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【コロナ禍で約9割のイベントが中止になった、スポーツイベント企画運営会社の”反転攻勢”記録(2020年3~7月)】

「スポーツ×地域活性化」「スポーツツーリズムで地方誘客」の事業をやってます、ルーツ・スポーツ・ジャパン代表の中島祥元(なかしまよしもと)と申します。
*自己紹介記事はこちら。

主に自転車(サイクリング)やランニングなど、道路を使う「ロード・スポーツ」を活用して、日本各地の地方誘客や地域振興をするということを事業として展開してます。スポーツと観光を掛け合わせた「スポーツツーリズム」という言葉がありますがその領域です

事業を細かく分類すると、「リアル・スポーツイベント(自転車・ランニング)の主催・企画運営」、「スマホアプリの企画開発・運用」、「人材育成事業(サイクリングガイド養成)」、「調査研究・マーケティング支援」等に分けられますが、これまで割合としては「リアルイベント」が大半を占める業容でした。

そしてご存じの通り、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年2月の「東京マラソン中止」以降多くのリアルイベントが開催できない状況となりました。当然のことながら、弊社としても「大打撃」を受けています。

2009年に起業して今年で12年目、世界中の多くの経営者がそうであるように、自分にとってもこれは「過去最大の危機」と表現して差し支えない状況。そこからもう既に約半年が経ちましたが、この半年間何を考え、どう行動し、どうやって危機を乗り越えようとしてきたか?まだまだ予断を許さない情勢が続きますが、2020年8月時点での「記録」として書いていこうと思います。

コロナ禍を受けてそれを乗り越えていく「反転攻勢記録」。自分自身の記録的な意味合いが強いけど、もし少しでも他の誰かの役に立てたら嬉しいです。

1.中止になった「イベント事業」

まず今年の3-7月の5ヶ月間で、我々が手がける予定であったリアルイベントの一覧がこちら。

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ざっと書いてみて5か月で13件。うち「バーチャルランへの切り替え」が1件、「延期」が2件、「中止」が9件。また秋以降で既に中止が決定しているものも多く、今年1年間は大勢が集まる「リアルイベント」は難しい状況が続く可能性が高いと考えられます(ただし後述もしますが、感染対策を施した上で開催するイベントもあります)。

1年間でおそらく20~30程度、割合にして約8~9割のイベントが中止または延期・オンラインへの切り替えとなりそうで、(さすがに詳しくは書けませんが)イベント1件あたり数百万円×20~30件、程度の売上がふっとんでいる計算となります。

2.3月末に、起業12年で最大の「恐怖」がやってきた

3月の中旬頃まではまだ「なんとか開催していきたい」という気持ちが強く、世間は既に「東京マラソンの中止」を受けてスポーツイベントも中止ムードが拡がっていたけれど、僕らは「それでも、出来る形でイベントを開催していくことが自分たちの役割だ」と考え必死に抗っていました(今でも基本的な考えは変わりませんが)。

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こんな形であえて「開催宣言」というメッセージを出したりしました(縦読みで「私達は屈しない」と読める仕掛け・・)。しかし結果的には3月の末には一都三県の知事から「外出自粛要請」が出されることとなり、さすがにイベント開催を断念せざるを得ない状況に。「新型コロナに屈する」ことになってしまったのです。

忘れもしない、このイベント「袖ケ浦チャレンジ(千葉県のサーキットで開催する自転車レース)」の開催中止を決めWEBサイトに発表した3月27日、既にリモート体制に移行していて事務所には自分一人という状況。他のメンバーが遠隔でWEB更新してくれているのを画面で見ながら、僕は気づいたら一人で涙を流していました。悔しくて。

そして奇しくも同日、バスケットボールBリーグの「今シーズン全試合中止」が発表され、そのニュースを見たときには悔しさではなく今度は強い「恐怖」が襲ってきました。今まで味わったことがほとんどない「ヤバい」感覚。

BとJはなんとか開催してくれるんじゃないかと思っていたこともあり、その報せを受け(Bリーグ大河前チェアマンの苦渋の表情での発表を見て)「もしかして今後しばらく、スポーツ事業なんてやっていけないのか・・・?」という恐怖と不安・絶望に近い感情が急に襲ってきた。その後すぐに回復するコトが出来たけど、あの日の「数時間」は会社を始めてもっともメンタルが落ち込んだヤバい時間でした。何かよくわからないものに押しつぶされそうで、一人でいるのも怖くなり妻に電話したら「あなたの心が折れさえしなければ、絶対大丈夫」と言ってくれたのを覚えています。

3.どう行動したのか?(守り)

