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KOC準決勝コンビが力を注ぐ 「音声配信」という稼業【ガクヅケ インタビュー】

Radiotalkで活躍する音声配信者「ラジオトーカー」を紹介していく連載インタビュー企画。今回は、お笑いコンビ・ガクヅケ船引亮佑さん木田さん)にお話を伺いました。

お二人は2020年7月からRadiotalkにて『ガクヅケのあつあつやりとりラジオ』をほぼ毎日配信中。同時に単独で生配信をおこなったりと、ヘビーなトーカーとして支持を集めています。

今年は本業のコント師としても飛躍の年を迎え、『キングオブコント2021』ではセミファイナリストに進出。

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ネクストブレイク筆頭芸人であるガクヅケに、それぞれの赤裸々な心情が発露される『ガクヅケのあつあつやりとりラジオ』の舞台裏について語っていただきました。

(取材・文/ヨシムラヒロム

「まとめ録りする、しない」でケンカ

──Radiotalkで音声配信をはじめたキッカケを教えてください。

船引:所属しているマセキ芸能社からRadiotalkの案件が届いたのがキッカケですね。リモートでRadiotalkの方が説明会を開いてくれたんですよ、芸人向けに。

そのなかで「がんばったら収益化できますよ」(※)という話を聞いて、番組スタートを決めました。YouTubeもやっていましたが、そっちは全く収益化できる見込みなかったんで。あとトークの練習にもなるかなぁ、とも思いました。
(※Radiotalkでは、収益受け取り設定を行えば誰でもギフト収益を受け取ることが可能)

木田:船引さんが「やらへん?」と言ったんで、「まぁ……、ええか」って。Radiotalkって、12分間の制限時間(※)があるじゃないですか。短い時間で喋るといった経験がなかったので、新鮮でいいかな、とは感じました。(※収録トークの場合は上限12分間)

──普段はどのようなカタチで収録されているのですか?

船引:完全にリモートですね。僕がアカウントを管理していて、ゲストで木田を招待して録るって感じです。

木田:で、僕はスマホで喋っています。

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──ほぼ毎日配信されているお二人ですが、このスタイルはどのようにして決まったのですか?

船引:収益の面でもトークの練習としても、毎日やったほうがいいっていうのはあるんですけども。ただ僕が「毎日やる」と決めたとき、木田は最初めっちゃ反対して。「出来るだけ溜め録りさせてくれ」と懇願されて、ちょっとケンカになりました。

木田:当たり前ですが、1日2本撮ったら、次の日は録らなくていいじゃないですか。7本も8本も溜め録りしよう、とはコチラも言ってないわけですし。それぐらいは融通して欲しかった。

船引さんから「毎日録りたい」と言われた時は、僕の性格的に「それはできることではない!」と思いましたよ。「だって毎日録るのって、大変じゃないですか!」って。芸人らしからぬ、至極普通のコメントで申し訳ないですが……。

船引:最大で3日しか溜め録りしたことないですから。1日1本録ってすぐ公開することが理想です。

毎日配信するから、生き様が浮き彫りになる

──毎日やっているせいか、お二人が話すことって芸人らしいネタトークとはちょっと違いますよね。些細な日常への言及といった内容が多いというか。

木田:それ、プラスの意見として言ってますか?

──プラスでもあり、マイナスでもあり……。本物のファンしか聞き続けることは、難しいなと思いました。内輪話を完全に理解するために過去回を遡り、ある程度の量を聞く必要があるというか。番組は面白いのですが、そこに至るまで長い道のりですよね。どんな芸人さんでも、毎日ネタ的に面白いことを喋り続けるって、不可能じゃないですか。

船引:んー、ホンマに話すことがなんもなくなる時はあります。一応、木田とのLINEグループで「Radiotalkのテーマ」というのはあるんですけどね。

例えば「子供の頃の成功体験」とか「お酒で失敗した話」といったテーマをそれぞれが投稿していて、本当に何も話すことがなくなったとき、そこから選ぶ。なんとかしのいで毎日やっている、これが実情です。

木田:僕も船引さんと同じ感想ですね。自分が持っている面白い話は、もう30回目の放送ぐらいで全て出し尽くして、100回目くらいからは「何を喋ってたんやろ」っていう……。今、そのなにも出ないといった感覚が急に戻ってきました(笑)。

