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アラン『幸福論』を読んで【読書】

皆さんこんにちは。RUです🍀
2024年初、かつ自己紹介を除いて初の(記念すべき?)投稿。アランの『幸福論』を読んだ備忘録になります。


1. 背景 :アランと『幸福論』について

まず、簡単に著者のアランと著書『幸福論』の一般知識をまとめる。
アランの本名は「エミール=オーギュスト・シャルティエ(Emile-Auguste Chartier)」で、アラン(Alain)は執筆活動時のペンネーム。高等師範学校卒業後、フランス各地のリセ(高等中学校)で哲学教師として働いていた。1903年からルーアン新聞社にプロポ(哲学的考察の断章)の寄稿をはじめ、1906年以降は毎日掲載となりその数は合計5,000以上に及ぶ。そのうち幸福に関する93のプロポをまとめたものが『幸福論(Propos sur le bonheur)』であり「フランス散文の最高傑作」とも評される。
アランは思考を体系化することを嫌い、具体的な事例を扱い物事を論じようとした点は釈迦やソクラテスを連想させる。また、プロポの寄稿のようにジャーナリズムへの意見表明や、第一次世界大戦では志願して前線に赴くなど行動的な人物像はアランの特徴と言えよう。

2. 内容 :『幸福論』の要点

次に、『幸福論』から読み取れるアランの思想の要点をまとめる。(体系化を嫌ったアランにとっては不本意と思われますが…笑)

[1] 人生は本質的に辛く苦しいものであり、何もせず気分に任せていると悲観的になる一方である。これは、避けようがないマイナスなこと(失敗、苦痛や恥など)に対して不機嫌になるという二次災害を指している。

[2] そこで、心を上機嫌に保とうとする意志の力が楽観的に過ごすために必要となる。この意志は「不機嫌な気持ちに無関心でいること」を意味しており、何もしていないと自然と近づいてくる不機嫌に対して、意識的に遠ざかろうとする能動的なものである。
幸福を外的な要因に待つのではなく、まず心の持ちよう(内面)をポジティブに変化させることが外的な変化へつながるということ(プロポ93:幸福になるという誓い

[3] そして心の状態は肉体の状態に伴うので、肉体を作る食事や運動は重要である。我々がコントロールできるのは肉体(筋肉)なので、適切な動きや姿勢によって心の持ちようを変える事ができる。

3. 感想 :穏やかな体に

各プロポは日々の出来事に基づいて書かれているのでお話自体も面白いですし、こうしたエッセンスが繰り返し断片的に散りばめられているので、読む中で自分のバックグラウンドに応じて断片が繋がっていく感覚はとても心地いいものでした。著者によって体系化されているものを学ぶ場合は「出来上がったアプリをインストールする」ような感覚がするのに対して、「自分だけのアプリを自分で作り上げている」ような感覚はワクワクがあり、学びとして最高の形態なのではないかと感じました。アランが教師として高く評価されていることも納得です…!
学びにおけるこのワクワク感は、今後もずっと大切にしたいと思います。

そして何より[3]について、最近の自分の思想と親和する点を発見したことは大きな収穫でした。印象深かった2つのプロポを取り上げたいと思います。
(その前に)僕は最近、健康には深呼吸が一番大事なのではないかと考えています。そもそもあらゆる物事において「固有のリズムに合った=調和した平穏な状態」が最も善いのではないかと考えています。そこで人体のリズムは何かとなった時に、人体を制御するものとして自律神経に思い至りました。なので自律神経を整える最も簡単な方法として呼吸が大事だろうという訳です。特にスマホを持ちはじめてから、ダラダラと動画を見続けてしまうときにふと「浅く細かな呼吸」が多いことに気付きました。なので意識的に「深くゆっくりな呼吸」をすることを日常的に心がけています。
閑話休題。こうした僕の「体を穏やかにしたい」という気持ちに対して93のプロポの中でも特に印象に残ったのが次の2つです。

プロポ19:あくび(L'art de bailler)
集中しているとき、胸郭が閉まり息がつまる。そんなときあくびは「深刻ぶって考えるのはやめて気楽にやろうよ」という合図になる。
> 深呼吸の話と繋がりを感じて、自分の考えが一段深まった気がします。腕を上げたり胸郭を開くことで自然と深い呼吸ができるので、背筋をまっすぐっていうのは大事なんだなあと思いました🐈 あとは「気楽にやろうよ」って言葉が素敵。

プロポ51:遠くを見よ(Regarde aux loin)
星や水平線など遠くを見るときに目は癒される。目がくつろぐと頭も自由になってよく働き、体もゆっくりとする。
> まさに視野を広げるということだなと、これも非常に納得させられました。今年は山など自然豊かな場所に沢山行きたいので、スマホを置いて直接いろんなものを見たいと思います💫

もちろん他のものも身に染みるものばかりですが、個人的にこの2つはずっと大切にしたい言葉になりました。本の体裁が気に入って衝動的に買った日経BP出版の『幸福論』、出会えて良かったと思える1冊でした!

(全然話は変わりますが、プロポ18:ひざまずく(Prieres)の、口を開けたまま「イ」の音を想像しても「ア」に近くなるという例は、想像力が身体の動きに支配されることの具体例として「確かに!」と感動しました笑)

4. 参考資料

1. 背景や2. 内容については以下の書籍と解説を参考にさせて頂きました。
(1) 幸福論. アラン 著. 村井章子 訳. 日経BP 出版. 

(2) 悲観主義は気分、楽観主義は意志『幸福論|アラン』. 哲学チャンネル. 
   https://www.youtube.com/watch?v=NeLJHwKcpX0

また、僕は人文系は全くの素人であり、3. 感想の事例も個人の考えの域を出ていません。事実と矛盾する点がある場合は、ご教授頂ければ幸いです🙇

お付き合いいただきありがとうございました。ではまた🍀

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