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少しずつ自分を認められるような要素を作れる場所【ねこぜさんインタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、番組『ねこぜ』を配信する、ねこぜさんにフォーカスします。

2020年11月からRadiotalkでの配信を開始したねこぜさん。一人しゃべりからコラボ配信まで、いくつかのシリーズやユニットを並行させて精力的にRadiotalkで活動しています。5月の「トークの日」(※Radiotalkで毎月19日に開催されている公式企画)では見事1位を獲得し、オリジナルギフトの作成権をゲットしました。

そんなねこぜさんですが、今に至るまで順風満帆というわけではなかったそうです。人に絡みにいくのが実は苦手だったり、地上波ラジオのパーソナリティ選考で悔しい思いをしたり……。

それでもRadiotalkで配信を続ける理由を伺うと、ねこぜさんがずっと抱えていたコンプレックスにまで辿り着きました。

(取材・文/ねむみえり

高校の文化祭で褒められたことをきっかけに配信者へ

ーー音声配信を始めたきっかけは?

ねこぜ:高校生のときは、友達とYouTubeをやってたんです。でも大学生になってからはやりたいけどやれない状態が続いていて、音声配信であれば一人でもできるかなと思って興味を持ちました。もともとラジオ好きだったというのもあって、「ラジオ」でアプリを検索したらRadiotalkが出てきたので、それで始めました。

ーー最初はYouTubeで配信していたんですね。そもそも配信をやりたいと思ったのは何故ですか?

ねこぜ:高校の時の文化祭で実行委員をやっていたんですが、そこでオープニングムービーみたいなのを作ったんですよ。それがすごい好評で褒められたのが嬉しくて、その体験が根本にあります。

ーー収録はどのような環境で?

ねこぜ:結構Radiotalkでは使ってらっしゃる方が多いんですけど、ヤマハのAG03っていうミキサーと、セットで買った安いマイクと、あとはパソコンぐらいですね。いいやつを使ってるとかではないです。

ーーRadiotalkを始めた頃の声と、最近の声が少し違う気がしたのですが、配信を続けていく中で声の出し方を変えたりされましたか?

ねこぜ:自分の声がもともとあまり好きじゃないんですよ。鼻にかかって、こもった声になりがちで、Radiotalkで配信を始めてから余計にそれが気になり始めて、ハキハキしゃべるようにはなりましたね。

理想のラジオは一人では作れない

ーー当初は番組名が『猫背で喋ってみた。』だったかと思うのですが。

ねこぜ:今、ありがたいことに色んな人とユニットを組んで活動しているので、1つの番組っていうコンセプトがずれてきてしまって、2022年に入ってから『ねこぜ』にしました。

ーー今は一人しゃべりの「アサゼ」シリーズがありつつ、いくつかのユニットを組んで配信してますよね。一人でしゃべるよりも、誰かと一緒にしゃべるほうが、やりやすさや楽しさはありますか?

ねこぜ:そうですね。僕の好きなラジオの形がかけあいだったりするので、一人だとどうしてもできないことがあるなっていう限界を1年前ぐらいに感じましたね。それまでは一人で色んなシリーズを作ってやってたんですけど、理想のラジオの形が遠いなって思う瞬間が多すぎて。

ーーほかのトーカーさんとコラボするまでの流れはどのように生まれてきましたか?

ねこぜ:もともとRadiotalkさんで「Talker PRODUCE」(※過去にRadiotalkで実施されていたプロジェクト)っていうのを受けていて、担当の方に常々「ねこぜさん、もう少し色んな方と絡んでみませんか」って言われていたんです。でも、実はそういうのがすごく苦手で……。

ーー沢山の方とコラボされているので、すごく人と関わるのがお好きな方という印象を持っていたので、驚いています。

ねこぜ:すごく内向的な性格なので、めちゃくちゃ苦手なんです。今絡ませてもらってる方々は、すごくねこぜのことを褒めてくれたり認めてくださって、俺が心を開いてる方々なんですよ。

ーー今、メインの活動としては収録トークとライブ配信のどちらに軸がありますか?

ねこぜ:最初の頃はライブ配信で企画みたいなものをずっとやってたんです。でも、ラジオが好きでやっているのに、ライブ配信だとラジオの形からどんどん離れてしまっているような気がして、それがちょっとひっかかっていて。それで1年前ぐらいから収録トークに力を入れようってなりましたね。でも結局収録トークでやってたシリーズをライブ配信に持っていったりしているので、どちらかと言えば今はライブ配信……なんですかね。

大好きな地元・岩手県をもっと知ってほしい

ーー多くのユニットを組んだり企画をしたり、発信することへの熱量が大きいなと思っていて、その原動力はどこにあるのだろうと気になっていました。

ねこぜ:俺、めちゃめちゃ承認欲求をこじらせてるんです。あまり褒められた経験がない中で、配信活動を始めるきっかけにもなった文化祭のオープニングムービーを褒めてもらえたので、これなら褒めてもらえるっていうのを知ってしまったんです。なので、音声配信もたくさん出せば褒めてくれると思ってやってるという、実はそういう幼稚なものだったりもします(笑)。でも、やっぱり聴いてくださっている方がいるのは大きいですね。

ーー反響が大きかった収録トークの回はありますか?

