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手作り味噌が美味しかった #ハッピーになるかもしれない朝エッセイ

私は手作り味噌に抵抗がある。

でも、「手作り味噌」を食べたいから、今朝の朝ごはんは、絶対に和食にすると決めていた。

いつも食べているのは、徳島の鳴門で作られたお味噌。

私が実家にいたころから慣れ親しんでいる味。
少し甘めで、味噌の香りがしっかりしていて美味しい。夫は私と結婚してここの味噌を知ってから、これしか食べない。味噌を切らして、スーパーで買おうとすると止められる。
「福寿の味噌を買うまで、みそ汁は作らなくていい」と言う。
おかげで福寿醤油さんの味噌は、もう何十年もお世話になっている味。

私が小学生くらいのときは、味噌は家で手作りするものだった。真冬になると、祖父が庭にコンクリートブロックを並べて、大きなかまどをこしらえる。そこにプロパンガスと巨大コンロをセットして、大鍋で大豆を煮る。
煮た大豆に塩と米こうじを混ぜて寝かせる。
納屋の奥にしまって、寝かせて、1年後くらいから取り出して食べる。
年末の餅つきのような非日常が子供心にとても面白かった。
子供のころはよく分からず食べていたが、大人になってほかの味噌を食べるようになってから、この祖父が作る味噌がただただ塩辛い、あまり美味しくないシロモノだったと知った。
保存用に入れる塩が多かったのか、はたまた大豆や麴の品質や配合の問題だったのか、今となってはもう分からない。

祖父が高齢になったからか、家庭内で力を付けてきた母が下克上を図ったのか分からないが、いつしか家で味噌を作らなくなって、この創業180年を超える老舗の福寿さんの味噌を使うようになった。
それ以来、私の頭の中には「味噌は買ったほうが美味い」とインプットされていた。

最近、SNSを通じて料理の楽しさが少しずつ分かってきた。以前は自分で作るものに全然自信がなかったけど、この頃は自分の「おいしい」を信じられるようになってきた。

今年はすだちシロップや柚子味噌も作ることができた。来年は梅干しや糠漬け、ジャム作りにも挑戦してみたい。
そして、時々懐かしく思い出す味噌づくり。1年も2年も熟成させて、じっくり作る味噌づくり、面白そうだけど、味は福寿の味噌にはかなうまい。

そんなふうに思っていた矢先、 
「手作りのお味噌、味見にどうぞ」
画面の向こうのお友達が、手作りのお味噌を分けてくださった。

IMG_3440(みそ)

2種類のお味噌。麴の種類が違うのだそう。
料理上手な友人の作ったお味噌なら、もしかすると。

今朝のみそ汁の具は、豆腐、大根、さつまいも、たまねぎ、しめじ。
我が家のみそ汁は、いつも具沢山。
これは、料理研究家、土井善晴先生の教え。

「一汁一菜、ええことだらけですわ」

この「土井イズム」にいたく共感している。

一汁一菜とは、ごはんを中心として、汁(みそ汁)と菜(おかず)それぞれ1品を合わせた和食の原点ともいえる食スタイルです。(上記サイトより)

具沢山のみそ汁があれば、栄養なんか難しく考えなくても、野菜もたんぱく質がしっかりとれるし、献立が立てやすい。
冷蔵庫に味噌と食材があれば簡単に作れてしまうから、料理の心理的ハードルが低い。朝の忙しい時間にあれこれ考えなくても、栄養のある1食が食べられる。
一人暮らしなら、これにコンビニで買ったおにぎりとチキンがあれば、立派な食事になる。

なので、朝ごはんには、冷蔵庫にある野菜とか豆腐とか卵とか、3~5種類の食材を、とにかく何でも放り込んで、具沢山みそ汁を作る。あとは、おのおのが、納豆を食べたり、卵かけご飯にしたり、ふりかけをかけたり、その日食べたいものをトッピングする。
時には、お弁当の卵焼きの切れ端やおかずの残りを追加したり。

毎朝、高校生二人と自分の弁当を作るようになって、ますますせわしないけれど、どうにか時間内に弁当と栄養のある朝ごはんを同時に作れるのは、具沢山みそ汁のおかげ。

子供たちにも、「具沢山みそ汁があれば元気に生きていける」と教えている。

さっそく、頂いたお味噌を使ってみた。
袋を開ける。
ん? いつものお味噌とちょっと違うこの香りはなんだろう。
くんくんして、ちょっと考えて、分かった。
麴の香り。
子供のころ、祖父の味噌づくりのために買う大量の米麹。「もろぶた」という長方形の木製の箱にいっぱいに広げられた白い粒粒。そこから立ち上ってくるほんのり甘い、あの香りと同じ。説明がおかしいけれど、甘酒の香り。

いただきます。

IMG_3449みそ汁

せっかくだから、今日は奮発(?)して、納豆卵かけご飯。
一口すする。
麴の香りがしっかりと際立っていて、美味しい。もちろん塩辛くもない。
味噌が主張しすぎず、さつまいもや玉ねぎの甘みに調和していて、さらりと食べられてしまう。
これは楽しい。
祖父の味噌は、塩の入れすぎと麴の品質、両方に問題があったのかも。(祖父は塩辛いものが大好きだった)

嬉しくなって、お弁当も回鍋肉にして、頂いた味噌を使った。
(いつもながら、盛り付けが雑ですみません)

IMG_3448弁当

これが意外に美味しかった。
お店の味。今までの福寿さんの味噌ではでなかった甜麵醬とか豆鼓に似た味がする。油との相性もよさそう。

もちろん、今の福寿さんのお味噌は美味しい。
福寿さんの味噌がプロのベテラン作家なら、手作り味噌は、粗削りだけど個性が光るnoteのクリエイターのような感じ(どんな例えだ)
白味噌と赤味噌を使い分けるように、市販と手作りも使い分ければ楽しいかもしれない。(合わせ味噌もよさそう)

ますます自家製味噌に興味が湧いた。
友人に「オンライン味噌づくり講座」開いてもらおうかしら。

具沢山みそ汁生活が、どんどん楽しくなると気づいた朝。

(追記)
最近、バルミューダを買ったので、朝ごはんのパン率がじわじわ上がっている。パン食の日の朝ごはんで、簡単に栄養を取るなら、切って焼くだけのトルティージャ(スペイン風オムレツ)がおすすめ。

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