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理学療法士の市場価値向上へ。なぜ「C-I Baseball」を立ち上げたのか。

いつもC-I Baseball「トレーナーマガジン」をご購読頂きありがとうございます。
C-I Baseballは2020年に活動を開始し、4年が経ちました。
多くの理学療法士、トレーナー、野球関係者の方に共感頂き活動を大きくすることが出来ております。ありがとうございます。

これからもよりC-I Baseballの活動を広げ「野球界の、未来を鍛える」を合言葉にスタッフ、メンバーで尽力して参ります。

今回のnoteでは、C-I Baseball代表の増田がC-I Baseballの立ち上げについて
プロラグビー選手でもあり、ライターでもある青木蘭さんに取材を受け、代表の増田の言葉を記事にして頂きました。

なぜ団体を立ち上げ、活動をしているのか?
そもそも、野球に関わるきっかけはなんだったのか?
代表の増田の思いをぜひ読んでみてください。

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ライタープロフィール
青木 蘭
神奈川県茅ヶ崎市出身。3歳のころ家族の影響でラグビーを始め、中学卒業と同時に地元を離れ島根県の石見智翠館高校に進学。全国大会2連覇、キャプテンとしてMVPを獲得。卒業後は慶應大学総合政策学部に進学。3年時には同大学初の女子ラグビーチームを創設。社会人2年目の9月に退職し、プロラグビー選手に転向。ラグビーを軸にフリーランスでライター、ラグビー教室、IT関連の業務委託、SNS運用代行、登録者数40万人越えYouTuberのマネジメントを経験。2023年鹿児島県と契約し、鹿児島国体代表として活動。女性アスリートの経済的自立支援、心と体の健康で豊かな「ウェルビーイング」な状態を目指すコミュニティオーナー。現在80名が在籍。年間50本以上の記事制作に携わり、2023年12月には花王「サクセス」のCMコピーライトを担当。





 働き方が多様化する現代。終身雇用の崩壊により、人々の働く意欲にも変化が見える。誰の役に立ちたいのか。自分はどんな人生を歩んで行きたいのか。ライフスタイルの変化に応じて柔軟な選択肢が持てる未来を望む声も大きい。そんな中で、病院勤務が当たり前だった理学療法士の働き方に新たな風が吹いている。
「Be a ENJIN.野球界と理学療法士とつなぐ円陣に。未来を変える原動力に。」をビジョンに掲げ、数多くの理学療法士が在籍するC-I Baseball。コミュニティの意義、可能性を秘めている理学療法士の存在価値についてコミュニティ代表の増田さんに話を聞いた。


プロフィール
増田稜輔(ますだ りょうすけ)

三人兄弟の長男として生まれ、野球を始める。2015年に理学療法士の専門学校を卒業後、一般の整形外科に就職。病院勤務で経験を積み、2019年に野球現場を経験したいと病院を退職。都立高校や大学野球のトレーナーとして現場に立ち、2020年コロナ禍で理学療法士と野球界をつなぐコミュニティ「C-I Baseball」lを創設し、50名の理学療法士が在籍している。理学療法士、トレーナー、コミュニティ代表と3つの草鞋を履く。東京都墨田区出身。一児のパパ。

C-I Baseballを立ち上げた経緯


 現場レベルでの知識や技術が習得できる環境づくりと、同じ志を持つ仲間が学び合うことのできる環境を作りたくてコミュニティを立ち上げました。
 2015年に理学療法士の専門学校を卒業し、一般的な整形外科で4年間勤務していました。
来院する患者さんの中にはスポーツ選手もいて、怪我の具合をみる機会も多かったのですが、そのほとんどがすでに状態が悪化していたり、翌日の試合に出れるような状態ではなかったり。ここまで悪化する前にできるアプローチがあったのではないか?と思うことが多々ありました。
また、私には野球をしている弟たちがいて、彼らも同様に練習中の怪我に見舞われる機会があります。もっとスキルを身につけ、未然に怪我を予防できるように彼らを支えたいと思い、整形外科を辞めて野球現場に出ることを決意しました。
 病院勤務の時とは違い、ベット上での治療よりもグラウンド上での身体的なチェックから入ることがほとんどになります。野球で多いのが肩や腰の痛み、打撲や肉離れなどの治療ですが、その他にもパフォーマンスアップのためのトレーニング法やエクササイズなども求められるようになりました。
当時の私は、現場の経験も知識もなかったので手探りで情報を収集したり、人脈を通じて現場にいく機会を増やしていましたね。もっと自分が学ぶためにも、いろんな人を巻き込んでしまおうと考えて2020年に作ったのがこのC-I Baseballです。

