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書評 経済論戦は甦る 竹森俊平 


勤務先の書庫整理に伴い、読んでみた1冊。初版が出版された2002年は、小泉政権下で銀行の不良債権処理や構造改革の是非、デフレからの脱却が課題になっていた時代だった。同書は経済学者、フィッシャーとシュムペーター(オリックスの山下投手の名前の由来)の論争を引き合いにしつつ、「シュムペーター的清算主義による『構造改革』を進めれば、日本経済は沈没する!」として、フィッシャーのリフレ政策に沿う形での論陣を張っている。それぞれの主張の良し悪しや考え方の違いもわかるので、その意味においては読んでみて価値のある1冊ではあった。ただ、それから20年。銀行もりそな国有化や三菱UFJの誕生などで、再編やメガバンク化が進んだ。しかし、著者の考えに近い形で、アベノミクスや黒田緩和も行うも、低成長のまま。しかも、震災やコロナショックもあり、何か隔世の感があり、リフレの効果はいまひとつだったのは否めない面があるのは否定できない。

#書評 #経済学 #経済史