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【2022年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトの今と academist の振り返り

毎年恒例ということで、世界の学術系クラウドファンディングサイトTop5を紹介しようとしたのですが、今年は Experiment 以外のサービスで大きな動きが見られませんでしたので、8年目となる今回は Experiment と academist に絞って紹介します。

第1位:Experiment@アメリカ(2,604プロジェクト:前年+159件)

今年 Experiment では、流通総額が累計10,000,000ドルを突破(祝!)し、プロジェクト数も1年間で159件増加しました。

そのなかでも昨年スタートした FootPrint Coalition Science Engine (=Robert Downey Jr.が7つの研究領域にそれぞれ50,000ドルの研究費を準備。関心のある研究者がExperiment にチャレンジし、集めた金額と同じ金額の研究費(最大5,000ドル)を受け取れるプロジェクト)経由で、40件の新規プロジェクトが公開されました。公開時は5つの研究領域に限定していたのですが、運営するなかで若干のアップデートがあったようです。継続的にチャレンジを募集しているので、ご関心のある方はチャレンジを検討してみてはいかがでしょうか。

プロジェクト数が順調に伸びている一方で、USの学術系クラウドファンディングでは、日本に比べるとSNSの利用頻度が低いこともあり、Friend Funding(=支援者数のうちの大半が知り合い)の側面が強いように感じます。研究者とサポーターをどのようにつないでいくのか。academist を含め学術系クラウドファンディングの拡大に長年立ちはだかっている課題です。

Experimentの各種データはサイト上に公開されています。

第2位:academist@日本(259プロジェクト:前年+36件)

academist は2022年に36件のプロジェクト(スポット支援型:19件、月額支援型:17件)を公開しました。

独立系研究者・田野井博之さんのプロジェクト。たくさんの人からの応援を受けて目標金額を大きく超える200万円が集まりました。

1. 研究者 × academist

academist Prize 第2期では、12件のプロジェクトが始動しました(企画の狙いはこちら)。2期生たちはこれまでに、マイルストーン賞イベントで60秒ピッチを実施したり、Spaceで互いの研究紹介をしたり、academist 研究者コミュニティで意見交換したりなど、分野や世代、大学を超えたコミュニケー
ションを進めています。

一方で、academist 研究者コミュニティを盛り上げる方法は現在進行形で試行錯誤中です。DAOとして運営できるとベストですが、具体的な方法に落とし込むところまではまだできていません。ハイブリッド型の新しい大学像・研究機関像につながるトピックですので、関心のある方々とディスカッション&実践していきます。(運営にご関心のある方はぜひご連絡ください!)

academist Prize 第2期のマイルストーンイベントは、2023年は2月、5月、8月にも開催予定ですので、ぜひご参加ください!

2022年12月14日(水)に開催したacademist Prize マイルストーン賞イベントの様子(詳細

2. 大学・研究機関 × academist

大学・研究機関とのパートナーシップも少しずつ進んでおり、今年は京大特設サイトを公開しました。

特設サイトの目的は、大学の「今」を可視化することです。大学の理念が何なのか、理念を体現する研究者はどのような人たちで何をしているのか等を可視化することによって、大学や研究者のファンを増やし、研究資金や共同研究先、人材等の研究リソースの循環を生み出したいと考えています。

10兆円ファンドで要求される「新しい大学像」との親和性も高いはずです。協働にご関心のある方は、お気軽にご連絡ください!

大学・研究機関側の要望をヒアリングしつつアップデートを繰り返します。

3. 企業 × academist

また今年は、グローバルで研究支援事業を展開するカクタス・コミュニケーションズさんとの連携もはじまりました。アカデミストのVisionである「開かれた学術業界 - Open academia」は一社だけではなく、研究者、サポーター、企業、財団、自治体、国など多様なステークホルダーとの協働があり、はじめて実現し得るものです。

academist Prize 第2期のスポンサー企業さんやカクタスさんと共に、Open academia の世界観を広げていきたいと思います。


これはさまざまなところで話していることですが、学術系クラウドファンディングの本質は、資金集めではなく仲間集めにあります。アカデミストでは2023年も、研究者 × academist、大学・研究機関 × academist、企業 × academist の協働を通じて研究者とステークホルダーをつなぐことで、新しい価値創出を目指していきます。academist のサービスも継続的にアップデートしていきますので、ひきつづきご注目いただけると幸いです。

来年もどうぞよろしくお願いいたします!

過去の記事

【2021年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトランキングTop5
【2020年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトランキング Top5
【2019年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトTop5 – academistのランキングが急上昇?!
【2018年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトTop 5 – 今年はインドが熱い!
【2017年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトTop 5
【2016年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトTOP5!
【2015年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトTOP5!
【2015年版】世界の大学特化型クラウドファンディングサイトTOP5!

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