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【名もなき偉人伝】カップラーメンの魔人イチカワ

我がカップラーメンの師匠的な存在(嫌いだけど)



高校のときの担任で現代文を教えていた教師にイチカワ(仮名)という先生がいた。


年齢はあの当時で30を少し超えたぐらいだろうか。


あの当時・・・15、16歳の小僧から見たらずいぶんとオッサンのような気がしたけど本人的にはそれは一番言ってはならないワードで人一倍若さに固執し、何だかピリピリした空気を漂わせていた。

趣味・趣向的にはバブルの世界から飛び出てきたような、そこからずっと引きずっているような感じで、休日はドライブ、テニスを楽しみ、冬は必ずスキーに行くという、恋人はサンタクロースな感じの人でもあった。

だからこそ余計に、おめーらみてえな生意気な高校生からオッサン呼ばわりされたくねーわ!という気持ちが人一倍出ていたんだろうなあ、と今では思う。


そんなバブリーな彼だけども、食事のはオシャレなものを食べていたかというと決してそんなことはなくて、

毎日毎日欠かさずカップラーメンを食べ続けていた


カップラーメンが好きだ、とか、お金が無かったからとか、そういうことでもなかったと思う

基本的に食べることに興味がなかったのだろう

あーめんどくせーなー

という気分丸出しで日々ズルズルと麺をすすっていた。


まあ、テニスとかスキーだとか金がかかる趣味なので、単に食費をそちらに回していたという可能性も捨てきれないけれど、今となっては確認できないし別にどうでもいい。


周囲の教師たちからはいつも「イチカワ先生またカップラーメンですか」「毎日カップラーメンじゃあ体に良くないですよ」などと言われたのは一度や二度ではない。しかし、彼はそういう他の教師から色々と言われることも一種のステータスに感じていたのか、すぐさま自分が担任するクラスの生徒たちに自慢気に言うのである。

あのさぁ、今日も〇〇先生に心配されちゃったよ俺(笑)


・・・みたいな。(くっそウゼえな)



基本的にハードボイルドを気取る男


しかし、基本的には自分自身のことを文学青年というかハードボイルドな人間と信じて疑わないようなフシがあり、彼の基本姿勢は


普段から常に眉間にしわを寄せて

チッ!


と、舌打ちをして世の中のことを全部斜に構えて見ているような、そんなスタンスの教師だった。(とにかくウゼえ)


ちなみに、初めてイチカワ先生を見たときのわたくし。


正直な話、衝撃的だった


それまでの教師は、たとえば中学のころなんかもう家まで押しかけて迎えに来るような、熱血漢というか、目が炎のマークになっていて、

「とくちゃん!!学校は楽しいよな!!!!!だから今日も学校に行こう!!!!!!」


と、プロミネンスのような熱量で来られていたのですね。それに対して


チッ、うっせーんだよクソおやじがよう!!俺が行こうが行くまいがおめえに関係ねえんだよ!!


・・・みたいな態度をついつい取ってしまうわたくし。(お前も変わんねえじゃねーか!)


あ、話が逸れてしまいましたが、


その教師は基本的にやる気がなく無気力

あーめんどくせえ

野郎の相手なんかしてられっかよ


という気配がプンプンしており、だからこそ衝撃を受けてしまったのですね。その落差にクラクラしたというか。


そして、眉間にしわ寄せ、斜に構えたような態度


お前らなあ・・・あんまり俺の手を煩わせるな


というのが彼の口癖であった。


あんまりめんどくせえことになったら、後は分かってるな・・・?


と、暗に内申書的なことを露骨に匂わすところもあったが、女子の相手はそれなりだった。女子テニスの顧問をやっていたからか、いつも女子がイチカワ先生、イチカワ先生と周囲に来るもんだから

やれやれ・・・

お前らは俺が居ないと全然ダメなんだな


・・・と、どこのイケメンがほざいてんだよ、と思わずツッコミたくなるような態度でニチャアと気色悪い笑みを浮かべていた。


そんな中である。


先生は結婚しないんですか?


という質問が彼に飛んだ。それに対して彼が発した言葉


『ボク・・・いや、俺はなあ』


ここ!ここなのである


何故かコイツ、いやいや、この先生は、自分を呼ぶ一人称はオレで統一しており、しかし、絶対こいつボクって呼んでたろ?的な感じでついついそういうナヨナヨ成分が出てくるのを無理やり押さえつけて男らしさを演出していた。


いいか?

よく聞け?

オレはなあ、相手を妥協しないんだよ


まずはなあ、相手の見目麗しいこと

色白で胸は大きく、スタイルよく

頭は賢く、性格は控えめ

俺の三歩後ろを下がって歩くような女


このぐらいじゃないとオレは相手しねえんだよ。



いや、お前は与謝野鉄幹か!


・・・というような女性の好みを挙げた。


恐らく今だったら金属バットとかでボカッ!と殴られても文句言えないようなことを、


どの顔で抜かしとんねん!!


というような顔で、いけしゃあしゃあというのである。

ラードで煮込んだヘチマみたいな顔しやがって。


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卒業前に伝授された彼のすべて・・・


全然好きでも何でもなく、いやむしろ好きか嫌いかでいえば嫌いな方、に完全にカテゴライズされるイチカワ先生だったが、彼から妙に気に入られていたところもあって、

こいつなら俺が今まで得た知識のすべてを伝授できる


そう思われたのかもしれない

カップラーメン的に。


そのイチカワから教えられた美味しいカップラーメンの食べ方を、この場を借りて皆さまにお伝えすると・・・



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1. 絶対に熱湯を使うべし!(※超重要‼)

これはポットではなくヤカンを使ってお湯を沸かせ、と言われた。


2. 食べる前にとにかくよくほぐしてかき回せ‼

3. お湯はカップの線よりも低めで(※重要)

4. 食べる直前に醤油を1まわし

醤油の香りに加えて、アミノ酸たっぷりの旨味、

塩味でカップ麺の味がキリッと引き締まる。

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そしてこのときの醬油は今、売れている風味が劣化しない!フレッシュパック何たらとかいうしゃらくさいのではなく、もう直射日光でもガンガンに浴びた、酸化しまくりのやつで全然良い。キッコーマンの醬油さしに入ってずっと食卓に置いてあったやつとか。

・・・いや、むしろそっちの方が良い。

その方が醤油自身の臭みが増して、ラーメンの風味に負けない強い味になる。


味も旨味よりも渋味が増して、その点でも強い味になって、炒飯の味付けや炒め物などのパンチの効いた味付けに向く。(ような気がする)


そして、カップラーメンの最後の味付けにもこの醤油がピッタリである。



毎日毎日お昼にカップラーメンを食べていたイチカワ先生、今もお元気だろうか。



・・・と、取って付けたような言葉でまとめて終わりにしたいと思います。


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