ねこぜ:再生数的には、岩手県でSuicaが使えるようになったっていう話をしている収録トークが伸びてましたね。「Suica使えないの!?」ってめっちゃ言われました(笑)

ーー高校時代の同級生と三人でやっている「チームかばねやみ」は、シリーズを変えながらも長く続いているユニットですよね。一緒に配信されているミリオンベアーさんとふらたんさんには、ねこぜさんからお声がけされたんですか?

ねこぜ:高校のときに一緒にYouTuberをやってたのがその二人なんです。まず僕がRadiotalkを始めて、そのあとにミリオンベアーも始めたんですよ。そこで、二人でなんかしたいねってなったときに、せっかくだからふらたんも呼びたいなと。俺からも話はしましたけど、それぞれがそもそも何かをしたいって思っていたので、そのまま三人でやるって感じになりました。

ーー「かばねやみ」とはなんだろうと思っていたんですが、岩手県の方言なんですね。

ねこぜ:そうなんです。面倒くさがりっていう意味です(笑)

ーー「チームかばねやみ」として配信する中で何回かシリーズ名を変えてますが、そのタイミングは?

ねこぜ:素人なりに、それぞれが「もっとこうやって面白くしたい」みたいな意見を出すので、やっているうちに「このシリーズのコンセプトだとこれができないよね」というのが出てくるタイミングがあるんです。そうしたら、1回このシリーズはやめて新しい形で録ってみよう、という感じでいくつかのシリーズをやってきて、今やっている「リアス式ラジオ」に辿り着きましたね。

ーーちなみに最初のシリーズの「チームかばねやみの雨ニモカテズ!」はどのようなコンセプトだったんですか?

ねこぜ:これは、まず三人を知ってもらうっていうところに重きを置きました。Radiotalkの中に岩手県というワードがあまりないように感じたので、岩手県出身の作家の宮沢賢治さんの作品名をオマージュして、うまい具合に岩手をアピールしたいなと。

ーーねこぜさんの一人しゃべりでも、「チームかばねやみ」でも、東日本大震災についての収録トークを配信していますね。

ねこぜ:色んな要素があるので、素人が適当にしゃべっていいのかも怪しいぐらい、震災の話は難しいんです。でも、Radiotalkの公式バッヂがついている番組でそういう話をしている方って意外といないなというのは、震災についての収録トークを配信する理由の1つとしてはあります。

あと、僕はすごく地元が大好きで、ユニット名も方言からつけるくらい郷土愛があるんです。なので、岩手県を知ってもらいたいし、地元になにか貢献したいっていうのは強い思いとしてありますね。

「地上波ラジオで話す」という夢を叶えるためならなんでもしたい

ーー去年の12月には、収録トークを1日に何本も配信している時期がありました。

ねこぜ:ありましたね!確か、Mラジ(『MラジMusicTreasures~月刊Radiotalk~』)のパーソナリティの募集に応募したけど、最終選考にすら引っかからなかったんです。そこで悔しいってなって、2時間ぐらい机に向かって、収録トークを録りましたね。話せることを全部話して圧倒するぞと思って、躍起になっちゃって。でもちょっと怖いですね(笑)

ーーMラジのパーソナリティ募集への応募も含めて、Radiotalkのイベントにはかなり参加されていますよね。5月のトークの日では見事1位を獲得されて。何かチャンスがあったら掴んでいきたいというような気持ちは大きいですか?

ねこぜ:そうですね。ラジオ好きだからこそ、地上波のラジオブースでお話ししてみたいという夢があるんです。ちょうどRadiotalkを始めてすぐぐらいに、地上波ラジオの出演権を手にした方が何人かいたんですよね。それを見たのもあって、「夢を叶えるためには手段は問わん!」というところはあります。

ーー1月にも『かばねやみ高校「大文化祭」』としてトークの日で12時間以上配信をされてましたよね。

ねこぜ:やってました。そのときは1位になれなかったので、5月の「トークの日」はリベンジのような気持ちでした。SCOREも伸びる楽しい配信って難易度が高すぎて、ちょっとやさぐれてたんですよね。今回はラストチャンスの気持ちでやりました。

ラジオ愛が強い人たちと一緒に、より面白い番組を作っていく

ーーユーザー企画である「SMASH!」には第1期から参加されていますが、1つの枠を担当されてみていかがですか?