一時的に強い恐怖を覚え落ち込みもしたけれど、それでも根本的には「絶対大丈夫だ」という強い確信のようなものは常にありました。僕らが信じている「スポーツ」がこの世からなくなることはない。「観戦型」のスポーツ興業もそうだし、僕らがやっている「DOスポーツ」の領域だって同じ。ウィズコロナの世界では「スポーツコンテンツの提供の仕方」は変わるだろうけど、「スポーツの本質的な価値」は何も変わらないはずだと。

とはいえ「会社」としてはまず「存続」しなければ肝心の事業が継続できない。自分の中で「守り」と「攻め」に意識を分け、取るべき行動を整理しました。

我々中小ベンチャーにとって「守り」とはつまり「資金繰り」に他なりません。すぐに会社の財務状況を確認したところ、どうやら今後「売上ゼロ」という状況がしばらく続いても、少なくとも年内いっぱいくらいまでは耐えられそうなコトが分かった。給与を払えなくなるということもない。前年までに金融機関との付き合いで融資を多少増やしていたことと、これまでの内部留保があったことが救いでした。

すぐに全社員を集めて(このとき既に全員フルリモートなのでzoomで)説明をしました。「今年のイベントが全部中止になったとしても、とりあえずは大丈夫。給料が払えなくなるとか、みんなを路頭に迷わせることはないのでその点は安心してほしい。ただし半年後に新たな売上方法を確保できていなかったらこれはマズイ。この半年間で“新たな収益源”となる手法の確立と、新規の獲得に動こう」と。

そして自分はまずは「守り」を最優先することを宣言し、直近の「攻め」のハンドリングはマネジメントメンバーに委ねました。幸いなことに金融機関からは新たな融資も受けることが出来、直近の「守り」作業はとりあえず完了(政府の支援するコロナ対策融資)。

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↑3月頃に社内説明で使ったもの。このスライドだけみると、なんか「精神論」っぽいな。笑

4.どう行動したのか?(「攻め」その①-既存事業のウィズコロナ最適化-)

「攻め」文脈での一つ目の作業は「既存事業のウィズコロナ最適化」の検討。ここでの既存事業とは主に「イベント」や「ツアー」など、「リアル」に開催するモノを指します。

3、4月の段階ではまだ今後の政府などのイベント開催基準がどうなるかまったく分からない状況だったので、どういう基準になってもすぐに再開ができるように、様々なシチュエーションを想定して、あらゆる観点から「リアルイベント再開」の準備を行いました

「3密全てを避けるパターン」、「2密までならOKという空気感のパターン」etc、等細かく複数のシチュエーションに分類。それぞれのパターンで各セクション(運営、設営、エントリー、受付、スタッフィング、ステージ進行、演出、広報・・etc)が取るべき対応を協議し、一覧表にして可視化していきました。

↓ちなみに「リアルイベント」は、いよいよ8月末にはコロナ禍を経て始めて開催することができそうです。この時に組み立てたシミュレーションを元に、さらに案件に最適化した体制で臨みます。

5.どう行動したのか?(「攻め」その②-リアルイベント以外の新規営業-)

そして同時に考えたのが「リアルイベント以外」の形で新たな事業を作れないかということ。弊社の主要事業は自転車(サイクリング)やランニングなど、道路を使う「ロード・スポーツ」を活用して、日本各地の地方誘客や地域振興に寄与することだけど、「リアルイベント」はあくまでもそのためのツールのうちの一つに過ぎない

幸いにも数年前から着手していた「スマホアプリ事業」が、このコロナ禍においては事業として「世間の役に立てる」のではないかと考えました。今は一度に大勢の人が集まるイベント事業は実施しにくいけれど、僕たちの連携先である自治体や地方の皆さんは「それでも多くの方に、わが地域を訪れて欲しい」と考えていた。

そして僕たちのサイクリング専用アプリ「ツール・ド」を使えば、コロナの状況下でも、個人あるいは少人数で「サイクルツーリズム(サイクリングと観光を組み合わせたもの)」を楽しんでもらうことができる。

また僕たちにとっても、地域にとっても大切なお客さんである「サイクリスト(自転車愛好家)」の皆さんも、リアルイベントが軒並み中止になる中で「新たな目標」を探しており、イベントに変わる新しいカタチで「地域とサイクリストの幸せなマッチング」を生み出せるのではないかと考えました。

これらの発想もあり、一つ大きな形になったのが「サイクルボール-日本7大一周制覇の旅-」という企画です。日本中にある「7つの一周サイクリングコース」をアプリでつないだ期間型キャンペーンイベントで、業界内では比較的大きめの話題となり、またサイクリストの皆さんにも概ね好意的に捉えていただきました。

