて、さっぱり美味しかった。


総走行距離200km、8時間半の旅。
「徳島にはなんにもないよ」なんてつい言いがちだけど、ほんとはちゃんと見ていないだけだ。

右に切るハンドルをときどき左に切ってみたら、きっと新しい発見がある。

たった8時間だったけど、すごく充実したドライブだった。



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