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「個人力」を学べる場所


お笑い芸人さんはよく言う。

「事務所所属と言っても固定給ではないから実質個人事業」

だからこそ同じ事務所に所属していても、常に週刊誌に狙われる人から、何をやっても世間に知られることのない無名の人まで存在するくらい、実力主義の世界。

役者さんやタレントさんも似たようなものかもしれないが、僕が常々不思議に思うのは、

一つの仕事(番組)を成立させるのに、一つの会社所属の出演者だけにはしていないこと。

一般的な会社では、基本的には一つの会社の中で仕事を成立させる。

他所に仕事を委託することがあっても、系列の会社や傘下、買収を見込んでいる所など、言わば「同系列」であることが多い。

お笑い事務所はそれぞれが同業他社であって、一般社会で言う同業他社は、一緒に仕事をすることのない「他社」だ。

それが、芸能事務所の場合はタッグを組んで一つの番組を成立させているのだ。

(テレビを製作するにあたって、テレビ局、またはそれにも属さないスタッフさんも協力しているのだろうけど、そこまで裾野を広げると収拾がつかないので、今回はあくまでも出演者に絞ってみる。)


この番組は、8名が1チームになり、2つのチームから代表を1人ずつ選出し、対決し合う。

出演者は、MC1名、チームリーダー2名、対決要員16名の、計19名。

番組のMCを務めるのは、吉本から個人事務所に移った人。

そしてチームリーダーは太田プロダクション(以下太田)と人力舎。

太田チームは、人力舎(サブリーダー)、吉本、吉本、松竹(今月末で退所)、太田、タイタン、吉本、吉本。

人力舎チームは、人力舎(サブリーダー)、吉本、浅井企画、吉本、吉本、吉本、マセキ、マセキ。

吉本所属が多いが、そもそも芸人の数が多い事務所なので順当だとしても、個人を含めて8社にも分かれた芸人さんたちが一堂に会している。

一般社会ではなかなか見ない構図だ。

それでも皆が協力したりあえて悪く言ったり、盛り上がりを見せながら番組はまとまっている。

「どこの会社の人か」を物差しにせず、シンプルに良い仕事をしてくれそうな人を優先して集めている印象だ。

MCの人が、吉本に所属をしながらも他の事務所の人と長年関係性を築いてきた過去があることも大きいのだろう。

この番組を観ていると、「個人の実力が強力にはないから(もしくはまだ若いから)組織の中で給料を受け取る一般社会のシステム」は当然だと納得でき、「組織に属しながら個人の力を高めていく働き方」も肯定できる。

そして「きっかけがあれば組織から離脱し、それまでに培った人脈とスキルを使って個人で仕事をしていく」の最大値を見せてくれている。

この番組は、「世間離れした芸能界」なんてものではなく、むしろ今の時代の働き方のお手本にもなり得る構図を見せてくれているような気がしている。


そして僕が何より凄いと思っているのは、出演者一人一人の年齢や実績が違うので、多少の敬語、タメ口が発生しているものの、大きな上下関係がないことだ。

20歳年上の人に「何だお前!」と叫んで笑いが生まれる空間。

一般社会の先を行っているにも程がある。

#ロンドンハーツ
#TVer


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