走りたい。
できるようになりたいことがある。
それは、走ること。
だけど私はまるきりの運動オンチ。
走っても飛んでも回っても、投げても打っても全くもって不格好。逆上がりも跳び箱もできないまま大人になった。
そんな私が、「走るのもいいかも」と思ったのは、リレーの選手になったのがきっかけだ。
何年か前に、職場対抗の運動会でリレーを走った。
もちろん、私が手を挙げて走りたいと申し出るはずはない。
運動会の幹事をしていた友人が、
「リレーとウルトラクイズ、どっちが出たいですか?」
と提案してきた。私の運動オンチを知っていて聞いてきたのだから、相当出場者がいなくて困っていたんだろう。さて、どっちにするか。
ウルトラクイズは無知がバレる。どうせダメなら、足が遅いほうがまだまし。トップバッターでもアンカーでもなく、転ばなければ目立たない。
友人も出場するというし、一緒に出ればいい思い出になるだろうと思ったので、「リレーで」と返事した。
私は、狭い体育館を半周するだけのコース。友人からバトンを受け取って、必死で足を前に出して走った。足に伝う振動と風を切る感覚が懐かしかった。
リレーの結果は、最下位から2番目。最下位だったチームは、走者が転んで負傷し、棄権したので、実質最下位。
ちなみに、ウルトラクイズは優勝。私が出なくてほんとによかった。
「結構、速いじゃないですか」
リレーを見ていた同僚に声を掛けられた。
最下位だったのだから、多分半分は「よく、恥ずかしげもなく走ったな」という労いの意味だろう。
でも、本当のところ、子供のころほどは遅くなかった(気がした)
小学校の算数でどうしても解けなかった問題が、学年が上がるとなぜか解けるということがあった。子供のころはできなかったことが、大人になると苦もなくできたりした。
そういうのと同じで、運動も大人になったらできることがあるのか!?
もしかして、私も走れるようになったのか?
走れる人って仕事もできそうな気がするし、かわいいウエアで週末ランとか、出張先で朝走るとか、できたら素敵だろうな。夢が膨らんだ。
夢だけ見続けて、数年が過ぎた。
1年半続けたウォーキングで、だいたい1時間で4kmほど歩けるようになった。
今は、ばたばたと時間に追われながら、なんとかウォーキングの時間を作っているけれど、1日1時間、週3,4回が限界。これ以上の運動時間は作れない。でも、できれば、この1時間でもう少し運動量を上げたい。
Applewatchに設定した一日の運動量は、1日350キロカロリー、エクササイズ時間は20分なのだけれど、これが、なかなかクリアできない。
走れば、同じ時間で、消費カロリーを増やせるのでは!?
続けてきたおかげで、歩くのはだいぶ慣れてきた。ウォーキングイベントに参加したり、夫と近所を7kmほど散歩したり、友人と城山に登ったりできるようになった。翌日筋肉痛にはなったけど、疲れて動けなくなることはなくなった。
もしかして、これならほんとに走れるかも!
やってみた。
はい…… 全然、ダメでした。
100メートルほど軽く走っただけなのに、ふくらはぎが痛くなった。心拍数が爆上がりして、息が荒くなった。たるんだお肉がブンブン揺れて気持ちが悪い。ポケットのスマホが飛び出して落ちそうで気になって仕方がない。
これ以上走ったら命に関わる。
そうだ、あの時走ったのは、わずか数十メートルだったわ。
私の「歩く」と「走る」の間には、大きな川が流れていた。
でも、人生に1度は、この大河に橋を架け、対岸の「走る」の国へ行ってみたい。
そこで、もう一度自分の実力を可視化することにしてみた。
今の歩く速度は、1km12分から13分。
初心者向けマラソン教室に通っていた友人が、「1km8分くらいで走り続けるのを目指している」と言っていたから、かなりのろい……
まずはここから。
1キロ12分を切ることから始めようと、少し早歩きを心がけている。なんとも低い目標だな。
早歩きでも、ふくらはぎの走るのに近いところが痛くなる。使っている筋肉が普通に歩くときと違っているみたいだ。
アップテンポの音楽を聴きながら、スピードが落ちないように気を付けていつものコースを歩く。息が上がらない程度に、心拍数は100前後を保つ。
でも、noteで書くことを考えたり、今日のできごと、明日の妄想が捗りはじめると、気を緩んで、いつの間にか、いつものダラダラ歩きに戻る。
習慣とは恐ろしい。
歩けるようになるまで1年半かかったのなら、走れるようになるまで3年はかかるかも……それまで続けられるか、自分。
だけど、いつかまた、友人からリレーの誘いが来るかもしれない。
その時は消去法ではなく、堂々と「走ります!」と手を挙げたい。
あっ!! 短距離のリレーと長距離のランニングは全然違うものだった……
まあ、いいか。
皆さん、走れるようになれる、いいアイデアがあれば教えてください。
サポートいただけると、明日への励みなります。