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同業他社への転職は可能か?競合への転職禁止は有効か?

こんにちは、RtoRの井川です。

人材紹介専門のエージェントを経営していると、現在人材紹介業務やその周辺業務に携わっている方から、「同業内での転職は禁止されているのですが、転職は可能でしょうか?」といった相談を受けることがあります。

本日は、同業内での転職禁止は有効かどうか?という点について、これまでの経験に基づいて書いてみたいと思います。法律的解釈は様々ありますので、詳しくお知りになりたい方はWEBサイト等で調べてみてください。

 

「同業他社への転職は禁止されています」

 

先日ある大手人材会社の社員の方とお話しした際に、

Aさん「私の会社は同業種への転職は基本的に禁止されています」

私「実際に同業者へ転職する人はいないのですか?」

Aさん「実際に同業へ転職した人は、過去2年分の賞与の返還を求める通知が人事から届くようです」

私「それ自体が不当な請求である可能性がありますね。御社のような大手企業がそんなことを言っているとは驚きです」

Aさん「はい、同僚の大半は異業種へ転職していきます」

 

この話はかなり驚きました。私たち同業者だけでなく、世間一般に広く知られている会社がそのようなことを社員に要求しているようです。

 

「同業他社への転職は可能です!」

 

そのような方々に私が行っているアドバイスは、基本的に「職業選択の自由」が優先されますので、同業他社や競合への転職は可能です。ということです。

しかし、注意していただきたいのは、前の会社に大きな損害を与えるような形で同業や競合に転職をした場合は、前職から訴えられるリスクがあると言えます。

人材紹介会社の場合は、「登録者情報やクライアント情報、成約情報などを大量に持ち出した」場合や、そのリストを利用したことで前職に大きな不利益をもたらしたケースが該当すると思います。

つまり、前職の機密情報をデータで持ち出したりして、前職に損害を与える場合、また、その人でないと知り得ないノウハウを活用した場合は訴えられるリスクはありますが、そうでない限り訴えられる可能性は極めて低いと考えられます。

例えば、自分が担当していた企業や人事情報は、自分の頭の中にある情報であり、悪意を持って大量に持ち出した性質のものとは異なります。

また、求人企業の情報は今となってはそこここに溢れていますので、「自分で担当していたクライアントを転職しても引き続き担当する」程度であれば訴えられ可能性は低いものと考えられます。

 

「役員や部長が転職する場合や独立は注意が必要?」

 

しかし、役職が上がると社内の機密情報に触れる機会も増えます。その会社独自のノウハウや技術をしっている役員が同業他社に転職し、そのノウハウを生かして活動している場合は訴えられるリスクがあります。

また、同事業で前職のノウハウを活用して独立した場合も、同様に訴えられるリスクがあります。一般的には退職後1年以内は同業への転職や独立は「競合避止義務」が有効となるケースがありますので、1年間は周辺事業や別事業を行うか、独立せずにコンサルなどで生計を立てて、1年経ってから独立したりするケースもあります。

私の場合は、退任後半年して人材紹介会社を立ち上げましたが、前職の領域には被らないことから問題ないだろうと判断しましたし、前職の社長からも「起業頑張れ」とご連絡を頂き、今では紹介先としてお客様になっていただきました。

 

「同業への転職禁止企業は辞めて正解?」

 

いずれにしても、人材紹介を生業としている会社を経営していて、同業他社への転職を禁じるような会社は、個人のキャリアを尊重しない会社であり、社長は独りよがりなオーナー経営者である可能性が高いので、会社に嘘をついてでも早々に転職したほうがいいでしょう。

 

企業経営陣は、同業に転職することを禁ずる前に、「なぜ同業に転職してしまうのか?」を自責で考えていただき、優れたコンサルタントが長く活躍できる会社組織づくりのほうにもっと力を入れて欲しいものです。

 

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