──過去にお二人は共同生活されていたとお聞きしました。毎日Radiotalkを配信することで、「ガクヅケのシェアハウスはまだ続いているんだ!」なんてことも考えました。

木田:それ気持ちがしんどくなるんでやめてください。「共同生活」、その言葉だけで気持ちが重くなるんですから(笑)。

船引さんと一緒に住んだ6年間の月日で、結構疲弊しているんですよ僕。Radiotalkでも話したんですけども、船引さんって「死にたい」っていう口癖があって。めちゃくちゃ「死にたい!死にたい死にたい死にたい、死にたい」と言うんです。で最後に「嘘やけど」と漏らす。僕が隣の部屋で寝ていた時、船引さんの「死にたい!」で起きるみたいなことも多々あったんです。

で、そのあと「嘘やけど!」って。「毎回一緒やないかいっ!」って気持ちが僕のなかで溢れてきて、それがキツかったです。相方の独り言が嫌になるって、お笑いやる上で健全じゃない。だから共同生活を辞め、一人暮らしを始めたんです。

船引:実は僕らって共同生活が先、コンビ結成が後なんですよ。

木田:最初は大阪に住んでいたんです。船引さんが前のコンビで東京行くことが決まり、僕はその時にお笑いやる気は全くなかったんですけど、「東京にはとりあえず行くか!」ってことで一緒に引っ越したんです。

東京で船引さんがコンビを解散して、「どうする?」となり、僕が相方になりました。誘われた時も、「次の相方見つかるまでならいいですよ!」なんてテンションだったんです。

船引:うーん……、共同生活はめっちゃ楽ではあったんですけどね、ネタ合わせとか。当時は木田が夜勤で、僕は朝勤だったのでほぼ顔は合わせない。コチラはね、一人暮らし感覚やったんで、もう全然8年、10年、僕は共同生活を続けられたんですけど。

なんかその……毎日配信のことに話を戻しますと、木田が「録りためたい」と楽をしようとしているのが嫌なんです。

木田:楽じゃないですよ!

船引:「楽なんかさせへんぞ!」とこっちも意地になって、それこそ「こんな立場で楽しようとするな!」っていう。

木田:空いた時間でできることもありますし、2本ぐらい録音したっていいじゃないですか!

船木:いや毎日……。

木田:毎日録るしんどさもあるじゃないですか! Radiotalkで疲れすぎてもしょうがないじゃ……

船引:疲れへんやろ。毎日12分喋るくらい。

木田:いや、ちゃいますよ…… それぞれ性格もあるじゃないですか。いや、こんなこと話していて、大丈夫ですか? (インタビュアーに)おーい! 聞こえてます?

KOC 1回戦から準決勝までの「挑戦実況」が話題に

──やはりガクヅケはお二人のやりあいが魅力です。個人的にはお二人がファッションについて語り合った「ファッションとガクヅケ」といった回が印象に残っているんですよね。

船引:僕が大学時代、どんなに寒くともカーディガンしか着ていなかった話ですよね。今更ですが、こうやってトピックを作って話すと、新規の人も聴きやすいみたいな感じなんですかね?

──個人的にはそう思います。最近だと『キングオブコント』のトピックがかなり多くなっています。ただ船引さんは「命かけて芸人やっている」と仰っていたので、命かけてやっていることがテーマになることは必然の流れだなと。

船引:生活も全て投げ打って芸人やってますからね。あと『キングオブコント』の話をすると再生数が増えるんですよ。1回戦、2回戦、3回戦(準々決勝)の詳細を話す芸人って、実はあまりいないんです。僕らは出番直後にすぐにRadiotalkで喋っているので、その臨場感をリスナーに味わって欲しいです。

木田:確かにその生々しい感じが再生数に繋がっているんでしょうね。

■キングオブオコント1回戦時のトーク

■キングオブオコント2回戦時のトーク

キングオブオコント3回戦(準々決勝)時のトーク

キングオブオコント準決勝時のトーク

船引:芸人の掲示板を見るのが好きなんです。だから時間が空いちゃうと、掲示板で人の意見を読んで影響を受けた後に話すことになっちゃう。そういった意味でもやり終えた直後に収録した方がいいんです。