ちなみに「これらの発想もあり」としたのは、この企画自体は実は昨年から準備していたものだからです。「コロナ禍だから」企画したものではないけれど、結果的にウィズコロナの状況に適した内容として世に出せたことで、当初予定よりも多くの地域で導入を決めていただきました。またこの「サイクルボール」には入っていないけれど、独自にこのアプリを導入してくれているという地域もかなり多くなっています。

会社としては、中止が続く「イベント」にかわる新たな収益源となってくれました。今後も改修、機能追加を進めて、イベントが開催できる状況になっても「通年的なサイクリング機会の創出ツール」として事業を拡げていくつもりです。
↓観光経済新聞に掲載された記事(2020年7月25日)。

200725 観光経済新聞

6.どう行動したのか?(「攻め」その③-未来ヘ向かうための、さらなる新規事業開発-)

「攻め」の取り組みのもうひとつは「さらなる新規事業へのチャレンジ」です。「スマホアプリ事業」はリアルイベントに比較すると新しいものではあるけれど、これはあくまでも昨年時点で既に準備していたものがようやく形になってきたということ。

もっといえば「攻め」も「守り」も、これまでに準備してきたことが功を奏して、現在の自分たちを助け、前に進んでいくための原動力となっている。であるならば、今この瞬間から「さらに前へ」進むために、さらなる未来を創るための、新規事業開発の必要性を感じました

5月には社内で「新規事業企画コンペ」を行い、その中からひとつ、会社として全く新しい事業企画への着手を決めました。そしてまたこれ以外にも、新しいアイデアや取り組みのきっかけというものは色んなところから生まれ出てくるモノで、現在複数の「新規事業」の仕込みにはいっています。

今年中に世に出せるものもあれば、おそらく来年以降になるものもあるけれど、僕たちがやるからには全て「スポーツツーリズムでの地域活性化」関連。もちろん。これまで集中的に行ってきた「自転車・サイクリング」の深堀りもあれば、自転車以外のDOスポーツ領域へ「拡張」したものも含め、チャレンジを続けていきます。

7.「ウィズコロナ」での戦いは、まだまだ続いていく

さてここまで、ここ数ヶ月のことをざ~っと書いてきましたが(もちろんこれが全てではなくかなり抜粋してますが)、まだまだ「ウィズコロナ」の戦いは続いていきます。むしろここから本格化していくといってもよいでしょう。しかし僕らがやるべきコトは基本変わらない。

「スポーツ」の力を心から信頼して、あとはそれを「時代」や「情勢」に合わせて最適にカスタマイズして、人に喜んでもらえる「サービス」として世に出していくだけです。もちろん様々な困難が待ち受けているかもしれないけれど、一歩一歩積み重ねて「出来ることを、出来る形で」やっていきたいと思います。

またこのコロナ禍を受けて、僕たちの領域(屋外で行うDOスポーツ全般やスポーツツーリズム)にとっては「追い風」も吹いているのを感じています。「屋外」でのスポーツ活動は基本的には密になりにくくウィズコロナに適しているし、アウトドアや自然回帰の流れもある。そして遠方ではなく近隣地を旅行する「マイクロツーリズム」においては、従来型の「みて回る観光」ではなく「体験型観光」のニーズが高まるとされていて、その文脈でもスポーツコンテンツが社会に求められる蓋然性を感じる。そういった「チャンス」ももちろん活かすべく、具体的に行動していきます。

8.終わりに

最後に。このnoteでもいくつかの具体的な事業を書きましたが、僕自身が中心になって、アイデアベースから生み出し、形にする役を担っているモノは実はほとんどありません。

今の自分の役割は「大きな方向性を示すこと」と、メンバーが戦えるための適切な「ステージ」や「環境」や「(会社としての)ステータス」を整備・準備すること。そしてみんなから上がってくる企画や提案をジャッジして「やるかやらないか」の意思決定をすること。これからチャレンジする事業についてもそう。

ここまで、具体的・実際的な事業に落とし込んでくれている会社のメンバーをとても誇りに思うし、今後もみんなが積極的にチャレンジしていける組織でありたいと思います。また同時に「スポーツツーリズムでニッポンを元気にしていく」この言葉に気持ちを込めて共に戦える「新しい仲間」を常に迎え入れていきたいと考えています。今後具体的な求人案内なども出していくと思うので、もし興味を持っていただける方がいたら是非チェックしてみてください。

本日はここまでです。「反転攻勢記録」また折を見て続きを書いてみます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

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㈱ルーツ・スポーツ・ジャパン代表/DOスポーツイベント・ツーリズム・スマホアプリ事業/スポーツ✖地域振興の思考を発信 起業12年目←学生ベンチャー←早稲田スポ科 ツールドニッポン主催/スポーツ庁スポーツツーリズム委員/スポーツ白書執筆/とやまふるさと大使/富山グラウジーズ応援

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