その場しのぎでイケてるつもりだった社会人3年目
あっという間の梅雨明けで、暑い日曜です。子供達は夏休みですね。
今日は少し前に書いた記事の再構成です。普段後輩を見ながら自分の昔はどうだったかなと思い返すことが多いので、3年目の頃の自分について振り返り。実務面では軌道に乗りつつも、新しくオンされる仕事を放置したり失敗を誤魔化したりして自分をあまり客観視できず、失敗を忘れ続けていたなぁという苦い思い出についてです。
1.3年目の頃の自分
新人〜2年目くらいの頃の自分は以前にも書いたように、「人間関係作りを軸に仕事をしようとしてしまっていた」ので、仕事上では小さなミスをよくしてしまっていました。
とにかく仕事が回っていないので場当たり的な仕事になりがちで、ミスを指摘されたら最速で対処して事なきを得ているつもり、というような。3年目になると実務では積み重ねができてきますが、新しくオンされる取りまとめ等の仕事はそれぞれが初見でまたミスをすることの繰り返しでした。
一方で、メンバーからは実務でそれなりに頼られていて、自己肯定感も大きくなってくる頃だったので上司や先輩に指摘されることがあってもあまり素直に受け止められていなかったように思います。正直言って「その場の反省顔」は上手くなっていたけれど仕事の改善まではあまりできていなかったなぁと。
あの頃の自分を思い出すと、ミスとか対応の遅れを指摘されたその一瞬は本当に反省しているのですが、次の仕事に追われて苦い気持はすぐに忘れてしまっていたように思います。忘れるので、自分はそれなりに出来てると思ってしまっていますし、そこそこ経験値も積んで立場もあるのであまり怒られなくなってくるのが3年目くらいのイメージでしょうか。今振り返ってももっと振り返って改善していけよと苦々しく思います。
2.世田谷公民館での大失敗
そんな当時の自分が「今の惨めな気持ちを絶対に忘れない、ミスを流さずに絶対に記録して改善していこう」と思ったきっかけの出来事が3年目の社外勉強会での大失敗でした。世田谷区の公民館で一般向け講習(数十名)の講師をすることになったのですが自転車操業の準備不足のまま臨んでしまい、本番で突然細かい法律についての質問(一般法と特別法の関係について)を客席から聞かれて全く答えられずフリーズしてしまったのでした。
シーンとなった後にガヤガヤし始める公民館のホール(小学校の体育館くらいはあるイメージ)、頭が真っ白の自分。そして冷や汗。舞台袖から先輩が飛び出してきて「残りの質問はこちらまで」と電話番号を伝えて下さってなんとかその場は収めて下さったものの、一斉に電話番号をメモする観客席の雰囲気がまるごと「こいつは信用できない」と言われているようで、恥ずかしいやら情けないやらでした。当然プライドはずたずたで、相当落ち込んだのでした。
当時のミスの原因は、「自分の準備不足」の一言に尽きます。3年目で中途半端に経験も立場もできて、「自然体でだいたい話せる」という根拠のない自信があったために未経験分野の説明ができないことに本番まで気づかなかったのでした。予行演習すらやっていなかったことは今考えても顔から火が出る思いです。傷ついたままその日の会社帰りに書店で法学部生向けの解説書を買って、二子玉川のマクドナルドで砂を噛む思いで深夜まで書き込みをしながら当該箇所の解釈について頭に叩き込んだのでした。深夜のマクドナルドで自分が曖昧だった知識について頭の中がクリアになった時にようやく、安心したような情けないような、自分の無知を今頃思い知って恥ずかしいような複雑な思いで涙が出そうになったのでした。(自分は工学部出身で、法律知識にはすごくムラがあったのでした。)
その日の学びとして心に強く残ったのははなぜかプレゼン事前準備そのものよりも、「反省は行動に移してなんぼなんだな、いつも自分はあらゆる失敗を受け流してきて全然改善してこなかったんだな」ということでした。少しずつ手応えのある仕事ができてきた一方で、日毎の小さなミスを自分がその場しのぎで誤魔化してきたことを直視できていなかったのだと思います。それ以降は何か失敗があれば悔しい「反省」の気持ちをそのまま日記に記録すると共に、失敗事項に関連する書籍を購入して詠んだり、「次からこうする」を決めて上司に報告したりと、「振り返りとすぐのアクション」を何かしらするようにしています。
3.当時の自分に声を掛けるとすれば
今、3年目の頃の自分に声をかけるとするならば、「反省していたら許してもらえることも多いし、とにかく仕事に追われて振り返るヒマもないとは思うけれど、そこで思考停止したらあかんのよ」、「忘れないように『生の記録』と『行動変化』をセットでしていくことで、自分の仕事の精度はどんどん上がって行くんやよ」ということです。あの頃の自分からすれば今自分が若手の指導なんてよくやっているなと思うのですが、上記のような苦い思い出と反省を踏まえて、少しでも中身の濃い時間を過ごしてもらいたいという気持ちで伝えています。
自分もそのうち、説教くさいおじさんになっていくと思うので自分を客観視する意味でも少し書き残しました。書いたことは、あまり喋らないようにするので後輩達はまた読んでおいてくれたら嬉しいなーと思います。おしまい。
※本の紹介
◆不法行為法ー民法を学ぶ 窪田充見氏:3年目当時、半泣きで勉強した本(2018年に改訂されています)。コラムが結構面白く、不法行為の概念だけでなく「宇奈月温泉事件」など弁護士の先生方なら必ず知っている判例(最初に習う判例だそうです)など、この本で得た知識は今でも非常に役立っています。
※企業不祥事から個人のミスまで、科学的なアプローチをされている著者の本です。