話はそれますが、けっこう掲示板の情報も間違ってますしね。以前も「ガクヅケが全然ウケけてなかったのに『ウケけた』とRadiotalkで喋ってる」って書かれてましたから(笑)。

ネタ解説配信、スポンサー獲得…… 貪欲に形を模索する

──YouTubeで公開しているネタ動画をRadiotalkでDVDの副音声のように解説する回、あれは新しい試みだと感じました。

船引:トークのネタに困っていたタイミングで、たまたまネタ動画が公開されたので、やってみました。よく一人で生配信してるんですけど、元々そこで単独ライブの副音声をやっていたんですよ。

──どのくらいのペースで生配信されているんですか?

船引:それもほぼ毎日ですね。生配信の収益でもお金が入ってくるのがいいんです。

──トークでも船引さん、頻繁に「お金欲しい」と言ってますよね。

船引:そうですね、本当お金に執着してますから。歳をとるにつれて、お金稼げてないっていうのがダサいなって思ってきたんです。だから、グノシーが番組のスポンサーになってくれた時、すごく嬉しかったですね。

収入の半分を音声配信で稼ぐ

──『ガクヅケのあつあつやりとりラジオ』のポリシーは?

船引:「毎日更新してお金を稼ぐ」です。最初らへんは2,3日に1回のペースだったんですが、いまは収入の半分をRadiotalkから得ています。

木田:僕は正直、ないですね。

──トークの12分間はお二人にとって、どのような時間ですか。ある回で船引さんが「お笑いの話してもポッキーの話しても12分間は一緒でしょ」と言っていたことが印象に残っています。

木田:そんな深いことを言っていたんですね。

船引:全然覚えてないな……。

木田:けど12分…… 体感時間が全然違うんですよ。めっちゃ長い時もあるし、めっちゃ短い時もある。対面で話すと12分を長く感じますね。逆にリモートで話すと、そんなに。

船引:確かに、リモートだとすぐですね。(木田に話しかける)外で話すと長くない? 12分って本当に絶妙な時間だと思います。

──お二人は意外とリスナーのハガキを読まないですよね。それこそネタの宝庫ではないのですか?

船引:んー、来ていた時期もあるんですけど、あんま読まないようになってから、届かなくなりました。

木田:絶妙に触れづらいものがあったりして。ちょうどいいお便りが来たら嬉しいですけどね。

船引:ふわっとしたお便りのほうが、なんか盛り上がる傾向があります。曖昧な質問というか。「好きなツッコミどんなですか?」といったガチガチなお笑いの話だと、あんま弾まないって感じですね。話しながら色々寄り道するのがどっちかというと好きなので、正面で答えるより、ふわっとしたものが欲しいです。お便りは。

木田:僕は、「〇〇なエピソードありますか?」とか、自分の中で話すことを探す系のお便りが好きですね。「金魚のエピソードありますか?」とか、「金魚……?」で何か思い出したりしたらちょっと面白いじゃないですか。

──毎日音声配信をすることによって、なにか芸人の活動で変化したことはありますか?

船引:K-PRO主催の、Radiotalkをテーマにしたトークライブに、2回ほど呼んでいただけました。僕ら以外のメンバーがすごかったんですよね。ガリガリガリクソンさんとかオジンオズボーン篠宮さんとか、「はじめまして」の大先輩が多く、何もできなかったってことが印象に残っています。

木田:めちゃめちゃ緊張しましたね。どういうメンツやねんていう。ライブ自体は面白かったんですけど。

──ガクヅケにとって、Radiotalkとはどんな場所でしょうか。

木田:修行場、鍛錬場と言えばいいのか。僕なりに戦っている場所ってことだと思います。

船引:毎日やっている生配信は、「ストレス発散」ですね。ストレス発散しながら小銭をいただけるっていう(笑)。

『ガクヅケのあつあつやりとりラジオ』に関して言えば、木田と僕の関係性を確認するところです。普通に面と向かって注意すればケンカになるけど、Radiotalkで注意すれば、発散にもなるし、シャレにもなるし、っていうか。つまり、僕にとってRadiotalkは最高の場所ってことです。

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