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最後の清流

誰も知らない森。黄色い蝶と青色の蝶が追いかけっこをしている。その森の奥。この世界で唯一、まだ人間に汚されていない湖がある。私はそこに浮かんでいる。風が吹く。木の葉が舞い散る。私は1つとして同じ形の葉がないことに驚き、そして、それら全てを同じ葉というものだと思うことができる人間に驚く。
綺麗な水に触れ、自分自身の心が綺麗になったと錯覚する。それは錯覚だが、しかし、今この瞬間だけは心から雑念が消えて…
騒音。目が覚める。
何年も前から続く、何処を工事しているかも分からない工事の音。
朝食は養殖の焼き魚。海と川は汚され、天然の魚は絶滅した。
朝食を食べながら考える。あの湖は何処かに本当に存在しているのではないかと。

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