理学療法士の市場価値とは


 理学療法士という職業を聞くと、どんなイメージをもたれますか?多くの方は、病院でリハビリを指導しているイメージだと思います。理学療法士は、基本動作能力の回復や維持、障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法を用いて改善を促す役目を担っており、この知識はスポーツの現場でも活用できます。しかし現状として、スポーツ界における理学療法士の価値がとても低いと感じています。働き口がすごく少ないんですよね。
 チームが勝つための技術的指導やフィジカル面をサポートするストレングスに重点を置くことが多く、予防や怪我のリハビリへの投資に目が向かない現状があります。そうなると、理学療法士が現場に立つにしても、ボランティア同然の扱いを受け、現場に立つことを断念する人も出ます。
 だからこそ理学療法士としてリハビリも、パフォーマンスアップにも貢献できるマルチさが今後市場価値の高い人材として重宝されるのではと考えています。私の目指している世界は、理学療法士の市場価値を高め、現場レベルから選手を守ることのできる人を一人でも多く輩出することです。

チームや選手たちの反応


 理学療法士でもトレーニングが見れるんですねって、驚きの声が多かったです。
 私たちは、いい意味でも悪い意味でも動作を細かく見ます。トレーニングを見るにしても、走り込みやウエイト一つとっても体の基本的な動作から積み上げ形式で指導をしていきます。関節の動きから整え、筋肉が正しく使えるように骨との連動性を高めていく。無理な動作をしなくとも、自分の本来もつ機能を高めることで効率的に出力するよう導くので、そのアプローチがコーチも選手も新鮮なようです。
 また、「なぜこのトレーニングが必要なのか」を理学療法的な視点から構造を説明するため、選手たちもプレー中の動作とトレーニングが結びつき、高い視座を持って取り組む姿勢にも繋がっています。


保守的だった理学療法士から、コミュニティオーナーへ

・経済的な不安、経験値への不安をどう乗り越えたか

「今は全てが経験だ」と割り切る勇気を持つことと、自分のスキルを活かす場を複数作ることを意識しました。どうしても経済的な不安が大きくなると、今置かれている環境から一歩踏み出すことって難しいですよね。でも視点を変えると、病院勤務以外で収入が得られる柱をいくつ作れるかを考えることが大事だと思います。例えば私の場合、資格を生かしたセミナー講師をしたり、国家試験の経験を生かして国家試験の対策塾講師をしたり。自分の今持っている能力が、誰のどんな役に立つのかを考えると意外に結構仕事ってあるんですよね。
 経済的な不安を抱えた経験があるからこそ、セミナー講師を依頼したり、noteの記事を更新してもらうことで報酬を渡したりと、C-I Baseballの中で仕事が回るように活動しています。

 お金を稼ぐために自分は何をすべきかを考え、行動しているメンバーは早く収入を獲得できていますし、その主体的な姿勢が不安を解消する唯一の改善策なのではないかなと思います。

・コミュニティが与える影響とは


 現在25〜30歳の50名ほどのメンバーが在籍しています。中には女性で野球現場に出たい、女子野球や女子アスリートを支えたいと強い思いを持って参加してくれている方もいて、女性目線での視点を学ぶことができます。
 立ち上げて4年が経ちましたが、理学療法士の人生を変えるコミュニティになっているなと強く感じています。メンバー間の繋がりや情報交換が活発的に行われているので、お互いの病院の情報を交換し転職したメンバーもいます。働き方もですが、働く環境を変えるきっかけにもなっていることが予想もしていなかった出来事です。
 またコミュニティの代表として外部組織の前でセミナーをする機会があったり、チームに派遣したりと仕事の幅が増えていることも事実ですね。そういった意味で、このコミュニティは「理学療法士としての生き方の幅を広げる環境」になり、幸福度の高い理学療法士が集う場なんじゃないかなと思います。

・理学療法士だからできること


 私は三人兄弟の長男で、兄弟みんなで野球をやっていました。小学生の時に父が病で倒れ、母が働きに出ることになりました。父は病気になったことで性格も変わり、すごく弱々しく小さく見え、それまでの父親像が一変したのと同時に、家族が崩壊している状態になって。みんなそれぞれバラバラっていう感じでしたね。私も当時は思春期だったこともあり、家に帰らず親に心配かけるみたいなこともありました。
 そんなある時、次男と三男が野球が上手くて、家族みんなで高校野球の応援に行きました。その試合、弟が大活躍をしてくれて、家族みんなスタンドで大喜びしたんです。それから次の試合もその次も、みんなで応援をしに行くうちに、バラバラだった家族がまた一つになっていきました。今では本当に仲が良くて、定期的にみんなで集まっています。
 この出来事から、選手一人がグラウンドで輝くことは、その先にいる家族やファンなど、何十人もの人生にプラスの影響を与えるものなんだと感じました。
もし私の弟がケガで試合に出れなかったとしたら、今の私たち家族の在り方ではなかったかもしれません。だからこそ、目の前にいる選手に最善を尽くすこと、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう支えることは、私たち理学療法士の使命であり最高の仕事だと心から思うんです。

 自分たちの仕事が与える影響の先にある未来が、こんなにも素晴らしいものだということをもっと多くの理学療法士の方達に実感してもらいたいです。可能性は無限大にあることを伝え、C-I Baseballの輪を広げて行きたいなと考えています。

ライター 青木蘭

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