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【リサーチ旅・広島】戦争の証人「被爆樹木」を描くアマチュア画家

私が「被爆樹木」という言葉を知ったきっかけは、5年前に広島のリサーチをした時、ある男性に出会ったことだった。「被爆樹木」とは、戦前から広島に存在し”爆心地から半径約2キロ以内で被爆した樹木”のこと。これら「戦争を生き抜いた樹」を対象に、市が1996年度から「被爆樹木」として登録を始めたのだ。公園や寺など、56カ所に約30種類約170本が指定されている。

この「被爆樹木」を水彩画で描き続けるアマチュア画家の男性に出会った。

彼は広島銀行を退職後、昔から好きだった絵描きに挑戦してみようと、カルチャーセンターに通い始めたという。普通の対象物ではつまらないので、少し変わった題材を探していたところ「被爆樹木」を描くことを決めた。

「被爆樹木」だけでなく「被爆建物」という言葉も、この男性から教わった。いちばん最初に描いた「原爆ドーム」の絵は、特に思い入れがある、と話してくれた。

写真ではなく、枝葉の一本一枚を、絵で残す。取り壊しで失われつつある「被爆の証人」の姿を留めようと、定年後の限られた時間を使って命を吹き込んでいる印象だ。

原爆の爆風を浴びて、無残にも枯れてしまった「被爆樹木」たちの中には、枯れ枝から新たな芽が吹き出した樹木も存在する。原爆投下後、70年は草木も生えないといわれた広島。それでも、人が手を加えずとも、植物はしっかりと根を張り、再生を遂げた。その姿が、広島の人々の心を勇気づけているはずだ。



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