最高の幸せ

 少年はいつでも自由に幸せを感じたかった。でもそれができないからとりあえず学校に行った。博士はいつでも自由に幸せを感じたかった。でもそれができないからとりあえずロボットを開発した。歌手はいつでも自由に幸せを感じたかった。でもそれができないからとりあえず歌を歌った。医者はいつでも自由に幸せを感じたかった。でもそれができないからとりあえず患者を治した。サッカー選手はいつでも自由に幸せを感じたかった。でもそれができないからワールドカップで得点を決めた。王はいつでも自由に幸せを感じたかった。でもそれができないから戦争を始めた。少女はいつでも自由に幸せを感じたかった。でもそれができないから神に祈りを捧げた。

 ある超越者はすべての者に幸せになってほしかった。すべての者に最高に幸せになってほしかった。だからすべての者に考えられる上で最高の幸せを与えた。

 すべての者は考えられる上で最高に幸せになった。全く同じく最高に幸せになった。すべての者の人生は全く同じ最高に幸せな人生になった。

「どうせ全く同じものなのだから、こんなにたくさんはいらないだろう」 

 超越者は適当に選んだ一つを残して他のすべてを消し去った。

 残った一つだけは最高に幸せだった。

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