ねこぜ:俺としては文化祭に近いものがあります。注目を浴びるし、茶番1つにしてもジングル1つにしても、リスナーさんが盛り上がってくれるのがめちゃくちゃモチベーションに繋がっていて、やっていて楽しくてしょうがないです。ほかのトーカーさんから、「ねこぜは『SMASH!』のときは生き生きしているね」ってすごく言ってもらえますね。

ーーどのような形でオファーがあったんですか?

ねこぜ:「SMASH!」の発案者であるラジオトーカーうえださんが、DMで連絡してくださったんです。

『あどりぶラヂオ~月刊Radiotalk~』(※2021年10月までMBSラジオで毎月放送されていた、Radiotalkの配信者を起用したラジオ番組)の7月放送分のパーソナリティを募集していたときに、俺が選考のためにやっていたライブ配信で、ラジオが好きだっていう話を結構していたんです。それをうえださんが聴いてくださっていたみたいで、「ラジオを好きな人にオファーしようと思っててん!」みたいに言ってくださって、俺も「ラジオ好きです!やります!」みたいな流れでしたね。

ーー確かに「SMASH!」に参加されている方は、特にラジオへの愛が大きい方が集まっている気がします。今年の3月からは収録トークの新シリーズ「アサゼ」も始めてますね。

ねこぜ:「アサゼ」は、「チームかばねやみ」でやっていた「業務連絡」シリーズをきっかけに思いつきました。「業務連絡」シリーズでは1分ぐらいの短い収録トークを配信していたんですが、それぐらい短いとさらっと聴けるので、めちゃくちゃいいなと思ったんですよね。今って、YouTubeショート動画とかTikTokみたいな、短い時間に詰め込むというコンテンツが流行っているので、その流れに乗っかりたいという気持ちがあります。

あと、Radiotalkって意外とユーザーの年齢層が高い印象があって、朝一でRadiotalkを聴いているという方が結構いらっしゃったので、「アサゼ」が朝の定番になったら面白いなっていうのも始めたきっかけの1つです。

ーー「アサゼ」だけでなく、天気日子さんとやっている「あまきねこ」も早い時間帯に更新してますね。

ねこぜ:「あまきねこ」は、天気日子さんが最初の頃から、朝に配信すると通勤・通学しながら聴いてくれる人が多いと思うから、8時投稿はマストにしたいって言っていたんです。なので、それならそうしようって。

ーーどの時間帯に配信したらRadiotalkユーザーが一番聴いてくれるかをしっかり考えて配信されているのはすごいですね。最近はホサカユリヤさんとのユニット「満漢空赤」も開始されました。

ねこぜ:ほかのユニットは結構ゆるくしゃべっているんですが、それとは別でがっつりラジオを作りたいっていう気持ちがあったんです。それで、誰と組もうかなと考えてたときに、ずっと聴いていた『おはようございますニッポンの皆様』のホサカさんに一か八か連絡してみるか、と思ってDMで連絡しました。

たまたま、直前にねこぜの枠でホサカさんがコラボしてくださって、リスナーさんからも好評だったし、ホサカさんも「ねこぜおもろいね」って言ってくれたんです。それが結構大きかった気がしますね。

Radiotalkでは自分を好きになれそう

ーーRadiotalkで配信を続けてきた中で印象的なことはありますか?

ねこぜ:初めてライブ配信をしたときのことですかね。最初のライブ配信では野球か何かの話をしていたんですが、April松田さんがコメントしてくださったんです。そこで松田さんと交流させてもらって楽しいって思って、それでここまで続けてこれたところがあるので、ねこぜ名義初ライブ配信がいまだに忘れられないですね。

ーーその日から毎日、ライブ配信をされていますか?

ねこぜ:1年ちょっとは続けたんですが、去年の年末に本当にしんどくてライブ配信を休んでしまった日があるので、12月で連続配信が途切れてしまいました。

ーー2021年末に何かがあったんですね。

ねこぜ:そうですね。11月12月、年明けて1月、2月ぐらいは腐ってたと思います。思うような結果も出せないし人気も出なくて。それに加えて、新しく始めたトーカーさんが伸びているのを見て、自分にはないものを持っているなってすごく感じたタイミングでもあったんです。あの時期は正直辛かったですね。

ーーそこで配信をやめていないのがすごいなと思いました。

ねこぜ:リスナーさんとコミュニケーションをとるのが楽しかったので、どうしてもそこは捨てきれなかったですね。

ーーそんなねこぜさんにとってRadiotalkはどんな場所ですか?

ねこぜ:うわ、アナザースカイみたい(笑)。もともと「ねこぜ」の中の人の人格を自分で好きになれなかったんです。「こんなこともできないのか」って、自分に対して結構きつく思っちゃうタイプなので、それがずっとコンプレックスのような形であったまま生きてきたんです。

でもRadiotalkでは「ねこぜ」っていう人格を使って、ちょっとずつ自分を認められるような要素が作られてきているので、Radiotalkは自分を好きになれるような、そんな場所だなって思います。

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