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【私の好きな本】新田次郎さん4作品

年末休みで大阪の実家に帰省中です。めちゃくちゃ寒いですね。昨日はFBで組織がオーバーフローした時に考えてきたことの記事をシェアしたら、40回くらいシェアしてもらっていて少しでも読んで頂いて嬉しいなと思っています。自分が苦戦していた2年目の頃、遠くの先輩が書いた社内マニュアルを読んで「会社のどこかにこんな後輩思いの人がいるなら自分も頑張ろう」と思えたので、自分の書いたnoteも何処かで苦戦している若手社員の誰か1人に届けばと思って書いています。

さて、今日は冬休みらしく書籍紹介です。まずは新田次郎さん。新田次郎さんの小説は単なる山岳小説でなく、生死を分けるリーダーシップとか志とか生き方を考える意味でもめっちゃ奥深いので普段ビジネス本しか読まない方にもすごくオススメします。司馬遼太郎さんや山崎豊子さんと同様、ビジネスリーダーにも愛読者は多いですよ。

1.八甲田山死の彷徨

明治時代の日露戦争前夜に、青森〜弘前の主要交通路が閉鎖されることを想定して八甲田山系の縦走を指示された二人の大尉と二つの連隊(10数名の少数精鋭部隊と150名からなる大部隊)の明暗の話。レビューの中に「ビジネススクールの題材でおなじみ」とも書かれているように、リーダーシップやチームビルディングに関する示唆に富んだ本です。映画化もされた名作です。

結論はめちゃ有名なのでネタバレで言うと、神田大尉率いる150名の大規模部隊ではオブザーブで着いてきたリーダーの上官(山田少佐)が途中から現場を指示しだして大混乱を起こして1人を残して全員凍死した一方で、徳島大尉率いる自主志願の少数精鋭部隊は無傷で踏破したというものでした。「指揮命令系統の複雑さが、大部隊を混乱させて全滅させることもある」、「少数チームで細かく軌道修正しながら進むほうが状況変化に適応できる」というような自分の組織観の原点になっている話です。上官に対して「自分の決めたことには一切口出しをしないでほしい」と伝えた徳島大尉の言葉も印象的でした。Amazonレビューだけ読んでも参考になるので是非どうぞ。

2.孤高の人

新田次郎の代表作。漫画化されたものを読まれた方もいるかもしれませんね。明治時代には珍しかった単独行を専門とした加藤文太郎が、ただひたすらに試行錯誤を重ねながら前人未到の単独登山を重ねていくストーリー。テーマを敢えて抽象化して言えば「誰もついてこれない中で一人で歩き続けるハイパフォーマーの孤独さ」というような感じでしょうか。山の気象の描写が素晴らしいと感じました。自分も登山は一人で行くのですが、少し加藤文太郎への憧れの部分もあったりします。

3.アラスカ物語

静岡時代のボスに勧められて読んだ本。山岳小説ではないのですが、明治時代に石巻からカリフォルニアに渡り、そこからアラスカに渡って地元部族の酋長になったフランク安田の生涯の話です。100年以上前から、既に世界の海を股にかけて活躍していた多数の日本人がいたこと、そして遥かアラスカの地で先住民から尊敬を得て酋長としての生涯を送ったフランク安田のような人物がいたことは、「グローバルリーダーはかくあるべき」というような頭でっかちになりかけていた自分の頭をガーンと打たれるような想いだったのでした。「理屈は良いから、大きく行動して大きく生きろ」と言われているような読後感でした。

4.小説に書けなかった自伝

新田次郎ほどの作家でも、サラリーマン(気象庁職員)としての出世争いだとか、小説の出来不出来だとか編集者・読者の反応に一喜一憂して様々な葛藤を抱えながら作品を書き続けたということがよくわかる自伝です。自分の弱さを赤裸々に語れることは、強さでもありますね。いろいろな人の自伝を読むのは結構好きなのですが、「根っからの強さ」とか「悩みのないリーダーシップ」なんていうのは幻想なのかもしれないなと思えます。

後、会社員としての定年を作家としてのキャリアの通過点として淡々と記しているところは昭和のサラリーマンとしては珍しいように感じました。元祖・ライフシフトという感じです。新田次郎ほどの書き手が悩んでいたなら、自分だって悩むのは当たり前という気持ちになります。悩んでだけいないで、手応えがなくともアクションし続けることが大事とも言えるかもしれません。ちなみに自分もこのnoteを書いてて手応えはあんまりないのですが、誰か一人でも読んで「そうか」と思ってくれる人がいればと思いながら書いています。(だから、リアクションあるとめちゃ嬉しいのですよ。無理には求めませんが。)

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