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第一章 みんな愛する人が必要 「シンちゃん、今度のボーカルいいね。英語うまいわ。あ、当たり前か、外人だから。なんか俺たち、かなりいい感じのブルースバンドになってきたじゃん。メンツまだ全然足りないけどね」 白髪の鼻ひげをたくわえた、もう初老といった年のおやじが、ベースを外しながらつぶやく。 「やっぱ、洋楽のボーカルは外人ですよね。今度のオーストラリア人のブルースは誰の知り合いでしたっけ。マルさんの?」 もうひとりの50代らしいほうが、汗だくになったサックス・ストラップ
屋上でのリハの休憩で、教授ことリード・ギターのダニーが、ブルースうんちくをたれる。 「(この曲ソウルマンは60年代のサム&デイブによるヒット曲。60年代後半は、ベトナム戦争が長引いて市民権運動も高まっていた時代で、この曲は67年のデトロイト暴動の後に書かれている)」 茶色のあご髭をぼりぼり掻いて、ダニーは続ける。 「(共同作詞作曲のヘイズは、その年のデトロイト暴動のニュースをみて、黒人がオーナーの雑貨屋とかで、オーナーたちが目印に外に "Soul" と書いたことでデモ隊
(第2章からの続き) 「もっと、日本語で喋りながら、続けて」、うわずった声が懇願する。 「うん、きめこまかに、、ぐんぐんと力強く、これだよ、日本男子の愛し方はな。お、うぅっ」 「、、じ、じつは、、ファイザーという、製薬会社、の、青い錠剤の支援、あっての硬いぃ、だけど、、」 場末のモーテルのベッドがぎしぎし言う。 「お願い、笑わせない、、ほかのこと続けて喋って、、日本語で喋って」 「ファ、ファイザーは、今から、5年後くらいに、うっ、パンデミックのワクチン開発でも名が
強烈な熱帯のスコールはいつもあっけなく終わる。 ロシェルは、茫然と立ち尽くすサチの前に歩み寄る。 そっと彼女をハグする。 そして日本語で言う。 「あなたは悪く無いの」 「あの人が病気なのよ」 激しい落雷と雨を降らせた黒い雲は、もう南東の方の海の上へと移動している。 ペントハウスから遥か遠くにそれが見える。 あっちがビンタン島だったな、とシンイチは思い出す。 嵐の去った、高層ビルと緑の島シンガポールでは、トロピカルバードたちが清々しい朝の始まりを告げ始めた。
(第四章からの続き) すべてを出し切ったビア・フェスが終わった。 バンドメンバーは、燃え尽き症候群なのか、出し切った後の賢者の時間なのか、フェスがあたかも解散コンサートだったかのように、敢えてリハで集まろうという声がでてこないまま、数週間がすぐたった。 マルは、また意味不明の高熱が2日ほどでて、血栓ができたようだったが、ふたたび病院にかけこんだおかげで、へんな後遺症は出なかった。あえていえば、ちょっと味覚が変になった感じで、これまで大好きだったバッファロー・ウィングも、
ソウルマン by 多国籍ブルースバンド(日本国籍約4人) やたら元気
A short music video clip. Brothers in Blue, at Beer Fest Asia, Aug 20 2017
連日しつこく、同じ曲の演奏の紹介。ボーカルの大御所エラ・フィッツジェラルドの1958年のライブ録音から。 https://www.youtube.com/watch?v=fZqz5_pzXQE エラの朗らかで明るいトークからバースに入って始まる。以前 Note でエラが学校の音楽の先生みたいに真面目とか書いたが、これもそんな生真面目さで始まる。 そしてなんと途中で勝手に曲をマイナーに変えてしまっている(もちろんバックもそうしてるので示し合わせた上での転調)。マイナーで、
いいかげんしつこいよ、と言われそうですが、同じ曲の違うアーティストの演奏のご紹介。 ちょうど、この曲を題にしたフィクションの連載を書き始めたのが昨年12月。3、4回連載を書いた3月のある日、これをYoutubeで発見。 小説のほうはおおまかな設定だけあって筋は未定、ただ、エンディングが、主人公が日本へと旅立つ夜明けにこの曲を聞きながらみんなに語りかけるという設定だけはあったので、いつも、この曲が頭の中を流れていた。 山口真文さんという日本のジャズのテナーサックスの大御所
このシリーズ、終わりと思いましたが、今朝いいのを見つけてしまったので、one last post。 https://youtu.be/vzSh4KGF3bI NYのジャズボーカルの平麻美子さんの番組 https://mobile.twitter.com/mamita24 で知ったボーカルとギターの夫婦、田中千賀さんと桜井竜矢さん。 ちょうど彼らのアルバムをダウンロードしてジョギングのとき聴いているのですが、静かなギターに伸びやかでビブラート抑えたボーカルが凄くいい。