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1周忌

2021年1月23日


ちょうど1年前の今日、父親が死んだ



あれは午前9時ぐらいだったろうか。

土曜日で眠りこけていた自分は、病院からの電話で叩き起される。

救急外来に搬送されてそのまま集中治療室へ行き、3日ぐらい治療を経て容体は安定してきたので『これなら一般病棟に移れますね』みたいな連絡ももらっていたのだ。そして父は退屈だから家に置いてある本を何冊か持ってきてほしい、と看護師さんに伝えていたらしく、じゃあこの土日にでも本を持っていくか、と思っていた矢先のことだった。

医師から『お父様の容態が急変して危ない状況です。いますぐに来てください』と言われて、そのまま朝飯も食わず寝ぼけ眼で、気持ちは混乱したまま病院まで向かうとチューブだらけの父親の姿が。


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父の最後はこんな感じだったなあ。

父の場合はコロナではなかったけれど、うっ血性心不全で心臓がかなり弱っていたところに肺炎を起こしていたので血中酸素濃度が尋常ではなく低かったから、まあ苦しかったことだろうと思う。実際に救急車で搬送されるときに血中酸素濃度の異常な低さに驚いて酸素ボンベを何本も使用したらしいし。

しかし入院する3日ぐらい前だろうか。

家に顔を出したときにはゴホンゴホン!やりながらタバコを吸っていたので、もうこれは自業自得のようなものなのかも知れないな。オレはタバコを吸ったことないから分からない。そこまで苦しいのに吸いたくなる気持ち、分からないし別に分かりたくもない。


それで、目の前にはチューブだらけで延命措置を取られ、虚ろな目で薄っすらと虚空を眺める父親の姿が。

医師から「今は何とか人工呼吸器等で延命していますが、医学的には既に死亡したと同じですがどうしますか。このまま延命し続けますか」と言われ、オレが「外してください」と、『最終的な決断』をした日でもあった。

人工呼吸器心臓を動かす装置の音か分からないけど

ツッチーツッチーツッチーツッチーツッチーツッチー

ヴゥ~~~ン


という音が断続的に流れており、室内が

妙にグルーヴ感あるな


と、思ったことをよく覚えている。


それから葬儀屋さんを病院で呼んでいただき、とりあえず死亡診断書など書類にサインしたり色々なことを行って病院からの帰り道。


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時間はすっかり午後になっていて、朝から何も食べていないはずなのに、腹は全然減らずにとりあえず食べた駅の立ち食い蕎麦は全然味がしなかったなあ。

ってそのときの精神状態がいかに大きいか、よく分かったような気がした。


それからは父親が住んでいた部屋の後片付け。



変なもんで死んだその瞬間よりも、父が住んでた部屋を片付けてる時が一番悲しかったな。

壁にかかっている新しいカレンダーを見る。年が明け2021年の新しいカレンダーの表紙をめくった時…

マメに自炊をする人だったので、冷蔵庫に入ってるたくさんの食べもの、それをスーパーで買った時…

まさかそれから一ヶ月も経たないうちに死ぬなんて、マジで夢にも思わなかっただろうな、と思って部屋を片付けながら切なくなった。


一寸先は闇、とはいうものの、本当に人の生き死に、この先どうなるのか、分からないものだなあ。


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とりあえず未だに遺影、骨壺と一緒に生活をともにしているわけだけども、法事というかそういうことは分からないし、どうせ面倒くさいと思う人だから、まあ好きな食べ物を供えて、お線香でもあげるだけでも良いんだろう。(と思いたい)

青雲だぞ。テレビでも見たことあるだろ。幸せ青い雲ってやつ。あの歌なんか歌詞見なくたって歌えるけど、生まれて初めて買ったぞ。喜んでくれよな! ホンマにあんたにゃもったいないぐらいの孝行息子やで。



本当ならさ、3束で97円とかの線香にしようかと一瞬思ったけどさ、今までされたことを思ったら。

思えば父親らしいことあんまりしてくれなかったな。小学生のころに離婚してから、それからすぐに蒸発して、子どもとして金が一番かかる時期にまるで居なくて、そのくせこっちが大人になったら、テメエが倒れて半身不随になってからのうのうと連絡をよこしてきて、何やかんやあってこうして後始末をしているオレも相当なもんだけど。我ながら損な役割だと思うわ。

まあ、あれだ。俺の気持ちだから。とりあえず受け取ってくれや。97円のじゃねえぞ。お線香のブランド品だぞ。


これからも見守っていてくれよな。

オレもこの先どうなるか全く分からないけどさ。


とりあえず先に待っていてくれよな。

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